第13話 この二人の美少女の裏の顔、たまには面白いよな?
翌朝、目を覚まして横を見ると、隣のベッドはすでに空っぽだった。毛布は適当に畳まれており、昨晩俺のすぐそばにあった体温は完全に消え去っていた。
勉強机の上の目覚まし時計をちらりと見る。現在、朝の7時30分。
……珍しく少し寝坊してしまった。おそらく、あのギャル姫が完全に寝入り、毛布を蹴飛ばさないのを確認してから、かなり遅い時間に寝たせいだろう。
俺はだるそうに起き上がり、間違いなくボサボサになっているであろう髪を掻きながらあくびをした。
だが、部屋のドアノブに手を伸ばそうとしたちょうどその時、リビングの方向からかすかにひそひそ声が聞こえてきた。
「ち、ちょっと待ってよ、葵ちゃん! なんでそんなに急なの!?」
白川しらかわさんの声だ。その声のトーンはひどくパニックになっていて、俺に聞こえないように必死で押し殺しているようだった。俺は少し開いた部屋のドアに耳を当てた。
「ええっ!? も、もううちの近くの駅にいるの!? 冗談でしょ! こんな朝早くから何しに!?」
「そ、そういうわけじゃないよ! 遊びに誘ってくれたのは嬉しいけど……で、でも問題は、私今家にいないんだってば!」
「ええーっ、嘘じゃないってば!」
「ほ、本当だよ! 泊まりに行ってるの! 言ったじゃん、友達の家に泊まってるって!」
俺は笑いが漏れないように、片手で口を押さえなければならなかった。
「ちゅ、中学の友達! そう、中学の友達だよ! お、女の子だよ! 葵ちゃんは知らない子! そ、その子ひどい熱出してて、一人じゃ可哀想でしょ? だから昨日の夜から付き添ってるの!」
(素晴らしいアリバイだな、ギャル姫さん。俺は口うるさいおじいちゃんから、重病を患う中学時代の女友達に配役が変わったってわけか?)
よく考えてみれば、学校ではあの二人はとても親しい親友同士で、言い争っているところなんて一度も見たことがない。
天海さんはいつも憧れの眼差しで白川さんの後ろをついて回り、白川さんはいつも威厳に満ちた優雅な微笑みで彼女に応じている。
だが、学校の外で親友の尋問にあたふたして追い詰められている白川さんの姿を見るのは……本当に滅多にお目にかかれない、愉快な見世物だった。
「あ、葵ちゃん、疑うって何を!? 嘘じゃないよ、本当に! え? フルーツ持ってこっちに向かう!? や、やめて! い、いいから! 友達の病気、うつるやつだから! 葵ちゃんにもうつっちゃうよ! そ、そう! 水ぼうそう! その子、水ぼうそうにかかってるの!」
(ぷっ……もうダメだ。笑いをこらえるのに腹が痛い)
「は、半時間ちょうだい! すぐに帰るから、いつものカフェで待ち合わせしよ!? まだ私の家には行かないでね! オッケー? じゃあね、葵ちゃん!」
突然、電話が強制的に切られる音がした。リビングから長ーい、長ーいため息が聞こえ、続いて体がカーペットの上に崩れ落ちる音がした。
今が絶好のタイミングだと感じた俺は、部屋のドアを開け、何事もなかったかのような無表情で歩み出た。
「おはよう、看護師さん。水ぼうそうにかかった中学の女友達の具合はどうだ? もう良くなったか?」
大きすぎるパーカー姿でリビングのカーペットに倒れ込んでいた白川さんは、ビクッと跳ね起きた。
「う、宇佐美うさみくん!? 聞いてたの!? いつから起きてたの!?」
「お前が水ぼうそうがうつるから来るなって、パニックになって親友に叫んでた時からだよ」俺はお湯を沸かすために小さなキッチンへ歩きながら言った。
「お前の演技はひどすぎるな。もし天海さんがもう少し賢かったら、絶対に100パーセント疑われてたぞ」
「うぅっ……だって葵ちゃん、すっごく頑固なんだもん!」白川さんは座布団を抱きしめ、恥ずかしそうに顔を隠しながら言った。
「私の家に、手作りのパンケーキを持って寄るって言うんだよ!? もしお母さんがドアを開けて、私がまだ帰ってないなんて言ったら、ヤバいでしょ!?」
「まあ、それはお前みたいな素人の嘘つきが背負うリスクだな」俺は棚からティーカップを二つ取り出した。「で? もう帰らなきゃいけないのか?」
俺の質問を聞いて、彼女は急に落ち込んだような表情で俺を見つめた。
「うん……葵ちゃんに怪しまれる前に、急いでお風呂入って、着替えて、駅まで走らなきゃ……」
「本当は……本当はまだここで遊びたかったのに」
「これ以上何して遊ぶんだよ? RPGゲームはもうクリアしたし、ストリートファイターではお前をボコボコにしただろ。第6ラウンドで死にたいのか?」
「そうじゃなくて!」
「少女漫画の次の巻も読みたかったし! それに、宇佐美くんともっといっぱいおしゃべりしたかったの! 週末はまだ終わってないのに……」
パーカーの裾を握りしめてうつむく彼女を見て、俺は少し言葉を失った。彼女の態度は本当に正直だな。俺みたいな友達のいない陰気な男と一緒に過ごす時間を楽しんでいるという事実を、彼女は全く隠そうとしなかった。
「まあ……仕方ないだろ」
「完璧なギャル姫としての秘密のアイデンティティは守らなきゃいけないんだろ? 男のアパートに泊まったなんてバレたら、お前の高校生活はそれで終わりだからな」
「うぅ……むかつく……」白川さんはキッチンの方へ歩み寄ってきた。しかしゆっくりと、あの明るい笑顔が再び戻ってきた。青い目を輝かせて俺を見つめる。「でも、宇佐美くん! 昨日の土曜日、すっごく楽しかったよ〜!」
「何が楽しいんだよ。俺の食料はなくなるし、お前がずっとうるさいから耳が痛くなっただけだ」
「えへへ、嘘ばっかり! 私がカーレースで負けた時、宇佐美くんも大笑いしてたじゃん!?」
「とにかく、私絶対またここに遊びに来るからね! 来週の土曜日もまた遊ぼうね、宇佐美くん! 約束だよ!?」
この女子は本当にわがままで勝手だな……。
来ると決めたのも彼女なら、次にいつ来るかを決めるのも彼女だ……。
「はいはい。でも次は自分でゲームを持ってこいよ。俺はもう同じゲームばっかりで飽きたからな」
「やったああ! よっしゃー! じゃあ、顔洗うのにちょっとバスルーム借りるね! その後すぐ帰るから!」
俺の返事を待つこともなく、白川さんは小走りでバスルームへと向かっていった。
15分後、何度も「ありがとう」を繰り返し、ドアの前で少しばかりの馬鹿げたお別れのドラマを演じた後、ギャル姫はついに本当に帰っていった。
俺はキッチンに戻り、さっき淹れたばかりの温かい紅茶が入ったカップを手に取った。
ベッドの端に座り、机の上にまだ少し散らかっている漫画の山を見つめた。彼女のイチゴシャンプーの香りが、まだ部屋の空気にほんのりと残っている。
立ち上る湯気を軽く吹き飛ばし、ゆっくりと紅茶をすすった。
以前は、こういう静けさが好きだった。平穏を好み、誰にも邪魔されない生活を愛し、他人の面倒事に巻き込まれるのを嫌っていた。
だが今朝は、不思議なことに……このアパートの静けさが、少しだけ居心地悪く感じられた。
バカバカしいことで一緒に笑い合う白川さんの明るい姿、あのムカつくおじいちゃんの顔のオムライスを作った時のこと、ゲームに負けて大騒ぎした時のこと……そのすべてが、少しずつ彼女に対する俺の見方を変えていた。
彼女はもはや、平穏な高校生活を送るために避けるべき「学校ナンバーワンのギャル姫」ではなくなっていた。彼女は俺の友達だ。週末は必ずしも退屈に過ごす必要はないのだと教えてくれた、初めての友達。
まだ知り合って間もなく、学校でのカーストの差は天地ほどもあるけれど……なぜか、この友達関係を終わらせたくないと感じている自分がいた。
「来週の土曜日、か……少なくとも、あいつが来てまた散らかす前に、この机の上は片付けておかないとな」




