第4話
「A君は、半年前まで、バイト暮らしのフリーターだったけど、今は、小綺麗なアパートの3階で、優雅に暮らしてるぜ」
「……」
「朝、普通に出勤して、夜は早めに帰宅してる。真面目なサラリーマン風にな」
「……」
「ま、実際、真面目なサラリーマンと言えなくもない。勤めてるように見えるのも、地味な地場の会社だしな。勤務実態を知らなきゃ、の話だが」
「……」
「あんたが、もし会社員なら、よほどのことがない限り、退職なんてしない方がいいぜ」
「……」
「アップグレードが叶う転職ならいいが、独立だの、フリーだのなんて考えるなら、今の2倍稼いでトントン、3倍稼いでやっと意味があるくらいに思っておかないと」
「……」
「なんで、こんな話、するかって? 健康保険だの、年金だのってのは大切だよ、と言ってるのさ」
「……」
「分かってる? じゃあ、その負担の重さも知ってるだろ?」
「……」
「A君は、社会保険料を、会社に負担してもらってるのさ。内緒で。税務署が、よほど精細な調査でもしない限り、それはバレない。A君は、他の社員と比べても、貰ってる給与も普通だしな」
「……」
「大体、分かったろ? 会社は、A君の隠れ蓑であり、A君の安全保障なのさ」
「……」
「だから、A君は、俺らの信頼できるパートナーだし、A君にとっても俺らは信頼できる相手なんだ」
「……」
「A君より、稼いでる奴もいるぜ。でも、表向きの暮らしは、A君と、そう変わらない。贅沢したい時、思い切りハメを外したい時は、特別なパーティーがあるんだ」
「……」
「それは、また後でな。続き、聞きたかったら、ブックマーク、頼むぜ」
©2026 [風風風]. All rights reserved.




