第3話
「A君はな、」
「……」
「えっ? 馬券の仕組みを知りたいって? それは後と言ったろ?」
「……」
「じゃあ、ちょっとヒント、あげる。レース、見たことある?
「……」
「騎手が、がっちり手綱しぼって、前に行きたい馬の意思、抑えてるの、見たことない?」
「……」
「直線で、その馬、先行馬を差してる? 捲ってる?」
「……」
「あまり順位を上げられず、そのままレース、終わってるの、珍しいことじゃないだろ?」
「……」
「障害レースで、『この馬がこのレースの軸だな』っていう馬に限って、レース中に落馬したり、競争中止してない?」
「……」
「人気ウスの馬がハプニング起こすのと、レースのポイントの馬がハプニング起こすのとは、結果に与える重要度がまるで違うの、当たり前だろ。でも、往々にして、重要な馬が、ハプニング起こすのは、決して珍しいことじゃない」
「……」
「はい、ヒント終わり。またね」
「……」
「まだ?」
「……」
「しょうがねぇなぁ。……ルメールに並び称される日本人の騎手、いるだろ? 競馬やらない人でも、その名前、知ってるような人」
「……」
「人気騎手だから、レースでも軸になるような馬に乗ることが多いの。その彼が、俺が言ったような不審な騎乗、することがあるんだよ」
「……」
「『馬にレースを教えてる』? あんた、知ってんじゃん」
「……」
「そんなのは、調教でやれって話。本番でやっててどうすんだ?」
「……」
「いきたきゃいかせろ! 抑えるなら、ゴールでは、3着以内に入れ! 少なくとも4~5着だろ!」
「……」
「まぁ、いいけどな。お陰で、俺らの企ても、可能になったんだからな。おっと、ここまでだ」
「……」
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