第2話
「仮にな、A君としておこう」
「……」
「A君はな、場外馬券売り場で、馬券を買うんだが、必ず大きな儲けを出す」
「……」
「なんでかって? それは後」
「……」
「当たり前だろ。それを聞いたら、あんた、今週から馬券を買うだろ?」
「……」
「慌てなさんな。捕まったら、『終わり』だよ。まずは、聞きな」
「……」
「A君はな、ハズレ馬券も買うんだ」
「……」
「買うと必ず当たるんじゃ、目立ってしまってしかたない」
「……」
「狙いは、その日のメインレース、11レース」
「……」
「でも、午前中のレースから買うぜ。そうやって、群衆に紛れ込む」
「……」
「払い戻しも、その日には受けないぜ。次に混み合う日に、そっと目立たないように、払い戻しを受けるんだ」
「……」
「周囲への注意を、目立たないように、払いながらな」
「……」
「帰り道も、用心を怠らないぜ。いくつかの場外をランダムに選ぶし、細道、路地、表から入って裏から抜けられる店舗。たとえ尾行されても、『尾行を洗った?』と疑われるようなドジはしない」
「……」
「準備も、しっかりしてるからな」
「……」
「もちろん、どこかの誰かから、買い目の連絡が入るんだが」
「……」
「〇〇だのの、アプリなんか使わないぜ。俺らは、そんなものを使うほど、間抜けじゃないからな」
「……」
「トローヤン・シールド作戦って知ってるか?」
「……」
「まあいい。俺らは、間抜けじゃないってこと、覚えておきな」
「……」
「普通に、みんなが使ってるヤツしか使わないのさ」
「……」
「たとえ、司直の者に読まれたって、証拠になるような事は、何も書いちゃいねぇ」
「……」
「馬券を買って、払い戻しを受ける。誰でもやってることさ。この行為の、どこにリスクがある?」
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