7.超古代文明の崩壊
今から5000年前の地球。
当時、現代のエジプトのピラミッドに当たる位置の地下に、文明が栄えた一つの小さな国があった。
その国の名は、ガイアコット。
ガイアコットは科学技術が現代より発展した失われた文明社会だった。
この国は地上世界とは隔離されており、ヴァルシアに似たロボット生命体がひっそりと暮らしている。
今、二人のロボット夫婦の間に、新たな命が誕生しようとしていた。
二人の夫婦は国王のプルトンと王妃のエレシア。
エレシアの体内には、プルトンとの間にできた赤子が宿っている。
「はあ……はあ……!」
エレシアは今、体内の赤子を産み落とそうとしていた。
「頑張るんだエレシア」
プルトンがエレシアを見守る。
「おぎゃー、おぎゃー」
今、エレシアの体内から、新しい命が芽吹いた。
「よく頑張ったな」
「はあ……この子の名前を考えてあげないとね」
「それならもう考えているんだ」
「へえ、どんな名前なの?」
アルテウス。プルトンはそう名付けようとしていた。
「あら、いい名前。きっと聡明な子に育つんでしょうね」
と、そこへ近衛兵の一人が慌ててやってくる。
「大変ですプルトン王!」
「なんだ? 騒々しい」
「地上との隔壁が破れ、地上世界と繋がってしまいました!」
「なに?」
「地上人との接触は今の所ありませんが、それとは異なる種族が侵入している模様です!」
「して、そのものとは?」
「タイムクラッシャーです!」
「タイムクラッシャーだと? 時間跳躍で世界を書き換えようとする宇宙のならずものではないか!」
タイムクラッシャーとは、時間を自由にコントロールする技術を持った宇宙の浮浪者である。
目的がなにかは不明だが、早急に対策をしなければ、過去を変えられ現在に影響が出る恐れがある。
「探し出せ!」
近衛兵はタイムクラッシャーの捜索に向かう。
(ガイアスターの適合者を早く見つけ出さねば)
プルトンは、ガイアコットの平和を守るために開発した人工超機械生命体ガイアスターの起動を急いでいた。
遅かれ早かれ、ガイアコットの住民は宇宙勢力との抗争で、命からがらここまで逃げてきたが、追っ手は必ず来ると予測をしていた。
ガイアスターは、プルトンたちが星を追われる前、交流のあったヴァルシア星で見たアストライアを元に作った戦闘兵器だった。
だが、未だにガイアスターの電子頭脳に適合するロボット生命体は見つかってはいない。
「ねえ、プルトン」
「うん?」
「アルテウスの適合検査をしましょう?」
「何を言っている? 仮に適合しても、そんな危険なことに息子は関わらせられない」
「でも、アルテウスが適合者であれば、戦士として鍛え上げて、母星を取り戻しに行けるわ」
「お前の気持ちもわかる。だが、親としては反対したい」
「せめて適合検査だけでも」
「仕方がない」
プルトンはアルテウスを抱き上げると、適合検査に連れていった。
アルテウスの意識適合検査は90%だった。
完全ではないが、ガイアスターを動かす力はあるようだった。
「だあだあ」
アルテウスはプルトンの腕の中でガイアスターに手を伸ばす。
「巨人が気に入ったのか?」
「だあ」
「ふっ。アルテウスの人生だ。好きにさせてやるか」
プルトンは寝室に戻る。
アルテウスをエレシアの元に寝かせる。
「プルトン」
「90%だ」
「まあ! すごいじゃない」
その時だ。
国に巨大怪獣が現れ、周囲の建物を破壊しながら暴れ回る。
事態を重くみたプルトンは、エレシアとアルテウスを残し、街へと繰り出す。
その両方の手には、刀が握られている。
ドラクエのボス戦BGMが流れそうな勢いで、プルトンは怪獣に襲いかかった。
怪獣の攻撃を片方の剣で弾き、反対の刀で斬りつける。
防御と攻撃を同時に行い、必死に怪獣に挑んでいる。
「くっ!」
プルトンは怪獣の痛恨の一撃を受け止めるが、勢い余って地面に着地して滑走する。
怪獣は、大きな口を開けて、原子力ビームを放ってくる。
「核エネルギーだと!?」
プルトンはビームをかわし、トドメを刺す機会を窺う。
「なかなかやるではないか、プルトンよ」
怪獣が喋る。
「貴様は?」
「私はタイムクラッシャー。貴様らの時間を世界から抹消しに来た」
「なんだと!? そんなこと、させてたまるか!」
プルトンは怪獣に飛びかかった。
「ははは、空中では避けられまい」
怪獣は原子力ビームを放つ。
(しまった!)
プルトンは怪獣の攻撃で瀕死の状態を追う。
ぱたりと地面に倒れ伏すプルトン。
薄れゆく意識の中で、プルトンは未来のアルテウスの姿が脳裏に浮かぶ。
「アル……テ……」
プルトンは意識を失い、そのまま絶命した。
怪獣はフードを被った黒衣の何者かに姿を変えると、エレシアとアルテウスのいる寝室へと向かう。
「プルトン?」
エレシアは黒衣を見る。
「お前は、デビルキング!?」
「俺の名が轟いているとは光栄だね」
「何をしに来た!?」
「この国、ガイアコットを破壊する」
デビルキングと呼ばれるフードの黒衣は、懐から手榴弾のようなものを取り出し。こちらへ投げ飛ばした。
「それは核爆弾だ」
そう言って、デビルキングは空間転移で部屋から姿を消した。
エレシアは覚悟を決め、核爆発に巻き込まれ、アルテウスと共に次元の狭間へと迷い込み、さらに超のつくほど巨大な爆風でガイアコットという小国は、一瞬でその全てが焦土と化した。
次元の狭間で、エレシアはアルテウスと引き裂かれ、それぞれ別の空間へと飛ばされてしまう。
アルテウスは時空を超え、5000年後の日本の東京にある柳田家の前に出現する。
その夕方、帰宅した一家の主人が、アルテウスを見つける。
「赤ん坊だと?」
主人はアルテウスを抱き上げる。
「よしよし、いい子だから泣くなよ。お前、どこから来たんだ? 親に捨てられたのか? 可哀想な子だ。これからは俺がパパとして妻と共に立派に育ててやるからな」
かくて、アルテウスは柳田の一家に拾われ、実の息子のように可愛がられ成長していった。
光一と名付けられたそのアルテウスは、やがては小学校、中学校、高等学校、大学へと進み、さらに防衛大学にも入り、自衛隊へと就職をするのだった。
「柳田 光一です! よろしくお願いします!」
アルテウスこと光一は、隊員の皆に新人として挨拶をするのであった。




