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超機械生命体アストライア  作者: 獅子王子(元桂ヒナギク)


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43/44

43.恭子の運転免許

二話連続の平和な日常。

 柳田時間漂流保護事務所。

「ねえ、柳田」

「あん?」

「車の免許ほしい」

「アリスはヴァルシア星人だろ? 日本国籍や住民票はあるの?」

「ないよ」

「おいおい。今までどうやって”高木 恭子“として暮らしてきたんだ?」

「日本の偉い人たちのパイプ?」

「じゃねえよ! 住民票がなきゃ日本で自動車やバイクの免許は取れねえんだぞ!?」

「住民票の作り方教えてよ」

「いや、無理だろ。前例がない」

「じゃあその前例を作ればいいのよ」

 光一は頭を抱えた。

「そうと決まれば政府に掛け合わないとね」

 恭子はそう言ってソファから立ち上がった。

 それを見て光一はため息をついた。

「じゃあ、ちょっと行ってくる」

 恭子は総理官邸へと飛んだ。

「うわ!」

 総理大臣の執務室に突然現れた恭子を見て、高西(たかにし) 冴子(さえこ)総理大臣は驚いた。

「ちょっとあなた! いきなり出てこないでよ! びっくりするじゃない!」

「それはごめん。表から入ればよかったね」

「いや、別にいいわよ。それで?」

「冴子さんにお願いがあって」

「何? お願いって。どうせあなたのことだから、また無茶な要求なんでしょうけど」

「住民票がほしい」

「は?」

「運転免許を取りたいの。住民票がなきゃ取れないって聞いたわ」

「いや、あのね。あなた異星人でしょ? 地球人ならまだしも、異星人を住民登録することはできないわよ。あなたに名乗らせてる高木 恭子だってギリギリのところを攻めてるんだから」

「そこをなんとかできない?」

「そんなこと言われてもねえ……」

「地球、侵略されるかもね」

「ちょ! 地球を盾に脅さないでよ!」

「じゃあお願い」

 冴子はため息をついた。

「わかったわ。なんとかするわよ」

「ありがとう」

「二日位あればなんとかなるわ。ここへ取りに来なさい」

 そして二日後。

 恭子が執務室にやってくる。

「冴子さん、取りに来たわ」

 冴子は恭子に封筒を渡す。

「私の権限で用意した偽造住民票よ。丁重に扱いなさいよ。あなたのせいで更迭されたら困るんだから」

「ありがとう。やっぱり持つべきものはお友達ね」

「やかましいわ!」

「それで、運転免許ってどこで取るの?」

 恭子の問いに冴子はニヤリと笑みを浮かべた。

「運転免許試験場で技能試験と筆記試験を受けるのよ」

 一発試験を案内した。

「住民票は都内だから警視庁の運転免許試験場に行きなさい。府中の試験場をオススメするわ」

 警視庁最難関の運転免許試験場だった。

「ありがとう。早速行ってくるわ」

 恭子はいったん柳田の事務所に寄った。

「柳田、住民票もらった」

 恭子は封筒から取り出した住民票を柳田に見せた。

「二日でどうやって用意した?」

「冴子さんが偽造してくれた」

「はあ!? ってか冴子さん?」

「高西 冴子さん」

「何やってんだ総理大臣!?」

 驚嘆する光一だった。

「それで、どこへ行くんだ?」

「府中の試験場」

「……そうか。頑張れ。あと、取るならバイクの免許を取ってから自動車を取った方がいいぞ。筆記試験が一回で済むからな」

「どういうこと?」

「自動車には仮免許っていうのがあるからな。その筆記試験に加えて本免試験ってのがある。だが、普通二輪の免許を取ればこの仮免許の筆記が免除される」

「それは効率的ね」

「だろう?」

「わかった。ありがとう」

「それと、行くなら平日の朝一だぞ。9時過ぎると申し込めない」

「ああ、それならタイムトンネル通っていくから問題ないわ」

 そう言って恭子は午前8時半の運転免許試験場に向かった。

 申請書類を作成し、窓口に提出。

 試験料を納付し、筆記試験を受験すると、満点で合格した。

 その後、技能試験待合室へ行き、試験コースを確認する。

(なるほど。こういうコースなのね。注意事項は……)

 そして、午後になり技能試験が始まった。

 バイクはヴァルシアでも乗っていた。運転技術はある方だ。

 コースを走り終えた恭子は待合室で結果を待つ。

 全ての技能試験が終わり、結果が発表された。

 合格だった。

 職員は合格者に取得時講習を任意の教習所で受けるよう指示を出した。

 恭子は合格書類を手に、教習所を調べてそこへ向かう。

 窓口で手続きを済ませ、後日、取得時講習を受講し、試験場に戻り運転免許の交付を受けた。

 そして、普通自動車の技能試験もとんとん拍子に進み、免許証の書き換えが行われた。

 恭子は総理官邸の執務室へ移動した。

「うわ!」

 突然の……くどい。

「だからあなたはなんで突然現れるの!? せめて連絡くらいしなさいよ!」

「だってすぐ報告したかったんだもん」

「何を?」

「冴子さんのおかげで免許取れたの」

「は?」

 恭子は冴子に運転免許証を見せた。

「そ、そんなことってええええ!?」

 冴子の驚愕の声が官邸中に響いた。


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