41.指名手配ドンカー
宇宙のどこかに存在する星団評議院。
ここでは宇宙全体に関する銀河安全法という法律が、各惑星の代表が集会して星団評議会を行うことで制定される。
如何は、ジャイアント星人ドンカーに対する議会の様子だ。
「ポリシア総長、ドンカーはまだ捕まらないのかね?」
デビルキングは答える。
「ドンカーは恐ろしく強い。そして巨大だ。ギガントクラッシャーを使って押さえようとしたが、返り討ちにあってしまったよ」
「ガイアに滞在する調整官からの情報でやつはアストライア相手に攻撃しなかったと報告があるが?」
「それは本当か?」
「知らなかったのか?」
「ガイアからの報告はアリス本人から受けてはいるが、まさかそんな渦中にあったとは聞いてはいない」
「ポリシア総長、アリスを洗え。ドンカーと接点があるかもしれん」
「そんな、アリスを疑うなど私には……」
「君の総長資格を剥奪されたいのか?」
「そ、それは……。わかった。要求を飲もう」
デビルキングは困った様子で答えた。
地球。
恭子が街を歩いていると、何者かが物陰から彼女を監視していた。
(もっとバレないように見張りなさいよ)
バレバレの捜査だった。
恭子は角を曲がった。
ポリシアの捜査員が続く。
が、恭子の姿が消えていた。
「見失った?」
捜査員の背後に恭子が回り込んだ。
「あなた新人の捜査員かしら? 尾行が下手すぎるわ」
振り返る捜査員。
「で? 私に何か用? 質問次第では答えてあげるわよ」
「あなたは指名手配中のジャイアント星人ドンカーと面識があるね?」
「う……」
恭子は顔を引き攣らせた。
「彼とあなたの関係を聞きたい」
「あ、あれは……」
思い出したくもなかった。
「ポリシアまで同行してもらえる?」
「私、取り調べを受けるの?」
「君の今までの功績は私も聞いてはいるが、星団評議院が君をドンカーの内通者ではないかと疑っていてね」
「星団評議院?」
「銀河安全法を施行運用する立法機関だよ」
「個人的な問題なので……」
「なぜドンカーが君に手を出さないのか。我々はそれを知りたい」
恭子は考えた。
(ドンカーを捕まえれば、ポリシアに恩を売れる?)
「ようはドンカーを捕まえればいいのよね?」
「え?」
「いいわよ。首根っこ掴んで差し出してあげるわ」
恭子はそう言うと歩き出した。
「ちょっと君!」
と、捜査員が手を伸ばす。
恭子は輝須の探偵事務所に向かった。
「恭子か。何しに来た?」
「兄さんに会いたい」
「彼ならこの前の巨大異星人の行方を追おうと、地球を離れてるよ」
「連絡手段は?」
「一応、通信機を預かってる」
「貸して!」
輝須が取り出した通信機を恭子は奪い取った。
「兄さん、私! 聞こえる!?」
「アリスか。なんでお前が?」
「ドンカーを追ってるって聞いたわ。手がかりはあるの?」
「バルガ星に向かったと情報を掴んでね。向かってる途中だよ。けど、この辺りの銀河って磁場の影響が凄くてアルクビエレ・ドライブができないんだ」
「バルガ圏内には亜空間航行路のワームホールが点在してるわよ」
「そうなのか?」
「うん」
「わかった。ありがとう」
通信が切れた。
恭子は自身の宇宙船でバルガ圏内へ飛び、そこからワームホールを使ってバルガ星の前に辿り着いた。
そこへ遅れてテレスの宇宙船がやってくる。
「なんでアリスがいるんだよ?」
「協力しようと思って」
「踏み潰されるぞ?」
「大丈夫よ」
「俺はお前を危険な目には遭わせたくない」
「そんなことより、ドンカーを捜しましょう?」
その時、付近で大きな轟音が鳴り響いた。
駆けつけてみると、ドンカーが暴れて街を破壊していた。
「アリス、お前はこの星の人達の避難を!」
テレスはそう言うと、レオードに変身してドンカーに先制攻撃をしかけた。
ドンカーは大きな体でレオードの攻撃を受け止めた。
「いってええええ!」
レオードの足から痛みが伝わって全身が震える。
恭子はアストライアに姿を変え、ドンカーを蹴り飛ばした。
「ぐわああああ!」
ドンカーは文字通り吹っ飛び、地面に叩きつけられて転がった。
「アストライア?」
ドンカーはアストライアを見た。
「アストライア、俺を追ってきてくれたんだね」
「違う。あんたを逮捕しにきた」
「逮捕? なるほど、俺を束縛したいほどの愛なんだね?」
アストライアは無言でヴァルシアブラストを放ってドンカーを気絶させた。
「きもい」
アストライアは鋼鉄のロープでドンカーを拘束すると、宇宙船に連れ帰ってポリシアへと運んだ。
その後、ドンカーは銀河牢獄に投獄され、二度と日の光を浴びることはなかったという。




