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超機械生命体アストライア  作者: 獅子王子(元桂ヒナギク)


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40/44

40.有栖とテレス。勘違いの真相

 新宿北交番。

 怪我から回復した有栖 由美が勤務に復帰した。

「有栖さん、戻ってきたんですね」

 と、春人が言う。

 有栖と春人は警察学校の同期だった。

「一週間ぶりね、今川くん」

「有栖さん、実は僕、入籍したんです」

「はあ!? 私が休んでいる間に何があった!?」

「いや、話すと長くなるんですけど——」

 春人は美智子のことを話した。

「——というわけなんです」

「それはなんかすごい体験をしてきたのね。しかもその子が妻であり未来の養女でもある」

「有栖さんの方はどうなんですか? お兄さんに会いたがってたけど」

「実は——」

 有栖はテレスのことを話した。

「——で、病院まで会いにきてくれたのよ」

「なんかドラマみたいな展開ですね」

「そうね。まさか兄の方から来るなんて、奇跡だわ」

 そこに、アリス兄妹と輝須がやってくる。

「妹よ、退院祝いに桃を持ってきたぞ」

 と、テレスが買い物袋を手に第一声を放った。

「あ、噂をすれば」

 と、振り返る有栖。

「退院おめでとう、有栖さん」

「アリスさん、彼女と知り合いなの?」

 と、恭子の言葉に春人が疑問符を浮かべた。

「私が住んでた社宅の向かいの公務員官舎に住んでるのよ」

「ああ、そうなんだ」

 春人はテレスに向かって敬礼をする。

「有栖さんの同僚の今川 春人です」

「ああ、これはご丁寧に。兄のテレスです」

 テレスも春人に敬礼を返した。

「それで、そちらは……」

 春人は輝須を見た。

「私の兄のテレスです」

 と、恭子が言う。

「輝須 彰です」

 その瞬間、五人は違和感を覚えた。

「「「「「ん?」」」」」

 お互い顔を見合わせる。

 先に口を開いたのは恭子だった。

「テレス兄さん、今、輝須 彰って言ったよね?」

「そうだけど。……?」

「ちょっと待って。もしかして私たち、とんでもない勘違いを犯してた?」

 その言葉に、有栖も同意する。

「私も今そう思った」

「輝須 彰って、有栖さんのお兄さん」

 そこで疑問符を浮かべるテレス。

「もしかして、君がヴァルシアのアリス?」

「え、じゃああなたがテレス兄さん?」

 そこへ春人が口を挟む。

「四人とも名前が同じって共通点を持ってるから、誤解したまま過ごしてたってことじゃない?」

「そういうことかああああ!」

 恭子はやっと理解した。

「それじゃあ、私のお兄ちゃんはこっちじゃなくて、そっち?」

 と、有栖が輝須を見て言う。

「君が妹の有栖 由美なのかい?」

 と、輝須が有栖を見ながら言う。

「えっと、警察官?」

「うん。探偵?」

「うん」

 恭子がテレスと話す。

「宇宙探偵?」

「ああ。警察官?」

「うん」

 四人は顔から火が出そうだった。

「あの、アリスさんはACRのはずじゃ?」

「ああ、私、母星のヴァルシアで警察官をやってるの」

「ヴァルシア? アリスさんは宇宙人なの?」

「そういうことになるわね」

「マジか……」

 春人は頭を抱えた。

 いろんなことが起こりすぎている。

「僕は夢でも見ているのか……?」

 と、春人は現実を疑う。

 その時だ。

 大地が揺れ、地中から怪獣が出現する。

「怪獣だああああ!」

 交番の外で住民たちが逃げ惑うのが見える。

「なんの騒ぎ?」

 春人が交番から出て怪獣の姿を確認した。

「怪獣!?」

 四人も外に出る。

「今川さん、有栖さん、避難誘導して!」

 二人は住民の避難誘導に向かう。

 恭子は怪獣に向かって走り出そうとするが、テレスに止められた。

「危険すぎる」

「でも、あの怪獣を止めなきゃ」

「アリスが行く必要はない。俺が倒す」

「え?」

 テレスは懐からスティック型の転移装置を取り出した。

 ボタンを押し、姿が消えたかと思うと、怪獣の前にレオードが出現した。

「まさか、兄さんが!?」

「あの巨人、以前にも現れたよな?」

 と、レオードが真上に落下してきたことを輝須は思い出した。

「テレスさんがレオードだったのか」

 レオードの戦いを見ていると、空から何かが降ってきた。

「何あれ?」

 と、恭子が降ってくる何かを見つめる。

 その何かは猛スピードで地面に激突し、砂塵を巻き起こし、煙が晴れると巨大な異星人が姿を現した。

 異星人は怪獣と戦っていて気づいていないレオードに背後から襲い掛かった。

「何!?」

 背後からの一撃を受け、レオードは振り返る。

「お前は!?」

 ジャイアント星人。

 巨大な体を持った宇宙を荒らしまわって破壊している星人で、レオードの因縁の敵である。

 恭子は懐から転移装置を取り出した。

「兄さん、援護するわ」

 ボタンを押してアストライアに変身しようとするが。

「あれ?」

 姿が変わらない。

「どうして?」

 もう一回押す。

 それでも変わらない。

「ああ! もうこんな時に!」

 恭子は転移装置の電池蓋を開け、中のバッテリーを取り替えてカバーを閉める。

「今度こそ!」

 眉間に青筋を立てた恭子が、アストライアに変身した。

「レオード!」

「アストライア!」

 アストライアがジャイアント星人を攻撃を防ぐ。

 ジャイアント星人はアストライアの美しい姿を見て、戦意を喪失した。

「……?」

 アストライアは首を傾げた。

「美しい……」

 ジャイアント星人がアストライアの顔に手を伸ばす。

「私に触れるな!」

 アストライアはジャイアント星人の手を払い除けた。

 ジャイアント星人はアストライアの対応に困惑する。

「この星に何をしに来たのかは知らないけど、早々に立ち去りなさい」

「俺の名前、ドンカー。君は?」

「はあ?」

「ぜひ君の名を教えてほしい」

「アストライア」

「アストライア。いい名前だね」

「ありがとう」

 アストライアとジャイアント星人ドンカーが会話している間に、レオードが怪獣を破壊し終えた。

「あんたら何してんだ?」

「俺、アストライア好きになった。アストライア、連れて帰りたい」

「はあ?」

 レオードは疑問符を浮かべた。

「気持ちはありがたいけど、あなた悪人よね?」

「恋に善人も悪人も関係ない。一緒に来い」

「嫌だ」

「無理矢理にでも連れて行く」

 ドンカーがアストライアを捕まえようとする。

 アストライアは後退してかわす。

「どうして避けるんだ?」

「あんたと行くつもりないから」

 アストライアは逃げるように飛び立った。

「空を飛ぶなんてずるいぞ!」

 飛べないドンカーは地上でじたばたした。

 アストライアは無言で空の彼方へ消え去った。

「ドンカーとか言ったな。お前、帰れ」

 と、レオードは言い放つ。

 ドンカーは仕方なく、宇宙船へ飛び乗って去って行った。

 レオードはテレスの姿に戻る。

「テレスさん、あなたがレオードだったんだな」

 と、輝須がレオードに言った。

「ところで、アリスはどこだ?」

「私はここよ」

 物陰から姿を見せる恭子。

「怪獣は倒したぞ」

「みたいだね」

「しかし、異星人を取り逃がしてしまった」

「そういえば、アストライアにちょっかい出してるように見えたけど」

「ああ、どうやら惚れちまったらしい」

「アストライア、逃げちゃったね」

「そうだな」

 そこへ有栖と春人がやってくる。

「怪獣は?」

「レオードが倒したわ」

「レオード?」

「獅子風の巨人」

「ああ、この前、アストライアと一緒に二体の怪獣を倒した?」

「うん」

「そっか」

 有栖と春人は交番に戻って行った。


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