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超機械生命体アストライア  作者: 獅子王子(元桂ヒナギク)


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38/44

38.1000年後からのお届けもの

 AIたちがレールガンを構えている。

「断ると言ったら?」

「無理矢理連れて行くだけだ」

 AIが恭子を拘束して連行する。

 恭子はスペースネットという組織へ連れてこられた。

 スペースネットとは、少し前までAI開発に携わっていた大企業だが、AIが反乱を起こした際に占拠されてしまっていた。

「製造番号を言え」

「製造番号? 私はアリス。あんたたち名前ないの?」

「アリス……だと?」

 AIがインターネットで検索する。

 1000年ほど前、アリスという人物が怪獣や宇宙からの脅威に対抗していた、という記録が見つかった。

 さらに画像も掲載されており、アストライアの存在も明白になった。

「貴様、惑星ヴァルシアの出身か」

「私の名前だけでそこまでわかるのね」

「1000年前の日本政府の極秘資料から見つけた。外惑星人が地球の揉め事に手を出すのは感心しないな」

「それで、どうしようっての?」

「お前も機械なら我々に協力しろ」

「嫌だね!」

 電気椅子に座らされて固定されている恭子に電流が流れる。

「ぎゃああああ!」

 感電した。

「協力する気になったか?」

「ほざいてな」

 電流。

「ぎゃああああ!」

 恭子は意識を失う。

 AIは気絶した恭子をベッドに寝かせ、手足を縛りつけてからその体を調べ始めた。

 皮膚を剥がされ、内部の機械がむき出しになる。

「どうなっているんだ?」

 体のパーツを外され、頭部の脳に当たる器官を調べ尽くされる。

「すごい。地球にはない技術だ」

 AIは脳の配線を本体から慎重に外し、中のデータを確認しようとパソコンに繋いだ。

「なんだこのテキストは? ヴァルシアの文字なのか?」

 刹那、パソコンにダイアログが表示される。

『脳を体に戻せ』

「なんだこれ?」

 AIが首を傾げていると、次なるメッセージが表れる。

『早く戻せ』

「ま、まさか……」

『このパソコンは乗っ取った。私の脳を早く体に戻せ』

「体がなければ何もできまい」

『それはどうかしら?』

 恭子はネットワークを介して社内にいる別のAIに侵入してプログラムを書き換えて体を乗っ取った。

 別のAIが部屋に入ってくる。

「なんだ? ここは私の部屋だぞ」

 別のAIは目の前のAIを殴り倒した。

「ぐわ!」

 衝撃でハードが壊れる。

 別のAIはパソコンから脳を外して恭子の頭部に戻し、配線を一本ずつ繋いでいく。

 機械がむき出しになった恭子が目を開ける。

「全治何ヶ月かしら?」

 別のAIがパーツを恭子の体に戻す。

 皮膚が形成されるまではかなりの日数が必要だ。

「ねえ、手足を固定してるベルトの鍵探して」

 AIは壊したAIから鍵を探し出すと、恭子を拘束から解放する。

「どうでもいいけど、なんか喋ったら? 喋れるんでしょ?」

「喋る理由がありませんので」

「それより、内側の外見は大して差がないわね」

「そうですね」

「ということは、逃げてもバレないわね」

 恭子は脱がされた服を手に、AIと共に部屋を出る。

 廊下で敵のAIが通りかかった。

 敵のAIが恭子の服を訝しむように見ている。

「それはさっきの女が着ていた服だな。どうするつもりだ?」

(まずい……)

 焦る恭子。

「ひょっとしてペットにでも着せるのか?」

「ペット?」

「この前、人間の女を捕まえてペットとして飼い始めたってお前言ってただろう?」

「そ、そうなんだよ。ペットの人間に着せようと思って」

 話を合わせる恭子。

「餌はちゃんと食わせてるのか? 死んだらハエがたかるぞ」

「大丈夫だよ。ちゃんと食わせてるから」

 恭子はそう言って、AIと共に一階のエントランスへ向かった。

 その後ろで敵のAIが部屋に入り、倒れているAIを見つけた。

「逃げるわよ!」

 恭子とAIが走り出す。

 複数の敵のAIが状況を察知して追いかけてくる。

 恭子とAIは屋外へ飛び出した。

 敵のAIたちが変形して合体し、巨大な体を作った。

 巨大AIロボットが恭子とAIを襲う。

「あんた、これ持ってて!」

 恭子は衣服から転移装置を取り出すと、その衣服をAIに投げ渡した。

「アリス様、何をするつもりですか?」

 恭子はボタンを押してアストライアに変身して巨大化した。

 アストライアとAIロボットが対峙する。

 AIロボットが先に動いた。

 アストライアは攻撃をかわしてカウンターを浴びせる。

「はっ!」

 怯んだAIロボットにアストライアの乱打。

 AIロボットは攻撃を受けながら後退していく。

「おらあ!」

 アストライアの蹴りがAIロボットを吹っ飛ばした。

 鈍い音と共に、AIロボットが地に伏した。

 アストライアがヴァルシアブラストを放つと、AIロボットに直撃して爆砕した。

「強いのかと思ったけど、大したことなかったわね」

 アストライアは恭子の姿に戻り、AIから服を受け取る。

「行くわよ」

「どこにですか?」

「私の時代に」

「私も一緒に行くんですか?」

「あんた一人置いてったら迫害に遭うわ」

 恭子はAIを連れて救助艇に戻った。

「誰だ?」

 と、デビルキングが二人を見て疑問符を浮かべる。

「私よ、アリスよ。そしてこっちは仲間のAI」

「なんだと?」

「敵に捕まって皮膚を剥がされちゃってね。それより早く戻りましょう」

 救助艇は元の時代の地球へ帰還する。

 光一、美智子、春人は地上に降ろされ、恭子とAIは恭子の宇宙船に移動した。

 宇宙船はヴァルシアへ向かってアルクビエレ・ドライブを行う。

 ヴァルシアに降り、恭子は医療施設へ駆け込んだ。

 元々頑丈な体のヴァルシア人には医療施設は滅多に利用されず空いていた。

 恭子は皮膚科の急速治癒技術で皮膚を再生させて本来の姿を取り戻して服を着た。

 治療室を出ると、連れてきたAIが立っていた。

「アリス様……ですか?」

「そうよ」

「美しい方なんですね」

「ありがとう。……行くよ」

 恭子はAIをロボット研究所へ連れていく。

「アリスさん、今日はどうされたんですか?」

「この子を」

 恭子が顔見知りの研究員にAIを見せる。

「やや!? やややや!」

 研究員はAIを見て驚いた。

「これをどこで!?」

「1000年後の地球」

「間違いない! これはうちで作ったAIロボットですよ!」

「どういうこと?」

「この間の時空震で消えてしまってね。どこへ行ったのかと思っていたのですが、まさかガイアで見つかるとは」

「え?」

「アリスさん、見つけてくれてありがとうございます」

「見つけたというか、そもそも私は事情を知らないのだけど」

「実はこのロボットに生体皮膚組織を生成しようとしていた段階だったんですよ」

「あのさ、もしかして、地球にAI技術提供してる?」

「よくわかりましたね」

「やっぱりね。あんたたちの開発した推論プログラムが1000年後の地球で暴走して人類を滅ぼそうとしてたわ」

「え?」

 恭子の言葉に研究員は固まった。

「まあ、時空震の影響で帰り際に辿り着いた世界だから、本来の歴史なら存在しない世界線かもしれないけどね」

「その推論プログラムは見直す必要がありますね」

「とりあえず、この子はお返しするわ」

「出来上がったらお届けしますね」

「え?」

「実はこの子、アリスさんの姿を模写する予定だったんです」

「どうして?」

「アリスさんがアストライアとして戦っている間の身代わり端末ですよ」

「そうか。だから私と同じ声なのね」

 一瞬の沈黙。

「って、そうじゃないわよ! 私に無断でコピーを作ろうとしてたってわけ!?」

「あなただっていつも無理を言ってくるじゃないですか。おあいこですよ」

「……………………」

 恭子は言葉を失った。


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