36.時空震の先で
ACR。
仮眠室で目を覚ます恭子。
基地内に警報アラームが鳴り響く。
伝令によると、基地が宇宙怪獣に襲撃されているとのことだった。
基地全体が揺れた。
恭子は司令室へ急ぐ。
電気は消え、壁は崩落し、書類等が散乱している。
そして、隊員たちの無惨な亡骸。
「鈴間隊長!」
呼びかけるが反応はない。
再び基地が揺れた。
激しい揺れだった。
立っているのも精一杯。
恭子は転移装置を取り出してアストライアに変身しようとするが。
「あ!」
揺れの影響で手から落ちてしまう。
すぐさま転移装置を拾おうとするが、コロコロと転がって離れていく。
転移装置を追いかける。
外壁が破壊され、内部の空気が勢いよく抜けた。
「きゃああああ!」
恭子が宇宙空間へと吐き出される。
手元にはギリギリで回収した転移装置。
ボタンを押して、アストライアに変身した。
基地を見るアストライア。
宇宙怪獣に破壊されていく。
アストライアは宇宙怪獣に迫り、怒涛の攻撃をしかけた。
しかし、すばしっこい宇宙怪獣はその場から逃げ出してしまった。
目の前には鉄屑となった基地の残骸。
アストライアは拳を握り込み、ワナワナと震えている。
地上。
職場を失った恭子は途方に暮れていた。
そこに、かつての同僚である光一が現れた。
「アリスじゃないか。浮かない顔してるけど何があった?」
「ACR基地、なくなっちゃった」
「え……」
「柳田は今何してるの?」
「俺は事業を立ち上げて時間漂流者を保護する活動をしているよ」
「ああ、あの時のことを」
「ACRがなくなったってどういうことだ?」
恭子は自分の身に起こったことを光一に説明した。
「そうだったのか」
「これから何しようかな」
「行く当てがないなら、俺の事業を手伝ってくれないか?」
「え?」
「人を集めたいんだけど、時間漂流なんて地球人はまず信じてくれない」
恭子は顎に手を当てて考えた。
「いいわ。協力してあげる。それで、保護した人数は?」
「時間漂流自体がそんなに起きないのか、数人くらいだよ」
「運転資金は?」
「防衛省が投資してくれてる」
「なるほどね」
「じゃ、俺は用事があるから行くな。後で連絡するよ」
光一はそう言って去っていった。
直後、宇宙怪獣が現れた。
先程、基地を襲った怪獣だ。
「ぎゃああああおおおおああああ!」
怪獣の咆哮。
恭子は転移装置を取り出した。
「宇宙の平和は、私が守る!」
恭子はアストライアに変身して巨大化した。
怪獣の懐に飛び込むアストライア。
目にも留まらぬ速度で怪獣を翻弄し一気に追い詰めていく。
「であ!」
アストライアは怪獣を後方に投げ飛ばす。
地面に叩きつけられた怪獣は起き上がれずにもがいていた。
アストライアは怪獣めがけてヴァルシアブラストを放つ。
が、しかし、激しい揺れとともに怪獣は姿を消してしまう。
「時空震?」
アストライアが時空の歪みの痕跡を調べると、怪獣は過去のヴァルシアへ飛んだことがわかった。
時空トンネルを通って怪獣を追うアストライア。
過去のヴァルシアに到着するアストライア。
と、同時に光に包まれ、アストライアは別の場所へと転移してしまった。
足元に自分の姿を見た。
(なるほど。そういうことか)
足元の自分がアストライアの体に格納される。
アストライアはその場に膝をついた。
「おい、貴様。回復していないのに私を呼ぶとは血迷ったか?」
「ごめん。でも力を貸して」
「いいだろう。お前のそういうところ嫌いじゃない」
アストライアは立ち上がり、怪獣の懐に潜り、攻撃をいなしながらカウンターを浴びせて追い詰めていく。
「なんだ、普通に戦えるじゃん」
「かなりきついけどな。動かすのはお前で痛みは全部こっちに来るんだよ」
「ごめんね。すぐ終わらせるから」
アストライアは怪獣の反撃をかわしながら虫の息まで追い込み、トドメのヴァルシアブラストでその巨体を木っ端微塵に吹き飛ばしてみせた。
爆風が吹き荒れ、辺り一面に砂埃が巻き上がった。
地上では戦いの一部始終を見ていた人々が歓喜の声と共にエールを送ってくる。
アストライアの体からもう一人の自分が分離すると、彼女は時空転移で元の時間へと帰還した。
山奥の研究施設。
モニターを見ながらいきり立っている男がいる。
「なぜだ! アリスは確かに別の時代に隔離したはずだ! なのになぜ戻ってきてる!?」
男は何が起きているのか理解できていないでいた。
「あの巨大戦闘兵器、絶対に手に入れてみせる……!」
男はパネルを操作し始めた。




