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超機械生命体アストライア  作者: 獅子王子(元桂ヒナギク)


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24/31

24.破壊生命体ギガントクラッシャー

 超広域銀河警察惑星ポリシア。

 作戦会議室で会議が行われていた。

 資料には。

『ガイアスター破壊計画』

 と書いてある。

「確認します。現在ガイアスターは地球住民の柳田 光一、本名アルテウスが保有」

 モニターに光一の顔写真。

「ガイアコットは古代エジプト時代、総長自ら壊滅。国土ごと消滅。生存者記録なし」

 誰も何も言わない。

「しかし例外が一名」

 モニターが切り替わる。

『柳田 光一』

『別名:アルテウス』

『古代エジプト時代人物』

「核爆発時に発生した時空異常へ巻き込まれた可能性が高いと推測されています」

 室内がざわつく。

「あり得るのか……」

「時空漂流者か」

「だが問題はそこではありません」

 再びモニターが切り替わる。

『本人にアルテウスとしての自覚なし』

 沈黙。

「……知らないのか?」

「はい」

「現在、自身を現代日本人と認識」

「記憶障害、あるいは時空移動による自己認識障害の可能性」

 また沈黙。

「……最悪だな」

「最悪ですね」

「危険物を持ってる自覚がない」

「しかも一般人として生活中」

 空気が重くなる。

 その時だった。

 会議室の扉が開く。

 重い足音。

 全員が振り返る。

「総長!」

 現れたのは、超広域銀河警察総長デビルキングだった。

 デビルキングは無言で席に座る。

 そして資料を見た。

「……始めろ」

 一人が立ち上がる。

「総長命令により、ガイアスター破壊計画を開始します」

 ざわつく会議室。

「し、しかし総長!」

「光一は一般人です!」

「しかもアルテウスとしての記憶もない!」

「巻き込まれただけの被害者です!」

 デビルキングは静かに目を閉じた。

「わかっている」

 静寂。

「だが私はあの時代を知っている。ガイアコットが何を生み、何を起こしたかもな」

 誰も口を開けない。

「二度と繰り返させん」

 重い声だった。



 地球。

 日本。

 午後四時。

 商店街。

「安っ」

 柳田 光一はスーパーの特売チラシを見ていた。

「卵九十八円か……」

 至って平和だった。

 古代エジプト。

 ガイアコット。

 アルテウス。

 ガイアスター。

 そんな言葉とは一切無縁の生活。

「今日カレーにするか」

 カゴを持って店内へ入る光一。

 その頃。

 遥か宇宙。

 超広域銀河警察惑星ポリシア。

『ガイアスター破壊計画、開始』

 モニターに赤い文字。

 一方。

「玉ねぎ高っ!」

 全く気づいていなかった。

 自分を巡って銀河規模の会議が行われていることも。

 自分がアルテウスであることも。

 そして。

 誰かが、自分の持つガイアスターを破壊しようとしていることも。



 買い物を終えた光一。

 スーパーの袋を提げて歩いていた。

「卵安かったな」

 平和だった。

 次の瞬間。

 空気が震える。

「……え?」

 地面が揺れた。

 悲鳴。

 遠くでビルの窓ガラスが砕ける。

 振り返る光一。

 そこにいた。

 怪獣。

 全長六十メートル級。

「うわああああ!」

 人々が逃げ惑う。

「な……!」

 光一は怪獣を見上げた。

 怪獣は咆哮すると近くのビルを叩き壊す。

 崩落。

 悲鳴。

「危ない!」

 逃げ遅れた子ども。

 倒れた自転車。

 崩れ落ちる看板。

「くそっ!」

 光一は左腕のブレスレットを見る。

「こんなの使いたくないとか言ってる場合じゃねえ!」

 迷いはなかった。

 光一はブレスレットを操作する。

「来い! ガイアスター!!」

 瞬間。

 ブレスレットが眩く発光した。

 光が空へ伸びる。

 巨大な光の柱。

 そして。

 人工機械生命体ガイアスター出現。

「うおおおおお!!」

 エメラルドブルーの巨体が大地へ降り立つ。

 怪獣が咆哮。

 ガイアスターは拳を握る。

「来い!」

 ガイアスターは怪獣へ駆け出した。

 激突。

 拳と拳。

 衝撃波が街へ吹き抜ける。

 怪獣が腕を振るう。

 ガイアスターはそれを掴んだ。

 捻る。

「うおおおお!」

 怪獣を持ち上げる。

 投げる。

 怪獣の巨体が地面を転がった。

 ガイアスターは追撃。

 拳。

 蹴り。

 膝。

 連撃。

 怪獣が怯む。

「今だ!」

 ガイアスターは腕を構える。

 エネルギー集中。

 光が集まる。

「終わりだぁぁぁ!!」

 閃光。

 光線が怪獣へ直撃した。

 爆発。

 怪獣消滅。

 静寂。

 街に歓声が響く。

「……勝った」

 ガイアスターは拳を握った。

 その時だった。

『警告』

『人工機械生命体制御異常』

「……え?」

『自律制御移行』

 沈黙。

「待て、何だこれ」

 ガイアスターの右腕が。

 ゆっくり動いた。



 街は既に崩壊していた。

 ビルは倒れ。

 道路は割れ。

 炎があちこちで上がっている。

 人々は必死に逃げ惑っていた。

「逃げろー!」

「こっちだ!」

「誰か助けて!」

 ガイアスターは街の中心に立っていた。

 ゆっくり。

 本当にゆっくりと。

 まるで何かを探すように歩く。

「やめろ……」

 ガイアスター内部。

 光一は必死だった。

「やめろ……!」

 だが動かない。

 いや。

 自分の意思と関係なく動いている。

 巨大な右腕が持ち上がる。

「やめろ!」

 轟音。

 拳が振り下ろされた。

 さらに一棟。

 ビルが崩壊する。

「違う! 俺じゃない!」

 ガイアスターは空を見上げた。

 右腕を構える。

 エネルギー収束。

 光が集まる。

「待て、待て待て待て!」

 次の瞬間。

 閃光。

 光線が街を横切った。

 一直線。

 ビル群がまとめて吹き飛ぶ。

 爆炎。

 衝撃。

 光一の顔から血の気が引いた。

「……何でだ。何で止まらない」

 その時。

 空が暗くなった。

 上空を見上げた人々が凍りつく。

「……あれは」

 轟音と共に何かが降下する。

 着地。

 衝撃波。

 道路が砕けた。

「な……」

 ガイアスターの前。

 そこに立っていたのは黒い巨体。

 重装甲。

 巨大な拳。

 破壊生命体ギガントクラッシャーだった。

 その内部。

 デビルキングは静かに前を見つめていた。

「……アルテウス」

 ガイアスターが振り向く。

「待て!」

 光一は叫ぶ。

「俺は——」

 言い終わる前だった。

 ギガントクラッシャーが消えた。

「え?」

 拳。

 轟音。

 ガイアスターの顔面へ直撃。

「がぁっ!」

 ガイアスターの巨体が吹き飛ぶ。

 ビルを貫通。

 さらに地面を転がった。

「待て! 話を聞け!」

 腹部へ蹴り。

 追撃。

 拳。

 拳。

 一方的だった。

 デビルキングは低く言う。

「すまんな」

「お前に罪はない」

「だがガイアスターだけは残せん」

「何言ってんだ!」

 ガイアスターの首を掴み、持ち上げるギガントクラッシャー。

 巨大な拳を振り上げる。

 その時だった。

「そこまで!」

 閃光。

 空から白い光が降下する。

 轟音。

 ギガントクラッシャーとガイアスターの間へ、一体の巨体が静かに着地する。

 白銀の超機械生命体。

 アストライア。

 ギガントクラッシャーの拳を受け止めたまま、ゆっくりと顔を上げる。

「私に任せて」

 静かな声だった。

 傷だらけのガイアスター。

 そして目の前のギガントクラッシャー。

 少しの沈黙。

「デビルキングさん……でしょう?」

「邪魔立てをする気か?」

 ギガントクラッシャーの重い声。

 アストライアは傷だらけのガイアスターを一瞥した。

「いや? ただ、総長さんがやると大変なことになるなあと。私に任せて」

「……何が違う」

 アストライアは傷だらけのガイアスターを見る。

「ガイアスターを壊すのは賛成」

「え?」

 内部の光一が固まる。

「でも順番が違う」

 アストライアは静かに続けた。

「私は先に柳田を出す」

「その後で壊す」

 ギガントクラッシャーは動かない。

「……出せる保証はあるのか」

「ない」

 即答だった。

 沈黙。

「ないけど、総長さんがやると、ガイアスターごと街ごと全部吹き飛ばしそう」

「……失礼だな」

「否定できる?」

 数秒。

 沈黙。

 その頃。

 ガイアスター内部。

 光一の頭は追いついていなかった。

(え? 壊す? 俺を?)


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