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15.深海のリヴァイアサン

 いつもの日常に戻った恭子は、ACR基地のリクライニングルームにいた。

 椅子に座り休憩をしている。

「よう」

 声をかけられ、振り返ると光一が立っている。

「柳田じゃん。久しぶり」

 ニカッと笑ってみせる。

「今までどこにいたんだ?」

「故郷にちょっとね」

「なあ、アリス」

「うん?」

「俺、アリスが戻って来たら言おうと思ってたんだけど……」

「なにを?」

「俺と付き合ってほしい」

「え?」

 突然の告白。

「ごめん。あんたのことは好きだけど、そう言う目線では見れないかなあ」

 光一は玉砕してしまった。

「それに私、気になってる人が故郷にいるから」

「そう……なのか」

 しょんぼりする光一。

 その時、司令室への招集の放送が入った。

「ほら、行くよ」

 恭子は光一と共に司令室へ移動する。

「隊長、何が遭ったんでしょうか?」

 と、恭子が訊ねる。

「うん。先ほど、深海で巨大生物を目撃したという報告があった」

「深海で?」

「旧約聖書のリヴァイアサンと酷似してることから、リヴァイアサンと名付けられた」

「それがなんでうちに報告が?」

「実はな——」

 海底調査員が深海を調査中にリヴァイアサンが出現し潜水艦を飲み込み、その間際に送られて来たSOS音声の記録がある。

 巨大な怪獣が現れた。うわ、飲み込ま——。

 音声データはそこで途切れていたのだ。

「それで二名ほどACRで開発した海底探査機で調査に行ってもらいたい」

 そう言って隊長の鈴間は隊員たちを見る。

「私、立候補していいですか?」

 そう言うのは恭子だ。

「お前、目立ちたがり屋だな。こう言うことっていつも立候補するよな」

 そう突っ込む隊員の一人。

「いいですよね?」

「いいだろう。他には……」

「じゃあ、たまには俺も行こうかな」

 そう言うのは、金田かねだ 雄一ゆういちという先ほど突っ込んだ隊員だ。

「では、金田と高木の両名で向かってくれ」

「「了解!」」

 二人はACRの所有する船着場へ移動する。

 海底探査機に乗り込む二人。

 操縦桿を握り、海底へと向かう。

 海底探査機は深海を航行。

 レーダーも反応はない。

「特に異常は見られないがなあ」

 その時、何かが近づいてくるのが、レーダーに映り込んだ。

「なんか来たぞお!」

 窓から覗き込むと、全長五十メートルはあろう、巨大な蛇が接近していた。

「金田さん、なんか来るわ!」

「リヴァイアサンか!?」

 リヴァイアサンと思しきその蛇は大口を開けて探査機を飲み込む。

 胃袋に入り込み、退路を断たれる。

「飲み込まれちゃったね」

「お前、こんな時に冷静だな」

「え? 高校生らしく焦ってほしい? え、なに。どうしようって?」

「いや、鬱陶しいから冷静なままでいてくれ」

「……………………」

「それより、ここからどう出るか」

 恭子は懐からスティックを取り出すが。

(ここでアストライアになったら面倒なことになるわね。けど、変身しないと、ここから出ることも叶わないわ)

「高木隊員、それはなんだ?」

 雄一が恭子のスティックを見て訊ねる。

「金田さん。金田さんって口堅い?」

「どうかな? かもしれないよ」

「どっちなのよ!?」

「目撃したものにもよるかな」

「じゃあさ、今から起こること、みんなには内緒にしてて」

「ああ。いいけど、何するんだ?」

 恭子はスティックを頭上に掲げてスイッチを押す。

 刹那、恭子の体が消滅すると共にアストライアが出現して探査機を抱え、大蛇の体外へ空間転移を行う。

「高木隊員!?」

 と、驚き戸惑う雄一。

 探査機の外を見ると、リヴァイアサンと同じくらいの大きさのアストライアという白銀の巨人が神々しさを出しながら立っていた。

 リヴァイアサンはアストライアの突然の出現にびっくりして逃げ出していく。

「俺は夢でも見てるのだろうか。高木隊員が消えて巨人が現れた。彼女がアストライアだったのか」

 アストライアは探査機の窓に顔を近づけ言った。

「あなたは地上に戻りなさい。あいつは私が倒すわ」

 雄一は動揺していて彼女の声が理解できない。

 アストライアは探査機を地面に置くと、泳いでリヴァイアサンの後を追っていった。

 我に返った雄一は、操縦桿を握ってアストライアを追う。

「こんな楽しそうな状況、見ないで帰れますかってんだ」

 探査機はゆっくりと航行を始めた。

(ん?)

 アストライアは後方の気配に気づく。

「どうしてついてくるの?」

「お前の活躍ぶりを間近で見れるチャンスなんだ。そのまま帰るなんて勿体無い。嫌でもついていくぜ」

「好きにして。安全の保障はできないわよ」

 アストライアはリヴァイアサンに追いついた。

 リヴァイアサンはアストライアの気配に気づき、興奮して襲いかかって来た。

 水中では体をうまく動かせず、アストライアはリヴァイアサンの素早い動きに翻弄される。

『私の体は本来、水中向けではないんだ。無茶だこれは』

(ふん。私を誰だと思ってるの?)

 刹那、アストライアに格納されている恭子の体が反応し、全身に繋がれている配線を通して彼女の体から放たれたタキオン粒子がその巨体へと駆け巡る。

 レイクローディ発動。

 今まで素早かったリヴァイアサンの速度がアストライアの目にはほとんど止まっているように見えた。

『なんだ? 私の記憶にはない技だ。何をしたんだ、アリス?』

 アストライアはリヴァイアサンにの前に歩き、大きく開けている口の中に手を突っ込み、ヴァルシアブラストを発射する。

 レイクローディ解除。

 その瞬間、リヴァイアサンの体が大爆発を起こし、その大蛇の大量の血液が辺りに漂いながら海水に広がっていく。

 探査機から見ていた雄一は。

「一体、何が起きたんだ? アストライアが消えたかと思ったら、次の瞬間にはあの大蛇が爆発した。あいつがやったのか?」

 アストライアは探査機に向かってドヤ顔でサムズアップをした。

「だせえ! それがかっこいいと思いながら出してドヤ顔してるところが余計にだせえ!」

 アストライアは地面を蹴り、海上へと上昇すると水面を飛び出してそのまま空の彼方へと消え去っていった。

「俺は自力で帰れというのか」

 雄一はツッコミを入れながらも探査機を船着場へと移動させて外に出た。

 桟橋に恭子の姿がある。

「おかえり」

「お前、俺を置いていくなよ」

「ああ、それは申し訳ない」

「で? どういうことなんだ。説明してくれ」

「嫌だ。めんどくさい」

 恭子はそう言って歩き出す。

「隊長に報告するぞ」

「あんたにはできないよ」

 恭子はそう断言して歩き去っていった。


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