表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/28

16.海の怪物クラーケン

 沖へ出た年配の男性が船の上から魚釣りをしている。

「お!」

 竿に何かがかかり、男性は釣り上げようとする。

「くっ、結構大物だぞ!」

 リールを巻いたり緩めたりして海の中の相手との格闘。

「よし!」

 魚を釣り上げた。

 そう思った。

 しかし、水面から顔を出したのは、大きなイカの怪物。

 全長五十メートルほどのイカだ。

 クラーケンと呼ばれるそのイカは、船の上の男性を押す。

「うわ! うわああああ!」

 男性はクラーケンの触手に絡め取られ海に引きづり込まれてしまう。



 ACR基地。

 鈴間が話をしている。

「先日、東京湾の沖合で、釣り客が巨大な何かに海へ引きづり込まれるという事件があった」

「巨大な何か?」

 と、隊員の一人が訊く。

「うん。近くを遊覧していた乗組員が確認したそうだ。巨大なイカを」

「巨大なイカですか?」

 と、恭子。

「推定全長五十メートルはあるとのことだった。恐らく、近世ノルウェーに伝わっていた海の怪物……クラーケンではないかと思われる」

「そのクラーケンがどうして日本に?」

「実はな、クラーケンはノルウェーだけの伝説ではないんだ。日本でも深海獣イカルガとして恐れられてきていたんだ」

「イカルガ……」

 その場にいた隊員たちが一堂に想像して戦慄する。

「まずは高木隊員。クラーケンの調査メンバーに入ってくれ」

 鈴間がそう指名してから、他の隊員を見る。

「そうだな。今回はイカ博士の斑鳩いかるが隊員に行ってもらおう」

 斑鳩隊員が突っ込む。

「隊長、相手がイカルガだから僕を選んでます?」

「お前はイカの生態にとても詳しい。だから選んだ」

 鈴間は一瞬だけ目を逸らした。

「高木隊員、斑鳩隊員の両名は準備して現地に向かってくれ」

「「はい!」」

 二人は海底探査機で東京湾の沖合の調査に向かった。

 探査機の中で斑鳩が口を開く。

「いくら僕がイカ博士でも、クラーケンの生態がイカと合致するとは思えないけどなあ」

「じゃあ何しに来たんですか?」

 と、恭子は訊く。

「隊長に訊いて」

 ごもっともだった。

 探査機がしばらく海底を航行。

 恭子は窓の外を覗き込んでいる。

「高木さん、何か異常はありますか?」

「いや、特には……」

 刹那、探査機のレーダーに反応が現れた。

「後方から何か近づいてきてます。見えますか」

 恭子は目を凝らして後方を確認する。

 確かに何かが近づいていきている。それも大きな影だ。

「ぶつかると危険よ。浮上しましょう」

 探査機が浮上する。

 大きな影はそれを見て追いかけてくる。

「追跡してくる?」

 と、恭子。

「何ですって?」

 そう言うのは斑鳩だ。

「斑鳩さん、向きを変えて魚雷を発射」

 斑鳩は探査機の向きを後方の巨大な影に変え魚雷を発射した。

 太い触手のようなものが動き、魚雷を撃ち落とす。

 影は接近する速度を上げる。

 そして、その影がだんだんと近づいてきて、はっきりとした姿が見えてきた。

 全長五十メートルの巨大なイカ。

 クラーケン。

 間違いようがなかった。

「く、クラーケンだああああ!」

 クラーケンの触手が探査機を襲う。

 探査機はコントロールを失い海底へ落下していく。

 急激な水圧変化で探査機の皮膜が音を立てて凹む。

 探査機は海底に墜落すると少し地面を滑って止まった。

 衝撃が原因で故障したのか、探査機はびくともしない。

「やべえ、船体壊れた!」

「ちょっと、どうやって逃げるのよ!?」

「助けてくれ、ウルトラマーン!」

「そんなものいるわけないでしょう!?」

 二人が漫才をしている間にも、クラーケンは探査機に近づいてくる。

 恭子は懐からスティックを取り出すが。

(この状況を何とかするにはこれしかないけど……)

 しかし船内には斑鳩が乗っている。

 アストライアを呼び出せば、斑鳩に正体を知られてしまう。

 恭子はスティックを押すわけにはいかなかった。

 斑鳩は口が軽い。内緒話など到底できないタイプの人間だった。

 クラーケンが触手で探査機を巻き取る。

 絶対絶命のピンチ。

 そう思った時、伝説の海神が現れ、クラーケンの触手を切り落とし、探査機を救出した。

「あの巨人は……?」

 首を傾げる斑鳩。

 探査機はゆっくりと海底に着地する。

 恭子は海神を見て懐かしさを覚えた。

(ポセイドーン……)

 海神ポセイドーン。

 恭子がまだ自衛隊に所属する前、海底神殿でお世話になったことのある旧知の仲だ。

 目の前のポセイドーンがクラーケンと戦う。

 ポセイドーンの剣が遅いくるクラーケンの触手を切り落とし。

 残った触手でポセイドーンの顔を叩く。

 ポセイドーンは触手を払い。

 クラーケンが触手でポセイドーンを転ばせる。

 ポセイドーンは起き上がり、迫り来るクラーケンの触手を切った。

 クラーケンは残る全ての触手を使ってポセイドーンを襲う。

 ポセイドーンはバックステップで攻撃をかわし、クラーケンが触手を引いた隙に懐へと潜る。

 クラーケンの体にポセイドーンの剣が突き刺さる。

「ぎああああ!」

 悲鳴を上げるクラーケン。

 ポセイドーンは剣を抜き、頭上に振りかぶるとクラーケンに向かってジャンプしてその刃を一気に下ろした。

 クラーケンの体が縦に真っ二つに切り裂かれ、力を失ってその場に崩れ落ちた。

 ポセイドーンは探査機を抱え、浮上して陸地にゆっくりと置いた。

 探査機から降りる二人。

「誰だかわからないけど、助かったよ!」

 と、斑鳩がポセイドーンの方を向いて言った。

 ポセイドーンは恭子に気づくと、声をかけようした。

 しかし、恭子が両手を顔の前でブンブン振ると、ポセイドーンはその意味を理解して何も言わなかった。

 そして、ポセイドーンは海の底へと戻っていくのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ