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13.地球と巨大戦艦

 その朝、恭子は母に挨拶をし、空港へとやって来た。

 宇宙船に乗り込み操縦席のパネルを操作する。

 恭子を乗せた宇宙船が浮揚し、宇宙空間へと飛び出す。

「さて、地球に戻るとしますか」

 アルクビエレ・ドライブを開始。

 宇宙船前方の時空が縮み、後方の空間が膨張することで、船体のワープ航行が完了する。

 時間は本当に一瞬である。

 どういうことかというと、船体は一切動くことなく、宇宙空間側が光速を超えるスピードで滑るように移動するのだ。

 宇宙船が地球の近くに現れるが、恭子の視界からその地球が見つからない。

「あれ?」

 見渡す限り、暗黒の空間が広がっている。

 恭子はポリシアへの通報を行った、

 彼らの母船もアルクビエレ・ドライブで恭子の宇宙船の前に瞬時に現れる。

 空間転移で恭子の前にデビルキングが現れる。

「何の用だ?」

「地球が見つからないの。ポイントは合ってるはずなのに」

「それ、実はな——」

 デビルキングは地球に巨大隕石が衝突し、バラバラに砕け散ってしまったことを話した。

「そんな……!」

 恭子は膝から崩れ落ちた。

「地球を直したいか?」

「直せるの?」

「いや、正確にはタイムスリップで歴史を書き換えるんだ」

 デビルキングが懐から時空転移装置を取り出した。

「これは空間転移よね?」

「それは違う。時空転移装置だ」

「時空転移装置?」

「通常の空間転移に加え時間移動も可能となった上位互換の装置だ。今後の戦いでも使うことになるだろうから、君に一つ渡しておこう」

 恭子は装置を受け取った。

「時間と座標を入力してボタンを押せばその時間のその場所に移動できる。気を付けなければいけないのは、時間を移動する際に座標の入力を忘れたり間違えたりすると、大変なことになるからな。宇宙空間に放り出される」

「わかったよ。で、隕石はいつごろ?」

「一時間ほど前だ」

 そう言って、「では」と、デビルキングは母船へ転移していった。

 恭子は時間と空間座標を入力し、ボタンを押して宇宙船ごとタイムスリップを行う。

 地球に向かって、特大サイズの隕石が接近している。

「冗談じゃない! あんなのがぶつかったらひとたまりもない!」

 恭子はアストライアになりて、宇宙空間に移動した。

 アストライアは隕石に突進し、両手で受け止める。

「ぐっ……」

 隕石の速度を低下させ、軌道を変える。

 進路を変えられた隕石は地球の横を通過して真っ直ぐ飛んでいく。

 しかし、隕石は抗うかのように方向転換し、地球を目掛けて突き進む。

(どういうことよ!?)

 アストライアは隕石内部を透視した。

 どうやら、隕石はカモフラージュで中身はゴリゴリの巨大な球体の宇宙船だった。

(ふざけやがって……! そっちがその気ならもう怒った!)

 アストライアは宇宙船に戻り、恭子に戻ってエネルギー光子砲の準備をした。

「くらえ!」

 光子砲からエネルギービームが放たれ、巨大宇宙船に接近していく。

 宇宙船は動きを止め、エネルギービームと同等の威力の光線を打ち返して相殺する。

「……!?」

 さらに追撃で宇宙船から機銃が放たられる。

 恭子の船体は攻撃をかわす。

 するとホーミング型ミサイルを宇宙船が飛ばして来た。

 船体は攻撃をかわし、相手の宇宙船へとギリギリにまで接近し、急上昇して追従してきたミサイルを叩き込む。

 反撃をくらった宇宙船は損傷し、内部へ続く大穴が開いた。

 外側と内部の空気圧の差により、中からあらゆるものが飛び出してくる。

 宇宙船の防護壁が作動し、大穴が塞がり始める。

 船体は閉まりかけの防護壁との隙間をくぐり抜け、宇宙船に飛び込んで強引に着陸した。

「ふう……」

 外に出る恭子。

 そこに、宇宙船内の乗組員たちが武装をしてやってくる。

「曲者目!」

 乗組員の一人が恭子に近づき、その体を拘束した。

 捕えられた恭子は拷問室へ連れられ、座席に座らせられて固定される。

「我々の邪魔立てをするとはな。いい度胸だ」

 そこに「艦長!」と呼ばれた年配の男が現れる。

「ほおう? 可愛い顔をしているな」

「嬉しくないわね」

「貴様に開けられた大穴だが、修理代を請求する」

 艦長がそういうと、乗組員が突っ込む。

「艦長、それ違うでしょ!?」

「ああ、そうだったな」

 艦長は咳払いをして気を取り直し、口を開こうとしたが、恭子が先に話し出した。

「なぜ地球……ガイアを狙った?」

「人の話を遮るな!」

 艦長が手に持っていたスイッチを押すと、恭子の体に電流が流れる。

「うわわわわ!」

 感電した恭子は力が抜けて項垂れると同時に体から湯気が立ち込めた。

「聞こう。邪魔立てをする理由はなんだ?」

 恭子はその問いに答える。

「守りたいからだ。あそこには小さな生命が育まれてる。それを失わせたくはない」

「我々はあの惑星ほしを破壊しなければならない」

「何のために?」

「目障りだからだ」

「どういうことよ?」

 艦長が指をスナップすると、乗組員がスクリーンを下ろし、部屋の照明を消してプロジェクターで映像を映し出した。

 約6600万年前の太古の地球。

 ノワール星からやって来た調査隊が現地の肉食恐竜に襲われ全滅した。

 彼らが倒れる間際、ノワール星の軍に救難信号が発せられ、軍は総力を結して光の速度で地球へ向かい、巨大戦艦でそのまま突っ込んで破壊することにしたのである。

「それがなんで今来る? 関係ないだろ」

 明かりが点く。

「関係ない? あそこには凶悪な巨大生命体が跋扈ばっこしてるではないか」

「映像の巨大生物だが、それは今から約6600万年以前に活動していた恐竜というものだ。そんなものすでに隕石の衝突で絶滅してるわよ」

「どういうことだ? 我々は救難信号を受けて一刻でも早く救助しなければと、光速航行でやってきたのだぞ。なのになぜそんなに時間が経っている?」

「それは通常の光速航行だからよ」

「どういうことだ」

「秒速30万kmで長距離を進みゃそうなるよ。時間は速度を上げていくとやがては止まるからね」

「止まるのであれば我々が到達するまでに6600万年も経つわけないだろ?」

「それは光速で動くものを外側から観測した場合だ。光速で動く内側のものから見ると外の時間は速く進むんだよ。現在のあの星には高度な知的文明が栄えている。だから私はあの星を何があっても守る」

 艦長は膝から崩れ落ちる。

「我々の感覚としてはそんなに経っていなかったのに……!」

 艦長の瞳から一雫の液体がポタポタと床に垂れる。

「大丈夫。まだ彼らを救う手立てはある」

 艦長は顔を上げた。

「本当か!?」

「私がタイムスリップして救助してこよう」

「タイムスリップ?」

「うん。6600万年前のあの星に行って、彼らを私がここまで連れてくる」

「そんなことが! 過去をやり直せるというのか!」

「任せといて」

「……。解いてやれ」

 艦長の指示で恭子の拘束が解かれる。

 恭子は徐に立ち上がる。

「いったん私は宇宙船に戻って支度をしてから行くわ」

「ああ。彼らを救えるならなんでもいい」

 恭子は自分の宇宙船に転移し、時間旅行の準備をする。

『なにをしているんだ?』

「うん? ちょっと6600万年ほど前に」

『時間跳躍か。しかし何のために?』

「救助活動だよ」

『また私の出番ということか?』

「たぶんそうなると思う」

『ふざけるな。私は傷を負っているのだ』

「別に今すぐじゃないわよ。私だけ一週間後に飛んで、そっちのあなたを連れていくから」

『なるほど。それは名案だ』

「じゃあね」

 恭子は一週間後のアストライアの前に飛ぶ。

 アストライアから見ると、本当に一週間が経っていた。

『本当に一週間前から来たのか?』

「うん。怪我の具合はどうお?」

『バッチリだ。すぐにでも動ける』

 恭子はアストライアと共に恐竜時代の地球にタイムスリップをするのだった。


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