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異世界転生救済課─「お前を、この異世界から排除《ドレイン》する……」【フォーニーファミーリア】  作者: ねず ただひま
朝憲紊乱の章

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06. 英、呼び出しをくらう

千代草ちよぐさ



 私たちがいる屋上が、他のビル群が放つ煌めきに照らされた頃、救済課の諜報部員と医療班が駆けつけ、リョーコさんを連れて行った。別れ際、彼女は私たちに向かって深く頭を下げた。私も深く頭を下げ、芙蓉ふようは両手を大きく振って「リョーコさん、がんばってねー!」と叫んだ。


 屋上に少しだけ冷たく、乾いた秋の風が吹いた。


「ふぅー、一件落着っと。ねえ、この後みんなでご飯食べに行こうよ!」


「いいですね。そろそろお腹も空いてきましたし」


 芙蓉ふようの提案に花冠かかんさんが賛同する。私もいい具合に空腹を感じている。今なら何を食べても美味しくいただけそうだ。それに、リョーコさんの今後について、班長に話したいことがあったのでちょうどいい。


「すまない、食事代は俺が出すから、飯は三人で行ってくれ」


「えぇ〜」


 はなぶさ班長が誘いをあっさり断り、芙蓉ふようは落胆の声を漏らした。私もちょっと残念に思う。みんなで一緒にごはんを食べる機会なんて、そう多くないのだから。


「班長、何か予定がありましたか?」


 花冠かかんさんの問い掛けに、班長は頭をかいて答えた。


千代草ちよぐさが戻る少し前、課長から通信が入っていたんだ。任務が終わったら会って話がしたいと」


「それはまた、随分と急ですね……何かあったのでしょうか」


「さぁな……課長あのひとの事だ。絶対に、ろくな話じゃないだろうな」

 

 班長はため息をつきながら、物凄く嫌そうな顔をしてそう言った。じゃあ今の内にお願いしておこう。


はなぶさ班長、リョーコさんのことなんですが……」


 私がそう言うと、班長は私が伝えたい言葉の続きを口にした。


「あぁ、わかってるよ……上原リョーコの頭の中から、異世界で過ごした記憶を消さないでくれって言いたいんだろ。彼女は俺達に協力してくれた。充分『優良』だ。強制学習きおくのかいざんはしない。新しい土地で人生のリスタートをしてもらう」


「本当!? ありがとう、はなぶささん! ……あ、いやはなぶさ班長!」


 そう言ってくれて、私は嬉しい気持ちで胸がいっぱいになった。私は、リョーコさんの記憶の中から、アメリアが消えてしまうことが嫌だったから。


 はなぶさ班長は、普段は()()()()してるけど、ちゃんと気持ちを汲んでくれるから……好き。


「流石はハナブー班長! それにしてもつまんないなぁ……蒲公英たんぽぽ課長は空気読んで欲しい」


 芙蓉ふようは口を尖らせる。


「ま、しょうがないでしょ。それはそうと、ご飯代は班長持ちらしいので〜……今晩は焼肉かお寿司の二択になったわね♪」


 そう言った私の頭の中では、牛さんと魚さんが手を繋いで嬉しそうに踊っている。


「ウチはお肉がいいなぁ〜、来られないハナブーの分も食べるよ〜!」

花冠かかんさんはどっちが良いですか?」

「おま二人に任せますよ」

「じゃあ焼肉に決まりねっ!」

「お、おいおい、お手柔らかに頼むぜ。班長になっても薄給なんだ」


 身銭を切らない食事会となれば、当然盛り上がる。遠慮はしないのが私の礼儀だ。参加できないはなぶさ班長は焦った顔を見せた。


「やれやれ……花冠かかん。色んな意味で二人を頼んだ」

「ふふ、かしこまりました。班長、お気をつけて」


 はなぶさ班長は私たちを残して屋上を後にした。その後姿を、私と芙蓉ふようは、冗談っぽく空手家のように腕を交差させ「ゴチです!」と言って見送った。




 悪役令嬢パートを読んでいただきありがとうございました。次回、飯テロ!


*次回、『ねぎ塩牛タン死亡遊戯』


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― 新着の感想 ―
ほっこりするいいお話でした! アメリアとの思い出を糧に、これからのリョーコはまた人生を前向きに楽しんでいけるといいですね。
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