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異世界転生救済課─「お前を、この異世界から排除《ドレイン》する……」【フォーニーファミーリア】  作者: ねず ただひま
事予則立の章

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21/27

21. 会議後、英《はなぶさ》

事予則立じよそくりつ

意味:行動を起こす前に十分な準備や計画をしておくと良い。

はなぶさ


 

『やはりお前はとんでもない嘘つきだな、はぁ〜、参ったぜぇ』


 黒百合くろゆりが両手で持っている硝子の林檎から、蒲公英たんぽぽ課長の大きなため息が聞こえてきた。

 集会が終わった後、俺は救済課のみんなが去った会場に黒百合くろゆりと二人で残り、一連の動きを報告している最中だ。


「特命というワードは伏せたままなので、問題はないかと……それに、“他の班を巻き込むな”とは言われてなかったんで」


『お前って奴は……それでもな、賢者達サーガに不信感を与える事になったぞ。三班合同で、たった一人の叛逆者レネゲードを粛正するなんてなぁ、前代未聞だぁ』


「バレなければ大丈夫ですよ。必要ならば、俺から賢者達サーガへ直接説明して納得させますが。もちろん嘘はつきますけど」


 課長はハァーとまた大きなため息をついた。


『バカヤロー、余計ややこしくなるわ』


「少しは申し訳ないと思っていますよ。ただ、戦力が足りない上に、時間もありません。それに、馬酔木あしびからうばらの事を詳しく聞いておきたいんです。こっちは俺たちがなんとかしますから、賢者達サーガは課長が上手く抑えておいて下さい。それと、紫雲英げんげはツキの未来死が課長へ向けられている事と、脅迫されていることはまだ知らないはずです。もし知っていたのであれば、今回の集会に部下を出席させなかったでしょう。馬酔木あしび達が集会に来た理由は、紫雲英げんげの行動が漏れていないかの確認……それと、ツキが創った異世界に関係する情報が手に入るか……でしょうね」


「課長、紫雲英げんげが先にうばらとツキを見つけて、貴方へ突きつけた要求と未来死の事を知れば、きっと賢者達サーガに報告するでしょうね……最悪の場合、うばら粛正から手を引くかもしれない。貴方が死ぬ事を一番に望んでいる人なのだから」


 どうやら黒百合くろゆりは、少なくとも俺の考えを受け入れているようだ。


 課長は特命と称して俺を使い、秘密裏にうばらとツキを捕獲したい……


 紫雲英げんげは自分の立場を守る為に離反した部下を秘密裏に処分したい……


 俺たちと紫雲英げんげの目的はほとんど同じだ。


『やれやれだぜぇ……分かった。はなぶさ、お前に託す。だが最後にひとつ……なぜ九鬼くきを巻き込んだ? 今やアイツは、賢者達サーガ向けの広告塔みたいなモンだぞ。なるべく綺麗な仕事だけ任せたかったんだ』


 その問いに、俺は口角を上げて答える。


「そんなぬるい扱いされたって、あの人は面白く思わないですよ。それに、俺をこの業界に連れ込んだ人なんだ。トコトン付き合ってもらいたい」


「あら、はなぶさ班長は本当に九鬼くき班長の事が好きなのね……悔しいわ」

 目の前の黒百合くろゆりが困り眉で口を尖らせた。

 俺は黒百合くろゆりを真っ直ぐ見つめる。


「信頼だよ。俺がこの世で一番信頼している“最強の上司”……だから」


『やれやれ、まったく……()()()ぜ……』

 



*次回、『会議後、九鬼班』

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