12 棒人間《ドゥードゥル》
◆英◆
「保険? 彼が?」
筍は緊張して、肩をすくめて正座をしている。視線は変わらず下のままで顔は赤い。
「そう! 何を隠そう、彼は四人目の希少種なのだ! どーーーーん!」
課長の声色が上がり、隣の筍に長い手を向けた。
「はぁ?」
驚いて言葉が続かない。
俺、千代草、桔梗の三人は元異世界転生者であり、異世界で使っていたチート能力を使える数少ない人間だ。四人目が現れるとは……
「お前は覚えてないだろうが、実は筍はな、二年前にお前が助けた救出対象者なんだ。つい最近になって能力が目覚めたんだよ」
驚きはさらに増した。
「年に二百近い人を連れ戻しているんだ。確かに覚えていないが、それよりも、後発的に能力に目覚めるケースなんて初めてじゃないですか?……いや、ちょっと待って下さい! 彼は普通の救出対象者として、一度記憶を改竄されたのでは?」
「本人の前で答えるのは気の毒だが、確かに記憶はイジった……が、能力の開花と共に記憶は戻ったそうだ。こんな事は初めてだよ。それで半年訓練させた後、配属先の希望を聞いたらお前の下がいいって言われたよ。ははは」
萎縮している筍の背中をバシバシと叩くと、ビールで喉を鳴らした。空になったグラスに黒百合が再びビールを注ぐ。
「ま、面倒見てやってくれ。結構面白い能力だぞ。それに必ず役に立ってくれるさ」
「面白い能力……それが保険に?」
「そうだ、だがまだ秘密だ」
「言えないことが多すぎですよ……ハァ」
ため息混じりてそう言った直後、突然筍が部屋中に響く声を出して立ち上がった。
「英班長ッ!!」
「うわビックリした!」俺たち大人組の肩が跳ねた。
「は! 英班長! その節は! た、大変お世話になりましたッ! 未熟者ですが! 死ぬ気で頑張ります! 宜しくお願いします!!」
筍は、頭と膝がくっつくほど深く頭を下げて俺を圧倒した。
「お、おう……宜しくな。あと、死ななくていいからな」
「ふふ、可愛いルーキーの誕生ね」
黒百合は微笑み、課長はまたビールを煽った。
「では……特命を受けるかわり、と言ってはなんですが、そろそろ俺の要望を聞いてもらえますよね?」
声のトーンを一段落とし、真剣な顔を作る。
「例のアレか? 仕方ねぇ……わかったよ」
「では早速、明日の正午でお願いします。時間がありません、号令は今夜中にお願いします。」
班長になってから構想していた案が、やっと通ったことで、俺は自然と笑みをこぼしていた。
異能力バトルとタグ付けしておきなが、今回まで本格的な戦闘がありませんでした。
しかし、次話より場面は変わり、救済課一の問題児が登場します。圧倒的な暴力とアブナイ展開を堪能してください。
追伸、読んでいただき、ありがとうございす。
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*次回、『最狂の女、麝香、現る』




