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悪役令嬢セレフィーナ 乙女ゲームが始まらない  作者: 南蛇井


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第43話:陰謀大暴走

王都は、静かに壊れ始めていた。


表向きはまだ秩序が保たれている。


城門は閉じられ、騎士団が巡回し、鐘はいつも通り鳴る。


だが、その裏側では。


すべてが崩れかけていた。


王宮の奥。


医療室。


王子はベッドに横たわっていた。


顔色は青い。


呼吸は浅い。


宰相が腕を組んで立っている。


医師が言った。


「極度の疲労です」


「命に別状はありませんが……」


宰相は低く言う。


「いつ目を覚ます」


医師は首を振る。


「分かりません」


沈黙。


宰相は窓の外を見る。


王都。


炎。


煙。


そして空の亀裂。


彼は呟く。


「……最悪のタイミングだ」


王子が倒れたことは、まだ公表されていない。


だが噂は、すでに街に広がっていた。


市場。


人々が囁き合う。


「聞いたか」


「王子が倒れたらしい」


「聖女様も……」


別の男が顔を青くする。


「じゃあ、この国は」


誰も続きの言葉を言わなかった。


不安が広がる。


王都の空気が、さらに重くなる。


王都の地下。


暗い石室。


数人の貴族が円卓を囲んでいた。


彼らは旧貴族派。


かつて王子に権力を奪われた者たち。


一人が笑う。


「ついに来た」


別の男が言う。


「王子が倒れた」


「騎士団長も動けない」


「聖女も意識不明」


沈黙。


そして。


男がゆっくり立ち上がる。


「今が好機だ」


机に手を置く。


「王国を取り戻す」


クーデターの準備が始まった。


港。


夜の海。


黒い船が静かに停泊していた。


甲板に立つのは、商業都市連合の密偵。


隊長が言う。


「目標は一人」


部下が頷く。


「聖女」


隊長は冷静だった。


「殺すな」


「傷つけるな」


「連れて帰る」


理由は簡単だった。


聖女を手に入れれば。


信仰。


巡礼。


奇跡。


すべてが金になる。


男は小さく笑った。


「最高の商品だ」


王都の門。


昼。


白い旗を掲げた一団が到着していた。


神聖教国の騎士。


調査団の代表が門番に言う。


「聖女に会わせてほしい」


門番は困った顔をする。


「今は……」


騎士は静かに続けた。


「これは教皇の命令です」


その目は冷たかった。


「もし聖女が本物なら」


「神のもとへ迎える必要があります」


言葉は丁寧だった。


だが意味は明白だった。


連れて行く。


北方帝国。


巨大な玉座の間。


皇帝が報告を聞いていた。


「王子倒れる」


「王都混乱」


「魔族接近」


将軍が言う。


「命令を」


皇帝はゆっくり立ち上がる。


窓の外を見る。


遠い南の空。


「軍を出す」


将軍が頷く。


皇帝は続けた。


「秩序維持だ」


だが将軍たちは知っていた。


それは。


侵攻だった。


王都の外。


丘の上。


ミリアは立っていた。


魔王軍が後ろに広がる。


魔族の将軍が言う。


「人間は崩れている」


「攻めるべきだ」


ミリアは王都を見た。


炎。


混乱。


揺れる灯り。


彼女は小さく首を振る。


「まだ」


将軍が不満そうに言う。


「なぜだ」


ミリアは答えない。


ただ、空の亀裂を見る。


世界の歪み。


そして、呟く。


「……全部動く」


教会。


夜。


聖堂の奥の部屋。


セレフィーナは眠っていた。


意識は戻らない。


神官が椅子に座り、うとうとしている。


警備の騎士は三人。


本来なら、もっと多い。


だが今は。


人手が足りない。


王都は戦場だった。


その夜。


教会の外。


影が三つ現れた。


黒装束の男たち。


商業都市の密偵。


屋根の上に降りる。


同じ頃。


別の門から白い鎧の騎士たちが入る。


神聖教国の部隊。


さらに。


地下通路。


暗殺者たちが進む。


旧貴族派。


三つの勢力。


目的は同じ。


聖女。


教会の廊下。


静かな足音。


密偵が扉に手をかける。


反対側の廊下では、教国の騎士が剣を抜く。


地下階段では暗殺者が短剣を握る。


同じ瞬間。


三つの扉が開く。


そこには。


ベッドで眠るセレフィーナ。


窓の外。


空の亀裂が光る。


黒い光。


その光を遠くから見ながら。


丘の上でミリアが呟いた。


「全部、動いた」


世界の陰謀が。


同時に爆発しようとしていた。

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