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悪役令嬢セレフィーナ 乙女ゲームが始まらない  作者: 南蛇井


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第44話:王国危機

夜の王都に、鐘の音が鳴り響いた。


だがそれは祈りの鐘ではない。


警鐘だった。


「火事だ!」


「教会で戦闘が起きている!」


叫び声が街に広がる。


人々が窓を開け、通りに飛び出し、遠くの空を見る。


教会の方向。


赤い炎が夜空を染めていた。


教会の中。


静かな祈りの場所は、すでに戦場だった。


剣がぶつかる。


床に血が飛ぶ。


商業都市の密偵が短剣を振るう。


神聖教国の騎士が盾で受ける。


その背後から、黒装束の暗殺者が襲いかかる。


三つの勢力が互いに斬り合っていた。


「邪魔だ!」


「聖女を渡せ!」


「神の御名のもとに!」


怒号が飛び交う。


だが誰もが同じ命令を受けていた。


殺すな。


確保しろ。


そのため戦いは余計に混乱していた。


誰もが手加減しながら、互いの足を引っ張る。


その中心。


奥の部屋。


ベッドの上で、セレフィーナはまだ眠っていた。


王宮。


宰相の机に兵士が飛び込んできた。


「報告!」


「教会で戦闘が発生しました!」


宰相が顔を上げる。


「何だと」


兵士が続ける。


「外国勢力が侵入しています!」


宰相は椅子を蹴って立ち上がった。


「騎士団を出せ!」


だが次の言葉が詰まる。


騎士団長は倒れている。


王子も意識不明。


指揮系統が乱れていた。


部屋の空気が凍る。


宰相は歯を食いしばった。


「……全隊、出動だ」


教会の外。


巡礼者たちが騒いでいた。


炎。


叫び声。


兵士。


誰かが言う。


「聖女様が誘拐された!」


その言葉が広がる。


「誘拐?」


「外国の仕業だ!」


「守れ!」


人々が押し寄せる。


難民。


信者。


市民。


群衆は怒りと恐怖で混乱し始めた。


石が飛ぶ。


店の窓が割れる。


王都の秩序が崩れ始めていた。


王都の地下。


旧貴族派の拠点。


男たちが地図を囲んでいた。


外から騒ぎが聞こえる。


一人が笑った。


「始まったな」


別の男が頷く。


「王宮は混乱している」


「騎士団長は倒れた」


「王子も動けない」


沈黙の後。


指導者が立ち上がる。


「行くぞ」


剣を抜く。


「王国を救う」


その言葉の意味は、誰も疑わなかった。


王宮を奪う。


クーデターが動き始めた。


国境。


夜の雪原。


松明の列が続いていた。


北方帝国軍。


重装歩兵。


騎兵。


魔術師部隊。


将軍が言う。


「王国は崩れている」


副官が尋ねる。


「命令は」


将軍は静かに答えた。


「進軍」


軍勢が一斉に動き出す。


王国へ向かって。


王都の外。


丘の上。


ミリアは立っていた。


遠くの街を見る。


炎。


混乱。


騒ぎ。


魔族の将軍が言う。


「人間は自分で壊れている」


「攻めるなら今だ」


ミリアは黙ったままだった。


風が彼女の髪を揺らす。


王都の灯りが、ひどく不安定に見える。


やがて彼女は小さく言った。


「……まだ」


将軍は不満そうに唸る。


だがミリアの目は、別のものを見ていた。


空。


巨大な亀裂。


そこから漏れる黒い光。


世界の歪み。


「もうすぐ」


彼女は呟く。


「全部壊れる」


王宮。


宰相が窓から街を見ていた。


炎がいくつも上がっている。


暴動。


戦闘。


鐘の音。


兵士が報告する。


「城門前で衝突!」


「教会の火災拡大!」


「市民暴動発生!」


報告が止まらない。


宰相はゆっくり目を閉じた。


そして命じる。


「王都を封鎖する」


兵士が驚く。


「封鎖?」


宰相は振り返った。


「城門を閉じろ」


「夜間外出禁止」


「騎士団を総動員」


声は冷静だった。


だが彼は理解していた。


兵が足りない。


秩序が足りない。


時間が足りない。


夜の王都。


炎が揺れる。


群衆が叫ぶ。


兵士が走る。


鐘が鳴り続ける。


空の亀裂はさらに広がり、黒い光が都市を照らしていた。


丘の上。


ミリアが街を見下ろす。


その目に映るのは、崩れかけた王国。


彼女は静かに言った。


「終わりが近い」


王都は今。


完全な崩壊の一歩手前に立っていた。

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