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悪役令嬢セレフィーナ 乙女ゲームが始まらない  作者: 南蛇井


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第14話:学園の噂

「セレフィーナ令嬢は未来予知者」


王立アストリア学園。


朝の廊下はいつもより騒がしかった。


生徒Aが小声で言う。


「聞いた?」


生徒Bが振り向く。


「何を?」


生徒Aは声をさらに落とした。


「王子暗殺未遂」


周囲の生徒が一斉に反応する。


「本当か?」


「学園で?」


「でも未遂で終わったんだろ」


生徒Aが頷く。


「そう」


そして続ける。


「セレフィーナ令嬢がいたらしい」


沈黙。


誰かが呟く。


「……あの人?」


噂は昼までに学園中に広がった。


食堂。


テーブルのあちこちで同じ話題が出ている。


生徒Cが指を折りながら言う。


「最初の暗殺未遂」


「庭」


生徒D


「排水を直してた」


生徒E


「交流会」


「中央広場」


生徒F


「花壇作ってた」


生徒たちが顔を見合わせる。


沈黙。


そして生徒Cが小声で言った。


「……全部」


「王子の予定場所じゃないか?」


空気が止まる。


生徒Dがゆっくり言う。


「つまり」


「未来を知ってる?」


テーブルが静まり返った。


その頃。


同じ時間。


学園の庭。


セレフィーナ・アストリアはしゃがんでいた。


手には小さなスコップ。


地面を軽く掘る。


土を触る。


匂いを確認。


「やっぱり」


小さく呟く。


「栄養が足りないわ」


近くの石を動かす。


水を流す。


満足そうに頷く。


遠くの噂など。


まったく聞こえていない。


昼休み。


食堂。


噂はさらに拡大していた。


生徒A


「セレフィーナ令嬢は未来予知者」


生徒B


「陰謀を見抜く」


生徒C


「王子を守ってる」


完全に話が膨らんでいる。


その時。


隣の席でヒロインのミリアが固まっていた。


「未来予知……?」


顔が青い。


理由。


未来を知っているのは。


自分のはずだからだ。


乙女ゲームの記憶。


イベント。


攻略。


全部覚えている。


それなのに。


ミリアはノートを取り出す。


書かれているイベント。


階段イベント。

庭園遭遇。

騎士救出。

魔法事故。


全部。


未発生。


ミリアは頭を抱えた。


「おかしい」


小声で言う。


「私が未来知ってるの!」


その頃。


貴族サロン。


王子アルヴィンと攻略対象たちが集まっていた。


レオンが言う。


「噂を聞きました」


アルヴィンが紅茶を置く。


「未来予知か」


ルーカスが首を振る。


「理論的にはありえない」


カイルが腕を組む。


「でもさ」


全員を見る。


「暗殺未遂」


「全部回避」


沈黙。


レオン


「偶然では?」


カイル


「二回連続だぞ」


再び沈黙。


王子がゆっくり言う。


「……偶然だ」


しかし。


言いながら。


少しだけ遠くを見る。


その頃。


庭。


セレフィーナは石を見つめていた。


しゃがむ。


指で土を触る。


「この石」


持ち上げる。


「根が伸びないわね」


石をどける。


その瞬間。


遠くから見ていた生徒が震えた。


「……見抜いてる」


生徒B


「危険を」


生徒C


「やっぱり」


小声で言う。


「未来予知だ」


夕方。


寮の廊下。


噂は完全に形を変えていた。


生徒たちが囁く。


「セレフィーナ令嬢」


「未来予知者」


「陰謀破壊者」


「王子守護者」


伝説が完成していた。


その頃。


セレフィーナの部屋。


机の上にはノート。


タイトル。


「学園土壌観察記録」


ページいっぱいに書かれている。


土の種類。

水の流れ。

植物の成長。


セレフィーナは満足そうに頷いた。


「この学園」


小さく呟く。


「良い土が多いわ」


窓の外。


夕焼け。


学園では今。


自分が未来予知者と噂されていることなど。


彼女は。


まったく知らなかった。


同じ頃。


王都。


王城の執務室。


宰相が報告書を読んでいた。


内容。


・王子暗殺未遂

・中央広場会場変更

・花壇

・排水

・未来予知の噂


宰相は静かに紙を机に置いた。


しばらく考える。


そして言う。


「調査しろ」


部下が頭を下げる。


「誰を」


宰相は答えた。


「セレフィーナ・アストリア」


静かな声だった。


しかし。


その言葉は。


王国の調査機関を動かすには十分だった。

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