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悪役令嬢セレフィーナ 乙女ゲームが始まらない  作者: 南蛇井


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第13話:陰謀崩壊

王立アストリア学園。


学園中央広場では、数日後に行われる行事の準備が進んでいた。


春の交流会。

貴族子弟が集まり、演説や交流を行う公式イベント。


そして。


第一王子アルヴィンも出席する予定だった。


その情報は、当然——


貴族派にも届いている。


王都の古い館。


暗い会議室。


伯爵が地図を机に広げた。


「会場はここ」


学園中央広場。


赤い印が付けられている。


男たちが頷く。


「王子は演説のため壇上に立つ」


「その時」


別の男が言う。


「観客の中に刺客を潜ませる」


「混乱の中で排除」


大公がゆっくり言った。


「確実だな」


「はい」


「警備も甘い」


沈黙。


そして大公が命じる。


「実行しろ」


数日後。


学園。


しかし。


準備担当の教師が困った顔をしていた。


「……変更?」


事務員が書類を見ながら言う。


「はい」


「会場が使えません」


教師は眉をひそめた。


「なぜだ」


事務員は少し困った顔をした。


「その……」


言いにくそうに言う。


「花壇です」


「花壇?」


同じ頃。


貴族派の刺客たちは学園に潜入していた。


観客のふり。


場所の確認。


だが。


中央広場に着いた瞬間。


全員が止まった。


目の前に広がっているのは——


花壇だった。


しかも。


かなり大きい。


刺客Aが呟く。


「……なんだこれ」


刺客Bが周囲を見る。


「会場じゃないのか」


刺客Cが言う。


「壇上は?」


ない。


代わりに。


整然と並んだ苗。


水路。


土。


そして。


花壇の中央でしゃがんでいる人物。


セレフィーナ・アストリア。


刺客Aが望遠鏡を出す。


彼女は真剣な顔で土を触っている。


小さなスコップ。


水を流す。


苗を植える。


刺客Bが混乱した。


「……侯爵令嬢だよな?」


刺客C


「そうだ」


刺客A


「何してる」


全員


「……」


望遠鏡の中。


セレフィーナが満足そうに頷く。


「これで根が広がるわ」


その頃。


学園事務室。


教師が頭を抱えていた。


「どうしてこうなった」


庭師が答える。


「セレフィーナ様が」


「この場所の土が素晴らしいと」


「それで?」


「花壇に」


教師は遠くを見た。


「行事は」


事務員が答える。


「北庭園に変更しました」


教師は深いため息をついた。


その頃。


刺客たちはまだ広場にいた。


計画書を確認する。


場所。


中央広場。


壇上。


観客席。


すべて。


存在しない。


刺客Bが言う。


「どうする」


刺客A


「……会場を探す」


刺客C


「時間がない」


刺客A


「……」


遠くを見る。


セレフィーナはまだ花壇を作っている。


土を整える。


水路を確認。


苗を植える。


刺客Bが呟く。


「……あの人」


刺客C


「何してるんだ」


誰も答えない。


同じ頃。


北庭園。


王子アルヴィンが壇上に立っていた。


急遽変更された会場。


観客は少し戸惑っている。


しかし行事は無事進んでいる。


レオンが周囲を警戒する。


「殿下」


「予定より安全です」


アルヴィンが頷く。


「理由は」


レオンは苦笑した。


「花壇です」


王子は少し沈黙した。


遠くの中央広場を見る。


そして言う。


「……そうか」


その頃。


中央広場。


セレフィーナは最後の苗を植えていた。


土を軽く押さえる。


水をかける。


満足そうに立ち上がる。


「綺麗」


花壇は見事に整っていた。


その陰で。


刺客たちは撤退していた。


計画は完全に崩壊。


誰も王子の居場所を掴めない。


遠くで鐘が鳴る。


行事の終了。


セレフィーナはそれを聞きながら花壇を見つめた。


「来年は」


小さく呟く。


「もっと広げましょう」


その頃。


王都では。


貴族派が報告を受けていた。


「暗殺は?」


使者が答える。


「会場が変更されました」


大公が眉をひそめる。


「理由は」


使者は言いにくそうに言った。


「……花壇です」


沈黙が落ちた。


誰も理解できなかった。

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