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神木さんちのお兄ちゃん! ~美人すぎる兄は、双子の妹弟を溺愛してる~  作者: 雪桜
エピローグ

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第599話 愛言葉 と 想い愛


「俺と、一緒に暮らさない?」

 

「……え?」


 その言葉に、あかりは目を見開いた。

 

 もちろん、意味がわからなかったわけではない。でも


「えっと……っ」


「ん? それは、どういう心境の顔?」

  

「そ、その、一緒に暮らすなんて全く考えてなかったので、ちょっと驚いてしまって……でも、急にどうしたんですか?」


「純粋に心配だからだよ。あかりに一人暮らしをさせるのが」


「でも、そんなことをしたら、神木さんは、あの家を出ることになるんですよ?」


 心配してくれるのは、とても嬉しい。

 

 でも、あの家から神木さんがいなくなったら、華ちゃんと蓮君が悲しむような気がした。

 

「華ちゃんと蓮君は、きっと寂しがります」

  

「そうかもね……でも、華と蓮は、もう子供じゃないよ。俺が傍に居てあげなくても、立派にやっていける。それに俺の父さん、もうすぐ海外転勤が開けて家に帰ってくるんだよ」


「あ、それは聞きました。華ちゃんが、とても喜んでて」


「うん。俺も父さんが帰って来るのは嬉しい。でも、転勤前に父さんが使ってた部屋は、今は蓮が使っててさ。帰ってきても、父さんの部屋はないんだよ」


「え!?」


 それは、なんと言えばいいのだろうか!?

 

 悲しいというか、いたたまれないというか、とりあえず『お父さん、ドンマイ!』と言う心境になった。


「そ、そうなんですね。それは、可哀想というか……切実な問題ですね?」


「うん、そうなんだよね。蓮ももう高校生だし、俺と一緒の部屋に戻るのは嫌だろうし。かといって、俺が父さんと一緒ってのも、なんか変な話だし……だから、俺がでていくのが、一番丸く収まるのかなって」


「………」


 確かに、帰省した数日間だけならともかく、帰ってくるとなれば、父親の仕事部屋は必要になるだろう。


 だから、自分が出て行くことで、自分の部屋を父に明け渡すつもりでいるのかもしれない。


「神木さんは、それでいいんですか?」


「うん。父さん、よく家でも仕事してるから、やっぱり集中できる部屋があった方がいいだろうし。だから、前々から考えてはいたんだよ。父さんが、海外転勤を終えて帰ってくるまでに、一人暮らしを始めた方がいいのかなって」


「……そうだったんですね」


「うん。だから、あかりはどうかなと思って?同じタイミングで、二人とも引越しを考えてるなら、一緒に住むのもありかな?って……それに、二人でお金を出し合えば、今よりも広くて高い物件を選ぶこともできるし、ひとりで寂しい思いや怖い思いをすることもない。毎日一緒にご飯も食べれるし、具合が悪い時は看病もしてあげられる。でも、俺の気持ちを押し付けるわけにはいかないから、あかりの気持ちを聞いておきたいと思って」


「私は……」


 突然の申し出に、あかりは戸惑った。


 なにより、一緒に暮らすってことは、四六時中、神木さんがいるということなのだ!


(だ、大丈夫かな? 今こうしているだけでもドキドキしているのに、四六時中なんて耐えられるの!?)


 心臓が持たないのでは?!

 

 そんな心配もあるが、いつか結婚するなら、遅かれ早かれ、そんな日はやって来る。


 それに、彼の言うとおり、二人でお金を出し合えば、選べる物件の幅は広がるし、一人で寂しい思いをすることもないし、彼氏と一緒に暮らしているとなれば、大野さんみたいな男性に付きまとわれる心配もない。


 ハッキリ言って、メリットしかない!!


 しかも、好きな人と、ずっと一緒にいられる。

 

 それは、あかりにとって、夢のような提案で──

 

「どうする? 無理なら断っていいよ。結婚前の同棲を嫌がる人もいるだろうから」


「ど、同棲……べ、別に嫌ではありません……むしろ、ありがたいというか」


「じゃぁ、一緒に暮らす?」


「……ッ」


 瞬間、距離が近づき、青い瞳に覗き込まれた。


 相変わらず綺麗な瞳だ。

 まっすぐで、誠実で、一切の曇りすらない瞳。


 すると、あかりは、恥ずかしさでいっぱいになりつつも、コクリと頷き


「は……はい」


「よかった! じゃぁ、一緒に暮らすつもりで、ゆっくり動いていこうか?」


「ゆっくり?」


「うん。大野さん、もうあかりのこと諦めたみたいだし、怖がらなくても大丈夫だよ」


「え? そうなんですか?」


「うん。さっき会って話したから間違いないよ。だから焦って引っ越し先を決める必要はないし、じっくり探していこう。その前に色々、やることもあるしね」


「やること?」


「うん。まずは、あかりのご両親にご挨拶かな? 『娘さんと結婚を前提に同棲させて下さい!』って」


「……っ」


 結婚を前提に──その言葉に、あかりは頬を赤らめた。


 婚約したと言っても、実家への挨拶は、まだずっと先の話だと思っていた。


 なにより、わざわざ同棲の許可を得るために、挨拶をしてくれることに驚いた。


「わざわざ、私の両親に会いに行ってくれるんですか?」


「うん。大事なことだろ? 大切な娘が、どこの馬の骨かも分からない男と暮らし始めたら、親御さんは心配するだろうしね」


「馬の骨じゃないですよ、神木さんは」


「あはは。まぁ、そうかもね。こんなに綺麗な馬、なかなかいないよ♪」


「ふふ、馬は変わらないんですね!」


 冗談を言う飛鳥に、あかりは可愛らしく笑ったあと


「でも、許可もらえるかな? うちの父親、かなり親バカで」


「そうなんだ。まぁ、親バカなのは、うちの親も同じだよ。最悪、ダメって言われた時は、結婚まで我慢するしかないのかな?」


「ふふ」

 

 瞬間、残念そうに話す飛鳥が、まるでお預けを食らった子供みたいで、その可愛らしさに、あかりは、また、くすくすと笑いだした。


「そんなに、私と一緒に暮らしたいんですか?」


「うん、暮らしたい。あかりが学生じゃなければ、今すぐ籍入れてるし、それに、あかりが思ってる以上に、俺はあかりのことが好きだと思うよ」


「それは、私も同じです。神木さんの家族になれるのが嬉しいし、早くなりたいなって思います」


 幸せそうに、あかりが微笑む。


 彼にとって、家族がどれほど大切なものかを、よく知っているからこそ、その一員になれることが、とても嬉しい。


 すると飛鳥は、あかりの腰に手を回し、そっと抱き寄せながら


「もう家族だよ。だから、そろそろ名前で呼んでくれてもいいんじゃない?」


「え?」


「いつまで、俺のこと『神木さん』って呼ぶの?」


「……あ」


 その言葉に、あかりはハッとする。

 確かに、ずっと名字で呼んだままだった。


「そ、そうですけど、もう癖になっていて」


「呼んでくれないの? じゃぁ、俺もあかりのことを、倉色さんって呼ぼうかな?」


「え!?」


「てか、大野さんの前で恋人のフリをしていた時は、名前で読んでただろ?」


「そ、そうですけど! でも、いきなり名前で呼んでといわれても、心の準備が……っ」

 

「準備なんている?」


「い、いる……!」


「ふふ、そっか。じゃぁ、頑張ったらご褒美をあげる」


「ご褒美?」


 その言葉に、あかりは首を傾げた。


 ご褒美とは、なんだろう?


 あかりは、思いつく限りのご褒美を想像しながら


「また、女装でもしてくれるんですか?」

 

「なんで、そうなるんだよ」


「だって、前にロリータ服を着てくれたときも、ご褒美でしたし」


「あー、確かにそうだったね。でも違うよ」


「えー、じゃぁ、なんですか、ご褒美って!」


 意地悪な飛鳥に、あかりは、更に首を傾げる。すると飛鳥は、あかりの頬に手を添えながら


「名前で呼んでくれたら、ご褒美にキスしてあげる」


「へ!?」


 その瞬間、あかりは顔を真っ赤にして

 

「な、なな、なにいってるんですか!?」


「あれ、嫌だった? 俺にとっては、ご褒美なんだけどなー。そっか、倉色さんにとっては違うんだー、悲しいなー」


「……っ」


 しかも、あからさまに『倉色さん』呼びをされ、更に『悲しい』とまで言われた!


 顔はにこやかに笑っているくせに、その美声が、全力で悲しいと訴えてくる!!


 なにより、このままでは名前を呼ぶまで、ずっと倉色呼びを継続されそうだ!


(ど、どうしよう? 呼ぶのは構わないけど、呼んだらキスされちゃうの?)


 別に、どちらも嫌なわけではない。


 だが、どちらを行うにしても、羞恥心が限界値を突破しそうなだけだ。


「言ってくれないの?」


「……っ」


 だが、ねだるように甘えた声を発した飛鳥に、あかりはキュッと唇を噛み締めた。


 そんな目で見つめられると、つい叶えてあげたくなってしまう。


 それは、相手が彼だからなのか、はたまた好きな人だからなのか?


 だが、ずっと友達みたいな関係だった。


 付き合ってからも、何かが大きく変わったわけじゃない。


 だからこそ、変わる時が来ているのかもしれない。


 どんなに恥ずかしくても、ゆっくりと変えていくべきなのかもしれない。


 『友達』から『恋人』へ──


 それに、彼となら、変わるのも怖くない。



「ぁ……飛鳥さん…っ」


 すると、小鳥が鳴くような小さな声で、あかりが飛鳥の名を呼んだ。


そして、その甘い声は、飛鳥の耳にもしっかり届いた。


 可愛らしい声。それは、とても耳に心地よくて、優しい声だった。


 そして、ただ名前を呼ばれただけで、こんなにも幸せだと感じるのは、二人の関係性が変わるのを実感したから──


 すると飛鳥は、とても嬉しそうに、それでいて、愛おしそうに、あかりを見つめて


(……大切にしていきたいな)


 きっと、好きな人と両思いになって


 いつか結婚して、

 ずっと一緒にいられるようになるって


 とてもとても

 凄いことなんだと思う。


 だけど、それは

 決してゴールではなくて


 始まったばかりの

 あかりとのこの絆だって


 いつ、壊れるとも限らなくて──


 だけど、壊さないために必要なこと。


 それが、きっと

 相手を思いやることなんだろう。


 自分の意見ばかり押し付けないで


 不満や不安があるなら

 ちゃんと二人で話し合って


 一緒に泣いて

 一緒に笑って

 一緒に考えて


 お互いの気持ちを

 想いやることを忘れさえしなければ


 きっと──


「ありがとう、あかり……顔、真っ赤。ドキドキしてる?」


「っ……し、しますよ。いきなり、同棲とか、キスとか言われたら」


「そっか。俺もドキドキしてる」


「え? 神……飛鳥さんも?」


「うん。あかりの部屋に来てから、ずっとドキドキしてるよ」


 それは、少し意外な言葉だった。


 こんなに涼しい顔をしていても、心の中は、私と同じだったのかと──


「飛鳥さんでも、ドキドキするんですね?」


「するよ、意外だった?」


「はい。だってこう言うの、慣れてそうですし」


「慣れてないよ。こんなに人を好きになれたのは、あかりが初めてだし。だから、あかりといるとドキドキもするし、ホッとする……でもそれ以上に幸せだなって思う」


 そっと引き寄せられ、腕の中に閉じ込められた。


 すると、ドクンドクンと鼓動が重なるのを感じた。


 私も同じだ。


 ドキドキして、ホッとして、だけどそれ以上に幸せを感じる。


 それに、こんな私でも、彼を幸せにすることができたのだと思ったら、なんだが泣きそうになった。


「……っ」


「あかり?」


「あ、ごめんなさい……私、ずっと、あなたを幸せにすることはできないと思ってたんです」


 障がいがある自分には、無理だと勝手に決めつけていた。

 

 だから、頑なに距離を置いて、逃げようとしていた。


 でも、その考えは間違いだったと気づいた。


 逃げる必要なんてなかった。


 好きな人を幸せにできるかどうかに、障がいのあるなしなんて関係ない。


 彼が私を、幸せにしてくれるように

 私も彼を、幸せにしたいと思う。


 大切なのは、その気持ちだ。


 だから──


「私も、飛鳥さんを幸せにできるよう頑張りますね!」


「……!」


 ふわりと優しい笑みを浮かべて『飛鳥を幸せにする!』と言いきったあかりに、飛鳥は目を見開いた。


 その笑顔は、目に焼き付けたくなるほど綺麗で、改めて、惚れ直してしまうくらいだった。


 それに──


 相手を思いやれば

 相手から、また思いやりが返ってくる


 でも、それは

 決して当たり前じゃなくて


 当たり前だと思ってもいけなくて


 簡単なようで、とても難しい。


 だからこそ、お互いに想いえる今のこの関係が、とても愛おしく尊いものに感じた。


「もう十分、幸せだよ」


 飛鳥が、あかりの頬に触れながら、そっと顔を近づける。


 すると二人は、自然と笑い合い、唇を重ねた。


 愛おしいという思いが溢れて、触れるだけのキスでも、十分、心が満たされた。


 甘やかな熱を通して、お互いの想いが伝わってくる。


 それは、とても幸せで、心地よくて


 ずっと、手離したくないと思うとほど


 愛おしくて──



「愛してる。ずっと一緒にいよう」


「──はい」


 口付けを交わしながら、愛の言葉を囁く。


 10年後も

 20年後も


 お爺さんやお婆さんになっても


 ずっと、傍にいたいと思う。


 そして、愛し合うことが


 お互いを、思いやることだというなら


 俺は君と、想いって

 生きていきたい。


 だから、たくさんの愛の言葉を紡いでいこう。


 朝起きたら『おはよう』と言って

 眠る前には『おやすみ』と言う。


 でかける時には『行ってらっしゃい』といって、帰ってきた時は『おかえり』と言う


 何かをしてもらったら

 必ず『ありがとう』を伝えて


 当たり前だけど

 決して忘れてはいけない愛言葉を

 

 溢れるくらい伝えていこう。


 『ありがとう』も

 『ごめんなさい』も

 『愛してる』も


 口にする全ての言葉に、愛を添えていこう。



 愛しい愛しい君と


 この先ずっと『家族』でいられるように──…


 



いつもありがとうございます。

次回、最終回です。

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― 新着の感想 ―
ついに最終回ですかぁ このお話を見つけてから投稿されている分は一気に読み進めて更新を楽しみにしてました 飛鳥とあかりの未来はきっと明るいだろうなぁ 最終回の更新楽しみにしてます!
2026/04/25 01:55 ナツシール
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