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一人ぼっちの魔女と殺戮の騎士  作者: RK
サン・フラワー震撼編
7/12

胸がでかい姉ちゃんと貧乳の魔女

 スノー・リリィ陥落から3日後。

 アルはようやく心を決めた。

「私はこのまま何もしなくても大罪人は確定しているからな…、いっそ大々的に暴れまわってやる」

「あ、やめてください。その言いやすいんですけど足でまといなんで」

「あ、はい、すみませ…ってなに!?言いやすいけどってなに!?」

「ぶっちゃけると俺一人の方が動きやすい」

「ぶっちゃけたな!!」

「え?ぶっかけ?卑猥な言葉遣いとか最低だな…」

「お前の耳は飾りか!?」

「鎧なんで飾りの耳すらないんだが。あ、飾り羽ならついてるか」

「うるせー!言葉のあやだよ!!アスタちゃんからも何か言ってくれ」

「なんていうか弄られキャラですよね、完全に。ヒロイン枠じゃなくてギャグ枠とか(笑)」

「なんだお前!!お前はどっちの味方だ!?」

「決まってるじゃないですか」

 アスタちゃんは兎のつぶらな瞳でアルを見つめる。

「そ、そうだよな!私のみか…」

「その時その時で有利そうな方につくに決まってるじゃないですか!」

「お前はコロコロ陣営変えまくる最低野郎か!!」

 ギャアギャア騒いでいる。こうしてみると鎧は大量虐殺を行ったとは思えない。

 だが、現実に引き起こされた悲劇である。

 それが現実だと認識させる者がここにいる。

「…ねえ、いつもこんな感じなの?」

 3日前、人質として囚われたアイリスはなんの拘束もなくアルの家で暮らしている。

 友人であるシックザールを殺された怒りを燃やしつづけるのは難しかった。怒りは体力と精神力を使う。更に言えばこんなゆるゆるの光景を見せられれば毒気も抜かれる。勿論、鎧を許しているわけではない。怒りは必要な時に燃やせばいいのだ。必要な時に薪をくべてやればいい。今はその時ではない。

 アイリスの問いかけに鎧が気付く。

「おっぱい起きたのか」

「そのおっぱいって呼び方やめてくれない!?」

 きっかけはアイリスがこの鎧に囚われた時だ。鎧はアイリスの胸を堪能した満足気な声で言っていた。

 アイリスとしては戦闘には邪魔だと思っている。

 だが…。

「このおっぱい星人め!朝ごはんはなんだコノヤロー!!」

 アルはそうは思っていないようだ。

 この少女、見た目はとても可愛らしい。頭に美をつけて美少女と呼んでも足りない程だ。だが、年齢にしては胸が平坦、というか全くないのはいかがなものか。

「あ、哀れむなよぅ!」

「あ!ごめん」

 泣きそうになるのでアイリスはすぐに謝る。こんなアルだが鎧を召喚した魔女なのだ。最初は憎しみが溢れそうだったのだが、鎧との会話を見ていてアイリスはアルが意図的にあの惨劇を起こしたわけではないと知った。

 だからと言ってアルに責任がないわけではないが諸悪の根源は鎧であるとアイリスは思うようにしている。

「それでオパリス、今日の朝食はなんだ」

「おっぱいとアイリスを混ぜるとかどんな神経してんのよ!!」

「こんな感じデース」

 そう言ってバラバラになる鎧。からっぽの内側を見せてくるところがウザい。

「あ、鎧だから神経ないか」

「うるさいわよ!」

「アスタちゃん…、傍からみるとこんなバカっぽいのか…」

「お、また一つ賢くなりましたね、流石は希代の魔女(笑)」

「(笑)つけんな!」


 鎧のおふざけに頭を痛くして目頭を揉みながら台所に来る。

 ここに来てからはアイリスがご飯を作っているので勝手は大体把握している。

 というかアルの食生活を見ていたら思わず料理を自分が作って上げないとと思ってしまったのだ。

 アイリスはアルのことが嫌いではない。むしろ好ましいとすら思っている。

 魔女として生まれたアルは本来ならば魔女協会に所属するはずだった。だが、若くして魔女の素質を開花させていたアルは他の魔女たちにとっては邪魔な存在だった。

 そうして爪弾きにされたアル。魔女は日常生活にまで技術を浸透させてはいるもののその事実を知ろうとする者は少ない。なので今では得体のしれない奴ら、というのが大体の人間の認識だ。

 自分と違う者は輪に入れない。それが人だ。

 仲間である魔女からは才能を認められず、隣人である人からは理由なく嫌われる。

 そんな彼女が周りを認めさせたいと思うのは無理からぬことだ。むしろ、現状を良しとせず、自らの手でどうにかしようとしたところはなかなか真似はできないだろう。

 だが、彼女の努力が結果として惨劇になったのは鎧のせいだろう。

「難しい顔をしているな」

「そういうことは顔をみて言ってくれる?」

 その惨劇の立役者、鎧がアイリスの後ろにいた。というか後ろから胸を揉んでいた。

 アイリスは手に持っていたおたまを振り返りと同時に振う。

 ガインと音がなる。そして鎧の冑がふっ飛んでいった。

「眼鏡眼鏡」

「お前にとって頭は眼鏡なのか!?」

 鎧は四つん這いになって探すふりをする。冑はというと形が変わって足が生えている。大きい蜘蛛みたいですこし気持ちが悪い。

「おお、冑ちゃん、僕のもとに帰ってきてくれたの」

『うん!鎧ちゃん、僕と君はおホモだちだからね!』

「げぇ!」

 鎧は冑を投げ捨てる。

「何一人でコントやってんのよ…」

 アイリスはハア、と溜めていた息を吐く。

「溜め息は幸福を吐きだすぞ」

「あんたと出会ったことが既に不幸だから…」

「HAHAHA」

「あんたと話すと疲れるわ…」

 無駄話をしている間に朝食が出来上がる。胸を気にしているアルの為に牛乳を用意して終わりだ。

 鎧を置いて居間に戻るとアルが「胸よ大きくなれ…」と呟きながらおっぱいを揉んでいたのを目撃してしまった。

「アル、おっぱいは人に揉まれないと大きくならないぞ」

 その声で二人が戻ってきていることに初めて気づいた様子だ。ばつの悪そうな顔をしているアイリスと手をワキワキさせながら近づいてくる鎧。

「う、うわあああああん」

 恥ずかしいところをみられたのと、鎧が割と本気で気持ち悪いのでアルは部屋を飛び出していってしまった。

 アルが戻ってきたのは朝食が冷えてからだった。

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