↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が逃げた利器と得た安住  作者: 藤一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/114

初詣と、街に広がる新年の挨拶

元日の朝、目を覚まして時計を見ると、すでに午前11時を回っていた。

「あっ、初日の出……」

思わず口から漏れたが、これだけぐっすり眠れたおかげで体調はすこぶる良い。「まあ、初日の出はまた来年拝めばいいか」とすぐに切り替え、布団から出て居間へ顔を出した。

居間では両親がおせち料理を重箱に並べている最中だった。

「あら、起きたの。神社の神様は日のあるうちしかいらっしゃらないんだから、午前中のうちに近くの神社へ初詣に行って来なさい」

母親に背中を押され、佐藤はコートを羽織って外へ出た。向かったのは、街の人々が集まる地元の神社だ。境内にはたくさんの出店が立ち並び、正月らしい活気に溢れるそれなりの規模の神社である。

境内の前に着くと、境内から溢れんばかりの参拝客の行列ができていた。まずは鳥居の前で一礼してくぐり、手水場へ向かって両手と口を清めてから行列の最後尾に並ぶ。

すると、すぐ近くから「佐藤くん、あけましておめでとう!」と声をかけられた。振り返ると、喫茶店のマスター・鈴木さんが笑顔で立っていた。

「鈴木さん! あけましておめでとうございます!」

新年の挨拶を交わし、じわじわと進む行列の中で「今年はサークルでどんなモノづくりをやろうか」と、たわいもない手作業のアイデアを語り合った。そうして話しているうちに、あっという間にお賽銭箱の前までたどり着いた。

お賽銭箱に五円玉を投げ入れ、二礼二拍手一礼。

(昨年は本当に素晴らしい人たちとのご縁に恵まれました。その感謝と、今年も良い年になりますように……)

深く感謝を込めて願掛けを済ませた。

お参りを終えると、境内の出店から香ばしい匂いが漂ってきた。実家への手土産にしようと焼き鳥とじゃがバターを買い込み、「鈴木さん、また明日!」と声をかけて神社をあとにした。

家へ向かって歩いていると、参道や街角で次々と知った顔に出くわした。

渡辺さんや小林さん、高橋さんといったサークルの残りメンバーはもちろん、市役所の担当者や山口製作所の社員たちまで、昨年お世話になった人々が次々と通りかかり、そのたびに立ち止まって「あけましておめでとうございます!」「先日はお疲れ様でした! 明日の餅つきもよろしくね!」と新年の挨拶を交わしていく。

地域の人々と温かい言葉を交わしながら歩いていたら、自宅にたどり着いた頃にはすっかり午後2時を回っていた。

手土産のじゃがバターと焼き鳥を抱えながら、佐藤は明日行われる今年最初のイベント——新春餅つき大会に向けて、心地よい期待に胸を膨らませるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。