打ち上げの悩みと、思わぬ解決の糸口
居酒屋の席には冷えたビールと美味しそうな料理がズラリと並び、賑やかな打ち上げが続いていた。
宴もたけなわとなった頃、話題は自然と「次回をどうするか」という現実的な悩みに移っていった。
「正直さ、来場者の反応を見ると絶対にまたやりたいけど……どう維持していくかが大問題だよな」
佐藤が呟くと、サークルメンバーの小林さんも深く頷いた。
「そうだな。流石に毎月開催するのは俺たちの体力も本業も持たない。やるとしても、準備期間を考えたら最低でも3ヶ月間隔(季刊)が限界だよな」
「会社の見学自体は同僚や商工会、市役所に今以上にもっと協力してもらえたら楽になるけど、みんな自分の仕事で忙しいだろうしなぁ。社長は『いいよー』って軽く言ってくれるけど、本業の業務に影響を出さないように運用するとなると実際はなかなか厳しいよ。かといって、このイベントのためだけに専用のアルバイトを雇うのはコスト的にも無理だし……うーん、結構悩ましいぞ」
おじさんたちが頭をひねりながらビールを煽っていると、ふと隣のテーブルから声が聞こえてきた。
そこでは、今日一緒にイベントを回していた市役所の職員たちが打ち上げをしていたのだ。グラスを持った職員が、佐藤たちのテーブルに身を乗り出してきた。
「あの……お話が聞こえちゃったんですが、それなら山口製作所さんだけじゃなくて、町内の他の会社や工場でも同じような見学イベントを順番でやってくれませんかね? 町おこしってほど大げさなものじゃなくても、今日みたいに街にすごく活気が出たじゃないですか! どこか他の会社にも受けてくれないか聞いてみようかなぁ」
そのアイデアを聞いて、渡辺さんがポンと手を打った。
「なるほど! 複数の会社でローテーションを組んで、開催間隔がしっかり空くなら、俺たちサークルメンバーもDIYや設営のサポートで協力できなくはないぞ! ただ、毎回俺たちがゼロから全部手伝うのは難しいから……いっそ、ノウハウを市役所の職員さんに教え込んで、職員さんメインで動けるようにしちゃうか?」
「それ、すごく良いですね!」と市役所の職員の目が輝いた。
「分かりました! 明日さっそく市役所に持ち帰って、企画課や町おこし担当の部署に相談してみます! 職員を動かせる体制がつくれるか詰めてみますね!」
打ち上げの席でふと出た悩みが、市役所を巻き込んだ「街全体の持ち回りイベント」という新しい可能性へと広がっていく。
「よし! じゃあ未来の『街のお祭り化』に乾杯だ!」
課題の解決策が見え始めたおじさんたちは、再びグラスを掲げ、さらに上機嫌で夜の宴を楽しんだのだった。




