おじさんたちの文化祭
日曜日。渡辺さんの作業場には朝からトンカチや電動工具の快音が響き渡り、前日に引き続き怒涛の準備が進められていた。
そこへ、「佐藤くーん! なんか楽しそうなことやってるって聞いて来たよ!」と、山口製作所の同僚たちが次々と駆けつけてくれた。休日に集まってイキイキと作業するおじさんたちの噂を聞きつけ、助っ人に来てくれたのだ。
「うわ、みんな来てくれたのか! やりたいことが山積みだったから本当に助かるよ!」
人数が増えたことで作業速度は一気に跳ね上がった。それでいて誰も妥協はしない。職人魂に火がついた同僚とおじさんたちがタッグを組み、ウェルカム看板の文字のフォントにこだわり、木製ベンチの角を磨き上げ、完璧な仕上がりを目指して作業没頭していく。
作業の合間を縫って、佐藤は週明けに市役所へ提出する見学イベントの周知パンフレットの作成を進めた。市役所のロビーで配ってもらい、市民に広く知らせるための大切な案内チラシだ。
「このパンフレットに企画をしっかり書いちゃったら、もう後戻りはできませんからね!」
「当たり前だろ! 書いたからには完璧にやり切るぞ!」
紙面に落とし込まれていく大掛かりなプログラムを目にして、みんなの勢いと結束力はさらに加速していった。
午後になると、噂を聞きつけた社長が「みんな頑張ってるねぇ!」と、両手いっぱいの冷たい飲み物とお菓子を抱えて差し入れにやってきた。
完成しつつあるクオリティの高い看板や家具、そして作業着を泥や塗料で汚しながら笑顔で作業する大人たちを見渡し、社長はポツリと呟いた。
「いやぁ……なんかこれ、おじさんたちの文化祭みたいで楽しそうだねぇ」
「……それだ!!」
佐藤とサークルメンバーの目が一斉に輝いた。
「社長、それ最高ですよ! パンフレットのキャッチコピーにいただきましょう!」
さっそくパンフレットの一番目立つ場所に大きな文字で書き込まれた。
『山口製作所 プレゼンツ —— 大人の本気の文化祭&工場見学フェア』
社長の何気ない一言がバチッとハマり、現場の熱気は最高潮へ。手作り感と職人の本気が詰まった、前代未聞の会社見学イベントに向けて、全員の心がひとつに重なったのだった。




