試作品のゆくえと、胸を張る自信
「デザインは佐藤くんのレトロクッション付きで決まりだけど……残りの3つはどうしようか?」
店内にポツンと並ぶ、渡辺さんの無骨な無垢材チェア、小林さんの渋いファブリックチェア、そして高橋さんのアイアン脚チェア。どれもワークショップで先生に絶賛されたほどの出来映えだ。
「正直、めちゃくちゃ出来が良いからなぁ。物置に眠らせておくのはあまりにも勿体ないぞ」
渡辺さんが自分の作った椅子を撫でながら、名残惜しそうにつぶやいた。
すると、奥から鈴木が「そういえばさ」と、一枚のカラフルなチラシを手に戻ってきた。
「今週末、商店街で夏のお祭りイベントがあるんだよ。その目玉企画でビンゴ大会があるんだけど、商店街の役員会で『景品が集まらなくて困ったなぁ』ってちょうど話しててさ。もし良かったら、この3脚を景品として寄付してくれないか?」
「えっ、ビンゴ大会の景品に!?」
「ああ。もちろん無理にとは言わないけど、誰にも使われずにしまっておくより、大切に使ってくれる誰かの手に渡った方が椅子だって嬉しいだろ?」
鈴木の言葉に、小林さんと高橋さんが大きく頷いた。
「賛成だね! 手塩にかけて作った椅子だからこそ、誰かの家でかわいがってもらえるのが一番だよ」
「よし、ぜひ持っていってくれ!」
渡辺さんも笑顔で差し出した。
「ありがとう! 助かるよ」鈴木はチラシをテーブルに置きながら、少し申し訳なさそうに付け加えた。「あ、でも一つだけごめんね。ビンゴの景品って、上がった人から好きなものを順番に選んで持っていくスタイルなんだ。だから、もし最後まで選ばれずに残っちゃったらごめんな」
「「「なに言ってんの!!」」」
おじさんたちから一斉にツッコミが入った。
「鈴木さん、俺たちの作品を舐めちゃいかんよ! こんなに格好いい手作り家具、一番に奪い合いになって消えていくに決まってるだろ!」
「そうですよ! むしろ『豪華景品』として目玉扱いされるレベルです!」
「一番最後まで残るどころか、ビンゴの目玉商品だよ!」
みんな自分の作った椅子の出来に絶対の自信があるため、心配するどころか胸を張ってドヤ顔を浮かべていた。
「ハハハ! 頼もしいなぁ。じゃあ責任持ってビンゴ大会の特設ステージに飾っておくよ!」
自分たちの作った家具が、今度は町の人たちの笑顔につながっていく。
思わぬ展開にワクワクしながら、佐藤たちは週末の商店街イベントと、いよいよ始まる喫茶店の本番DIYへ向けて、さらに絆を深めていくのだった。




