↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が逃げた利器と得た安住  作者: 藤一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
125/126

ジャストタイミングの来客と、試練の野球盤設計

金曜日。定時を迎え、今週最後の仕事を終えた佐藤は、いつもの喫茶店へと向かった。

扉を開けると、サークルメンバーがすでに図面と旅行の原稿を広げて待っていた。

「佐藤くん、お疲れ様! 今日の議題は『旅のしおり』の大量印刷の手段と、イベント用の『キック野球盤』の具体的なギミック設計だね」

まずは130部というまとまった数の「旅のしおり」の印刷について話し合う。

「会社の大規模複合機で一気に刷るのもいいけど、用紙の質や製本の手間、トナー代を考えると……地元の街の印刷屋さんに相談したほうが綺麗だし、多少安く抑えられる見込みがあるんだよね」

渡辺さんが電卓を叩きながらそう言った、まさにその時だった。

ガラガラと喫茶店のドアが開き、「こんばんはー! 鈴木さん、まだ店やってる?」と一人の男性が入ってきた。サークルメンバーとも顔なじみの、地元の印刷屋の店主さんだ。

「うわっ、ジャストタイミング!」

佐藤と思わず声を合わせると、鈴木さんが笑いながら迎え入れた。

「噂をすればなんとやらだ! 実はちょうど印刷の発注で相談しようと思ってたんだよ」

事の経緯と「130部・全コース分のしおり」のドラフトを見せると、店主さんはパラパラとページをめくり、「おお、綺麗にレイアウトできてるじゃない! 地元応援価格で安く綺麗に仕上げてあげるよ!」と快く引き受けてくれた。頼もしい助っ人の登場に全員で胸をなで下ろし、そのまま店主さんも交えて夕飯のナポリタンを突っつきながら和気あいあいと盛り上がった。


夕飯を終えると、いよいよ本丸である「手作りキック野球盤」の具体的なコース・ギミック設計へと突入した。

30平米のスペースに配置するボードの区画について、渡辺さんが方眼紙にペンを走らせる。

「誰もが楽しめる絶妙な難易度にしたいよね。ヒット区画は広めにとって……二塁打、三塁打、ホームランと進むにつれて、どんどん枠の幅を狭くしていこう」

「いいねぇ! そしてその狭いチャンスゾーンのすぐ間に、絶妙に嫌な感じの『アウト』ゾーンを挟み込むわけだ(笑)」

「性格悪いな〜!(笑) でもそれ絶対に盛り上がるよ!」

「あとさ、ホームランゾーンの直前にボールが落ちる小さな穴(罠)を掘っておいて、そこに落ちたら『ファウル』で打ち直し(あるいはストライク)になる仕掛けはどう?」

「うわ! ホームランだー! と思わせてからのファウル穴! それめちゃくちゃTV映えするし、子供も大人も一喜一憂できますね!」

「ホームランの的だけじゃなく、その手前の罠まで……山口製作所のクラフトマンシップが変な方向へ炸裂してきたぞ!」

次々とアイデアが飛び出し、ボールが転がる傾斜角やターゲットの配置、罠の仕掛けを含めた手作り野球盤の全体イメージが見事に完成した。

「よし! 大体のイメージと寸法が決まったから、明日は週末土曜日だし、この設計書に沿って必要な材料をホームセンターへ買いに行こう!」

「ホームセンターでベニヤ板や角材をカットしてもらえば、来週には一気に組み立てに入れるぞ!」

素晴らしい設計図と週末の買い出し計画を手に、一同は達成感に包まれながら笑顔で解散するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。