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僕が逃げた利器と得た安住  作者: 藤一


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朝のモーニングと、最高の休日の始まり

土曜日の朝。目が覚めてリビングへ下りていくと、両親が食卓で静かにコーヒーを飲んでいた。

「おはよう。なんか朝からすごくいい香りがするね」

佐藤が声をかけると、父親が嬉しそうにカップを置いた。

「おはよう。昨日知り合いからいいコーヒー豆をもらったんだよ。せっかくだから朝から手動のコーヒーミルで挽いて、ドリップしてみたんだ」

「試しに自分でやってみるかい?」と父親に促され、「うん、やってみる」と答えてミルを受け取った。

受け皿に豆を入れ、ハンドルをゆっくりと回し始める。ゴリゴリという心地よい手ごたえとともに、挽きたての香ばしい匂いがふわりと部屋いっぱいに広がった。

「うわ、すごくいい匂い……!」

挽き終わった粉をフィルターに移し、お湯をそっと注いでドリップしていく。立ち上る湯気と深みのある香りに、胸がすーっと満たされていくのを感じた。

(そういえば、自分で豆を挽いてコーヒーを淹れるなんて、生まれて初めてやったな……)

普段は手軽なインスタントばかり飲んでいた佐藤にとって、この一手間と豊かな香りは新鮮そのものだった。まるで鈴木さんの喫茶店にでも来ているような贅沢な気分に浸っていると、母親がキッチンからお皿を運んできてくれた。

こんがり焼けたトーストにたっぷりのバター、そして出来立ての温かい卵焼き。

「はいどうぞ、コーヒーと一緒に召し上がれ」

テーブルに並べられた朝食を目にして、思わず笑みがこぼれた。自宅にいながら、完全に喫茶店のモーニングセットを体験している気分だ。

サクサクのトーストをかじり、淹れたてのコーヒーを一口すする。朝の光が差し込む部屋で味わうこの小さな贅沢は、驚くほど心を軽やかにしてくれた。

(朝からこんなに気分がいいなんて……今日は絶対にいい一日になるな!)

そんな予感を勝手に膨らませながら、佐藤は朝食を平らげると、サークルメンバーと約束しているホームセンターへ向かうため、ワクワクした気持ちで出かける支度を始めるのだった。

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