夜の「しおり」完成と、ラジオネタの試運転
水曜日。定時を迎え、仕事を終えた佐藤はそのまま足早にいつもの喫茶店へと向かった。
店に入ると、すでにサークルメンバーがテーブルいっぱいに資料を広げて待っていた。
「佐藤くん、お疲れ! さっそく『しおり』のドラフト版を出力してみたよ」
渡辺さんから受け取った紙の束をめくる。全体のスケジュール、3つのコース別の詳細案内、ホテルの館内マップ、そしてバスの座席表まで、見やすく完璧にレイアウトされていた。
「うわ……めちゃくちゃ分かりやすいですね! これなら当日みんな迷わずに楽しめそうです」
「よし、しおりの紙面はこれでほぼ確定だな! 印刷と製本は会社のでかい複合機で一気にやっちゃおう」
しおりのドラフトが無事に完成し、続いてバス移動中で流す「ラジオ音声配信(BGM感覚の車内トーク)」のネタ出し作業へと移った。
「15分〜20分くらいのトーク番組風にするわけだけど、どんな話を盛り込もうか?」
「会津の観光豆知識やおすすめ土産の紹介はもちろんだけど、やっぱり社内ネタもちょっと欲しいよね」
最初は「会社の小さな出来事」をきっかけにアイデアを出し合い始めたが、佐藤が入社してから日頃の雑談で仕入れてきた社内エピソードのストックが火を噴いた。
山口製作所は社長をはじめ、熟練の職人さん、事務員さん、さらにはいつも笑顔で挨拶してくれる警備員さんに至るまで、社歴の長いベテランばかりだ。自然と「歴史」と「個性」の詰まった爆笑秘話や意外な裏話が山のように出てくる。
「これ、紙にひとネタずつ書き出して、本番の録音時にBOXからランダムに引いてトークを展開するスタイルはどうです?」
「それ面白い! リアルなリアクションも取れて絶対ラジオっぽくなるよ!」
さっそく小さな紙に社内ネタを書き出し、試しにいくつか箱から引いて「プレ録音」のテストをしてみた。
『創業当時の社長がやらかした、今では絶対に言えない伝説の失敗談』
『〇〇職人が愛用している工具にこっそりつけている名前の由来』
『事務の〇〇さんが知る、山口製作所の歴代変なおやつブーム史』
「ちょっと待って、これマジでそんなことあったの!?(爆笑)」
「そうなんですよ! この前お昼休みに職人さんから直接聞いたんです!」
話が次から次へと膨らみ、脱線しながらも大爆笑の連続。自分たちが一番楽しんでしまい、気づけば時間が過ぎるのをすっかり忘れていた。
ふと壁の時計を見ると、いつの間にかかなりの遅い時間になっている。
「やばい! 楽しくて夢中になりすぎた(笑)。今日のところはこれで解散にしよう!」
「次は実際にマイクに向かって本番の音源録音だね。いやぁ、当日のバス移動が今から楽しみすぎるよ」
お腹を抱えて笑った余韻と充実感を胸に抱き、佐藤たちは明日への活力をみなぎらせながら、満足感いっぱいで喫茶店を後にするのだった。




