ホームセンターの資材選びと、こだわりの出汁試作会
日曜日の朝。昨日の約束通り、佐藤はサークルメンバーと一緒にまずは大型ホームセンターへと向かった。
資材売り場に足を踏み入れると、ベニヤ板や角材、緩衝材用シートなどがズラリと並んでいる。
「30平米のスペースに置くリアルキック野球盤となると、フレームの高さや枠組みの頑丈さが大事だな」
渡辺さんがスケッチブックとメジャーを手に、木材の厚みや加工のしやすさを真剣にチェックしていく。
「スポンジボールが当たって弾む壁には、薄手のベニヤ板とスポンジシートを組み合わせれば音も静かだし、安全面もバッチリだね」
「ホームランゾーンの的に入ったら、木の木片が落ちてカチンと音が鳴る仕組みも、このあたりの端材で簡単に作れそうですよ!」
実際に資材を手にとって手触りや強度を確認しながら、キック野球盤に必要な枠組みやターゲット用パネルの材料の目星をつけていった。
ホームセンターでの検討を終えた後は、隣接する大型スーパーで出汁取り用の買い出しだ。上質な鰹節、利尻昆布、煮干しをはじめ、昨日決めた具材の試食用サンプル(豚肉、手羽先、練り物、野菜など)をカゴいっぱいに買い込んだ。
昼過ぎ、全員で鈴木さんの喫茶店の厨房へと移動し、いよいよ出汁の試食会が始まった。
厨房からは、豊かな香りが漂い始める。
一対一で丁寧に取った「鰹出汁」は、華やかな香りとスッキリとした後味が特徴的だ。「昆布だし」は上品でまろやかな深みがあり、具材本来の味を引き立てる。「煮干し出汁」は力強いコクとパンチがあり、肉系の具材と合わせたときに抜群の存在感を発揮した。
「う〜ん! どれも甲乙つけがたいな……!」
「鰹は万能だし、昆布はベースとして最高、煮干しはキムチや麻辣系の濃いめのタレに負けない力強さがある」
それぞれで取った出汁に、実際に豚肉や手羽先、練り物などをくぐらせて味を確かめる。
「……待てよ。これ、ひとつに絞るんじゃなくて、基本ベースのスープを昆布と鰹の合わせにして、好みで煮干しオイルや辛肉味噌をプラスできるようにすれば、セレクト鍋の楽しみがさらに広がるんじゃないか?」
「それだ! 出汁やタレまでセレクトできるなら、大人から子供まで絶対に満足できる!」
セレクト鍋のコンセプトがさらに進化し、一同は大満足で試食のお鍋を平らげた。
資材の検討もスープの方向性もバッチリ固まり、片付けをしながらホッと一息ついた時、渡辺さんが「あ!」と声を上げた。
「そういえば……市役所と商工会への連絡、すっかり忘れてたよ!」
「あ、本当だ! テレビ取材も絡むし、地域連携の相談は早めにしておかないとね」
「じゃあ週明け月曜の朝一で、市役所と商工会に一本連絡を入れて打診しておこう!」
最後のアクションプランも確認し合い、イベントの準備は万全の体制で前進していくのだった。




