夜の居酒屋風つまみと、秘蔵の酒
日曜の夜。昨日の残りのローストビーフとタンドリーチキンをお皿に綺麗に並べ、家族でゆっくりとお酒を交わしていた。
すると、両親が「ちょっと温かいおつまみも欲しくなってきたね」とキッチンへ立ち上がろうとする。
「あ、僕も一緒に作るよ!」
佐藤もすぐあとに続き、三人で手分けして居酒屋風のスピードメニューに取りかかった。
まずは、ほうれん草と厚切りベーコンをフライパンへ。バターの香ばしい匂いが立ち上る中でサッと炒め合わせ、仕上げに七味唐辛子をパラリと振って器に盛る。
続いてきのこ炒めだ。エリンギ、しめじ、椎茸を大きめに手で割いてフライパンに投入し、醤油とラー油でピリ辛に香ばしく炒め上げる。お皿の脇に柚子胡椒を添えれば、あっという間に二品が完成した。
「よし、冷めないうちに食べよう!」
食卓に戻ってさっそく出来立てを口に運ぶ。バターのコクに七味がピリッと効いたほうれん草、そしてラー油と柚子胡椒の爽やかな辛みが鼻を抜けるきのこ炒め。どちらもお酒が進む最高の味わいだ。
「うーん……ダメだ、これ絶対にご飯が欲しくなるやつだ」
「あはは! 分かるわ、お醤油とバターの味付けってご飯に合うのよねぇ」
「太るって分かっちゃいるけど、やっぱり炭水化物と合わせたいよね」と笑いながら、佐藤は炊飯器からお茶碗に軽くご飯をよそってきた。熱々のご飯と一緒に頬張ると、口いっぱいに幸せが広がる。
そこへ、父親が「よし、今日は特別にこれを開けるか」と、奥から大事に取っておいた地酒の四合瓶を出してきた。トクトクと猪口に注ぎ、三人で改めて乾杯する。すっきりとした芳醇な香りが、ピリ辛のおつまみと完璧に調和した。
「……なんかさ、東京にいた頃はこういう時間を実家で過ごせるなんて、想像もしてなかったよ」
ふと猪口を見つめながら佐藤がしみじみと呟くと、両親も優しく目を細めた。
「私たちも嬉しいよ。帰ってきてくれて、こんな風に美味しくお酒が飲めるんだから」
温かな湯気と美味しい酒、そして家族の笑顔。ゆったりと流れる時間の中で、佐藤は地元の温もりと生きていく喜びを、深く胸に刻み込むのだった。




