詰め込みすぎたプランと、三グループ編成の閃き
日曜日、再び喫茶店に集合し、昨日の続きである旅行行程のパズルに取り組み始めた。
まずは宿泊先である『星野リゾート 磐梯山温泉ホテル』の館内サービスやアクティビティをおさらいする。
「会津の地酒バーに、名物の朝ラーメン体験。夜は民謡や踊りのステージもあるみたいだな。この辺はホテルの目玉だし、絶対押さえておこう」
続いて1日目の行程だ。バスの経由地追加は代理店に相談前提として、猪苗代IC周辺のスポットを並べていく。
「『野口英世記念館』に『世界のガラス館』『猪苗代ビール館』、それから『天鏡閣』に『猪苗代湖の遊覧船』……時間をタイトに組めば、なんとか夕方までにギリギリ回りきれるか?」
「あと、初日からナイターでがっつりスキーやスノボを楽しみたいやつも絶対いるよね。……よし、それなら初日の移動バスは『観光組』と『直行スキー組』で2台に分けよう!」
ここまでは順調だった。続いて2日目の会津若松市内の観光ルートを広げていく。
「2日目は『日新館』や『会津村』からスタートして、『飯盛山』で白虎隊の歴史に触れつつ『さざえ堂』を見る。女性陣に人気の『赤べこ絵付け』や『会津絵ろうそく』の手作り体験を入れて、『会津武家屋敷』と『鶴ヶ城』、仕上げに『野口英世青春通り』のレトロな喫茶店めぐりだな!」
「昼飯は12時頃に通る場所で探そう。喜多方ラーメンは位置的に厳しいから、名物のソースカツ丼や会津ラーメン、会津の郷土料理『わっぱ飯』や『こづゆ』が食べられる店をピックアップしよう」
怒涛の勢いで候補を出し合い、いざタイムスケジュールへ当てはめていく段階になって、渡辺さんが青い顔で声を上げた。
「……待て待て! 昨日の候補に出てた『ラビスパ裏磐梯』と『リステル』の温水プール、それに『磐梯山噴火記念館』が入ってないぞ!」
「あ……!」
慌ててそれらのスポットも候補に追加し、移動時間と滞在時間を計算し直してみる。……結果は明白だった。各スポットの滞在時間が「20分」や「15分」という無茶苦茶なスケジュールになり、移動時間すら担保できない。
「これ……完全に無理ゲーだな」
佐藤が頭を抱えると、鈴木さんがポンと手を叩いた。
「参加者が大・中・小合わせて130人以上いるんだ。いっそのこと、社内アンケートを取って希望を聞こう。その集計結果に合わせて、バスの号車ごとに『歴史・体験コース』『アクティビティ・プールコース』『がっつりスキー・温泉コース』みたいに3グループ分のしおりを作ればいいんじゃないか?」
「それだ!」
見事な解決策が決まり、そこからは翌日会社で全社アンケートを取るための準備に没頭した。
(行程が決まったら決まったで、次はバス移動中や夜のホテルで仕込むサークル特製の独自アクティビティも考えなきゃだし……本当にやること山積みだな!)
だが、苦労すればするほど最高の旅行になる確信があった。佐藤たちはノートにびっしりとアンケート項目を書き込みながら、充実した日曜日の夜を過ごすのだった。




