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金林檎はおやつに含まれますか  作者: 佐々木勇二


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第十章 黄金の庭の話、あるいは崩れる音

岩の道が、曲がった。

曲がった先に、庭があった。

花野原とは違った。手が入っていた。石畳が敷かれていて、低い壁があって、刈り込まれた低木が並んでいた。整えられた美しさだった。誰かが長い時間をかけて、形を決めた場所の美しさだった。

光は柔らかかった。どこから来ているのかわからない光で、影ができなかった。全部が、均等に照らされていた。

人がいた。


最初は、数えなかった。

庭の中に、人がいる。それだけがわかった。それぞれが少し距離を置いて、それぞれの場所に立っていた。全員、幸福そうだった。

幸福そう、というのは——笑っているわけではなかった。ただ、軽かった。荷物がない人の、体の軽さがあった。長い間悩んでいたことが終わった人の顔が、あった。

エリィは庭に入って、少し立ち止まった。

それから、見えた。


石畳の少し先に、男の子がいた。

七歳か八歳くらいの男の子で、上着を着ていた。薄い上着ではなかった。厚くて、色があって、よく合っていた。鼻が赤くなかった。唇が白くなかった。

街道沿いの小さな村で、石塀にもたれて外套もなく座っていた子だった。父親が具合を悪くしていると言った子だった。エリィが最後の金林檎を渡して、炎を起こした。それだけしかできなかった子だった。

父親のことは、聞けなかった。馬車が出る時間だったので。

子供は、エリィを見た。

顔が、向いた。

エリィは足が動くより先に、一歩、踏み出した。


子供が口を開いた。

何か言った。

音が届くかどうか、庭の空気がやわらかすぎて判然としなかった。でも形だけはわかった。名前ではなかった。でも、エリィに向けた声だった。

その声の後で、庭が静かになった。

静かさの中に、エリィと、子供と、光だけがあった。

腹が、鳴った。

大きく、はっきり。庭の石畳に響くような音で。

子供が首を傾けた。

エリィは「すみません」と言いかけて、やめた。言う相手かどうかわからなかった。


子供が、手を伸ばしてきた。

エリィも、手を伸ばした。考えてから伸ばしたのか、先に手が動いたのか、後から思い出そうとしても判断できなかった。

指先が、近づいた。

子供の指先が、少し——光り始めた。

金色だった。

光った、というより、金になりかけた。指先から、手の甲に向かって。ゆっくりではなく、静かに。

エリィは手を引いた。

引いた瞬間に、音がした。

金貨が一枚、石畳に落ちる音が。二枚。三枚。それから続けて、止まらずに。

音の種類を、エリィは知っていた。

ずっと聞いてきた音だった。馬車の中から聞こえた音。山の方から聞こえていた音。足元から聞こえていた音。

同じ音が、今、庭の石畳から鳴っていた。

子供のいた場所に、金貨が積まれていた。

幸福そうな顔のまま、崩れていた。


エリィは手を胸の前で止めたまま、その場に立っていた。

触れていなかった。

確かに、触れていなかった。

でも、崩れた。

頭の中で、何かが整理しようとして、できなかった。理由を探して、見つからなかった。子供が崩れた理由が、わからなかった。自分が何かをしたとは思えなかったが、自分以外に何かをした者もいなかった。

ただ、近づいた。

それだけだった。

石畳の上の金貨が、光の中で光っていた。


カエルが、少し離れたところで立っていた。

エリィの方を見ていなかった。別の方向を向いていた。どこを向いているのかは、エリィの位置からは見えなかった。ただ、動いていなかった。今まで見てきた中で、一番長く、同じ場所に立っていた。

エリィはカエルの方を見て、それから視線を外した。

見てはいけない場所がある。今がそれだと思ったので、見なかった。

ヴェルト師は庭の端にいた。

何を見ているのかは、わからなかった。老人の背中が、こちらを向いていた。


男が、庭の向こうへ歩いていた。

迷わなかった。

庭の中央よりも少し奥に、積み上げられた何かがあった。石畳の上に、山になっていた。光を返していた。金色だった。

男は、まっすぐそこへ向かった。

立ち止まらなかった。周りを見なかった。他の者がいることを、気にしていないようだった。

積み上げられたものの前に立って、手を伸ばした。

触れた。

崩れなかった。

音がしなかった。

男の手の中に、金貨があった。金貨のままだった。変わっていなかった。

男はその金貨を、しばらく見ていた。

その顔を見ていた者がいたとすれば——男の顔が、初めて読めるものになっていた。困惑ではなかった。怒りでもなかった。

空白だった。

何かを期待していた場所に、何も起きなかった人間の顔だった。次の一手が見えない、でも動けない、ただ立っている顔だった。

エリィはその顔をちらりと見て、視線を石畳に戻した。


そのものが、エリィの隣にいた。

いつから来ていたのかはわからなかった。音がなかった。

「触れなかったね」

「触れませんでした」

「でも近づいた」

「近づきました」

そのものは石畳の金貨を見た。

「あの子は」とエリィは言った。

「うん」

「本当に、そこにいましたか」

そのものは少し間を置いた。

「いた」と言った。

「今もいますか」

「形が変わった」

エリィはその言葉を頭の中に置いた。形が変わった。消えたとは言わなかった。いなくなったとも言わなかった。ただ、形が変わった。

「どこへ行きましたか」

「さあ」

「わかりませんか」

「わからない」

エリィは石畳の金貨を見た。光の中で、静かに光っていた。


足元を見た。

石畳の隙間から、草が少し出ていた。庭の端の方にも、草があった。

その縁が、少しだけ——金色になっていた。

エリィは気づかなかった。

カエルが、気づいていた。

庭の向こうから、ゆっくりとエリィの方へ目を向けていた。石畳の隙間の草を見ていた。エリィの足元を見ていた。

何も言わなかった。

口が開かなかった。開けなかったのか、開け方がわからなかったのかは、カエル自身にもわからなかったかもしれなかった。


庭を出るとき、エリィは一度だけ振り返った。

石畳の上の金貨は、まだあった。

子供がいた場所の形を覚えていた。どこに立っていたか。首をどう傾けていたか。手をどう伸ばしていたか。

エリィは荷物の中の本を、服の上から押さえた。

答えはまだ出ていなかった。

でも、何かが変わっていた。言葉にすることができなかった。ただ、庭に入る前と出た後で、何かが違っていた。

感触として、それだけがあった。

金属の音が、また聞こえ始めた。

庭を出た後の岩の道で、等間隔に戻っていた。でも今日は少し、低かった。遠くからではなく、近くから聞こえるのに、低かった。

まるで何かが、数えるのを一瞬、止めたような音だった。



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