ロール
次回は水曜日12時です。
特待生はすべての授業を受ける義務はなく、受けたい授業があるときのみ用意された自分の席に着けばいい。
しかし今日は学園開始の初日、まずはひと通りどんなことをやるのか気になったので席に向かったのだが教室に入ると中の生徒全員がこっちを見た。
話し込んでいた生徒も目をつむっていた生徒も俺の方を見る。
その視線が気にはなるがとりあえず席に着くことにしたが座ると同時に何人かの生徒が近寄ってきて声をかけてきた。
「「「俺(私)達とパーティー組まない!?」」」
予想どうりのことにため息が出てしまう。
「はぁ〜」
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時間は少し巻き戻りディーノとトラゴが戦った当日へともどる。
その日の学園寮では校長からあった一年課題の影響もあり、かなりの騒がしかった。
部屋の中ではルームメイト同士がどの生徒たちに声をかけるかと話し合ったり、食堂や広間ではすでに6人以上のパーティーを組み始めたものたちもいる。
この世界のパーティーに人数制限などなく何人でもパーティーを組める、ただし二人以上三十人未満までがパーティー、それ以上はレギオンなど区別されたりもするがそこは名称の違いだけでほかは変わらない。
しかし一般的にパーティーは六人程度と言われている。
人数制限がないなら多いほうがいいじゃないかと思う方もいるだろうがメンバーが多いのはデメリットも多い。
まずは食事、旅をしながら依頼をこなす冒険者たちでは持てる食材も限りもある、多ければその分持っていくことはできるが結局一人頭の数は変わらないので六人だろうが三十人だろうが用意できる食事の期間は同じくらいだ。
しかし、少なければ其の分現地調達で賄えることが多い、猪一頭でも捕まえればおよそ二日分くらいにはなる。
逆に三十人パーティーでは一食にもみたないだろう、これが一つ目の理由。
そしてそれよりも問題なのが金の分配だ。
依頼をこなす人数が何人だろうが受け取れる金額は一緒、ならば少ないほうが一人頭の取り分は大きくなるのは自明の理、そういうこともあって大抵は六人ほどでパーティーを組むのだ。
寮内で慌ただしい雰囲気がある中でも話の中心は特待生の二人がどの人達とパーティーを組むのかというものだった。
どの生徒も二人のうちどちらかだけでも欲しいと思いどちらの方に先に声をかけるかで話し合っていた。
人気としては6:4でディーノの方を目当てにする生徒が若干多いといったくらいだ。
実力的には互角だったがトラゴは最初のスピーチでの印象の影響で尻込みする生徒が出ているようだ。
そんな中自室にて話し合いをする生徒たちがいた。
「私達はどちらの方に声を掛けるんですか? お嬢様?」
自室に置かれたベットの上に座るソニアは同じく別途に寝転がるテオドラに尋ねた。
すでに二人が組むことは決定しており、次は特待生のどちらに声をかけるかをテオドラに決めてもらおうとソニアは聞いたのだ。
「もう決まってるわよ。 ディーノ君の方をね。」
ソニアはもう決断しているテオドラに驚いていた。
あの二人はどちらも同じぐらいの腕前というのはあの戦いでわかったがだからこそ悩むだろうなと思っていたソニアはなんの迷いもなくディーノといったことテオドラに真意を聞いた。
「どうしてですか?」
「私達のロールを考えたらディーノくんの方がいいのよ」
ロールとはパーティー内での役割のことだ。
パーティーに入る冒険者は自分がどんなことができるのかをわかりやすくするためにロールを用いる。
例えば敵に対して前線で戦うものはアタッカー、後ろに引いて見方をサポートするのはサポーター、ロールを決めても何か制約ができるわけじゃないの変更も可能だ。
「私はタンクでお嬢様はヒーラー兼コマンダー、ならどちらでもいいのでは?」
ソニアのロールは敵の攻撃を防ぐタンク、最前線で後衛たちを守る役目だ。
対してテオドラは一番後ろで負傷した仲間の回復や指示を出すロール。
それならばトラゴでもディーノでもいいのではと思ったソニアにテオドラは自分の考えを述べた。
「おそらくトラゴ君はアタッカーでしょうね、アタッカーのいない私たちだからそれでもいいのだけれどアタッカーなら別にトラゴ君でなくともいいのよそれに――」
「それに?」
「ディーノくんならあの戦いを見る限りどこをやらせても良さそうじゃない? ならこの先どんなメンバーになるかもわからないならどこでもできるディーノくんの方を優先すべきと思ったまでよ」
「なるほど〜ようはトラゴくんでは誘うロールは決まってしまいますけどディーノくんなら選び放題ってことですか?」
「ま、そんなところね」
「でもディーノくんの方を誘えますかねぇ? 引く手あまたみたいですし。」
「それに関しては多分大丈夫だと思ってるわ」
またも謎のテオドラの発言にソニアは頭に疑問符を浮かべたがテオドラは笑みを浮かべて背を向けてしまい詳しくは教えてくれなかった。
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別の一室でも話し合いが行われていた。
「で、どっちを選ぶんだ? イブ?」
こちらも二人組み終え、特待生のどちらかを選ぶ場面だったがアランは最終的な決定はイブに任せることにした。
イブもすぐにアランに答えた。
「トラゴくんの方っすよ」
あっけらかんと行ったイブにアランは驚きを禁じ得なかった。
「お前なら面識のあるディーノの方を選ぶと思ったがなんでだ?」
「今アランが言ったとおり面識があるからっすよ。 ディーノくんは誘いの多さで迷うと思うっす。 けどトラゴ君の方は迷わず自分の認めた相手、トラゴ君風に言うならマシな奴っすかね?を見たらそこで即決するでしょうからトラゴ君の方が時間はかけられないんっすよ。」
「なるほどな、お前にしちゃよく考えてる。 じゃあディーノの方は諦めるのか?」
「ちょっとひどくないっすか? まぁいいっすけど。 もちろんディーノくんの方も諦めないっすよ。 恩もありますし、だからこそここで面識があるのを利用するんすよ。 迷っているディーノくんなら少しでも知っているオイラたちを選んでくれる確率は高いっす。 遅れれば遅れるほどオイラ達の方に気持ちが向いてくるはずっす。」
イブのその言葉にアランは考えられているなと思ったがひとつ心に引っかかるものがあった。
「おい、じゃあもしあいつら二人共取れちまったらどうするだよ。 あの二人が同じパーティーなんて険悪なムードになるに決まってるじゃないか!」
スピーチや戦いを見るに既にあのふたりは犬猿の仲とも言えるほど互いに嫌いあっているだろう。
多くの生徒たちはそのことを踏まえどちらかにしようと議論しているのにイブはあろう事か二人共取ると言い出した。
そんな二人をまとめるのはどうするのかとイブに尋ねたが。
「そこはアランに頑張ってもらうっすよ」
返ってきたのはなんとも他人任せなものだった。
「ふざけるな! 人に何面倒なこと押し付けようとしている!」
怒り口調のアランだがイブはどこ吹く風と寝転がる。
それを見たアランがため息をつくのは当然のことだった。
「はぁ〜」
「頑張っす!」
「うるさい!」
願わくばどちらか一人だけになってくれとアランは天を見上げるのだった。
bf4買いました。 最近お金の使い方荒いから気をつけなければ……




