ブースト
次回の投稿は日曜日12時です。
ディーノはミャゴーレの室内での修業中に考えていたことがあった。
それは特待生試験の戦闘で戦ったときのことだった。
あの時、近接戦闘で隙ができたのは相手の油断があったから、これからはそう何度も油断してくれるとは思えない。
だからこれからの戦いでは近接戦闘術の向上は不可欠になるだろうと……
しかし、ディーノはこれ以上の向上は無理だと悟っていた。
近接戦闘術に必要なものは技術と筋力、だが筋力を上げるのはちょっとやそっとのことでは上がらない、技術も同様、ならばどうするか。
無理やり体のスペックを上げればいいのだ。
「ふん、やけになったか?」
トラゴは走ってくるディーノを軽くあしらうつもりだった。
自身の身体スペックはディーノを軽く超えている、ディーノが何をしようと対応できると思っていた。
だがトラゴはすぐこの考えを改めることになった。
ディーノは走りながら二つの魔法を用意した。
一つは杖強化・氷、杖に氷の刃を持たせる。
竜人族は炎魔法に強い、それはさっきディーノが身を持って知り、そして思い出した。
竜人族の`弱点´
ガキィィィィィィン!!!
トラゴの剣とディーノの杖がぶつかる。
「っは! すこし余裕がないように見えるがどうかしたか?」
「貴様……氷魔法もつかえるのか……」
ディーノはにやりと笑うことで答えを返す。
竜人族の弱点、それは竜人族が変温動物の一面も持っていることだ。
彼らは他の種族とは違って体が冷えることを嫌う、それは自身で体温を上げることが苦手で、体温が下がれば体を動かすことが難しくなるからだ。
「だが関係ないな!」
トラゴは自身に脅威になる杖を弾き返し、ディーノの腕を狙う。
「くっ!」
(やっぱり腕力では勝てねぇ! でも! こっからが本番だ!)
ディーノはトラゴの腕力に負け、両腕を上げてしまうがここでもうひとつの魔法が発動する。
――――――――――――――――――――
「なんだ? あれは?」
アランは目の前の光景に驚愕を禁じ得なかった。
「うわ〜すごいっすね」
イブも思わず口が空いてしまう。
なぜならフィールドの中ではディーノがトラゴに猛攻を仕掛けていたからだった。
少しの沈黙の後、イブが口を開く。
「竜人族相手に近接戦で押す人族なんておいら初めてっすよ…」
竜人族というのは近接戦闘のプロだ、いくらトラゴが一般的な戦士たちよりも年下とはいえ、その実力はすでに大人を越すというのはこれまでの攻防でも明らかだ。
「しかし……いきなりディーノくんの動きが変わったことにはなにか仕掛けがあるはずだ」
アランは目の前の光景に目を離すことなく、冷静に分析を始めていた。
先程までとディーノの動きは違いすぎる、ならばそれには理由があるはずだと。
イブもアランの言葉に頷き、フィールドを注視する。
その仕掛けがなんなのかを知るために。
――――――――――――――――――――
「あらあら、彼かなり無茶するわね」
「どういうことですか? お嬢様?」
テオドラとソニアの両名も驚いていたがテオドラによってすぐに落ち着き始めた。
「彼、ディーノくんの方の動きが変わった理由よ」
「お嬢様、わかったんですか!?」
ソニアは目の前に光景を作り出す物の正体を探り当てたテオドラに驚愕した。
「ええ、すこし彼のこと`読ませて´もらったんだけど魔法の一種みたいね」
テオドラは屈んでこちらに顔を向けるソニアに対して自身の見たものを説明し始めた。
「彼のやっていることは炎魔法の反動を利用してトラゴ君から距離をとったことの応用、体の各所から連続的に炎魔法を使って自身の体の速さを上げているみたいね」
「ふぇ〜、でもお嬢様? 魔法を体を動かすのと同期させながら発動するなんてできるんですか?」
「ごめんなさい、そこまで詳しくは`読め´なかったわ。 でもなにか普通に魔法を使っているのとは違うみたいだけれど……」
二人見つめるフィールドではディーノは攻め続けていた。
パワプロ2016買っちゃった……しかしやってるのはサクスペという矛盾




