ゴング
次回の投稿日は水曜日12時です。
闘技場に向かう道中、嫌々ながらも俺はトラゴに話しかけてみた。
「どうしてお前は強者を、強い奴を求めるんだ?」
俺の前を歩くトラゴは返事をしないかと思いきや答えを前を向いたまま言った。
「俺が強くなるためだ」
答えはシンプルなものだったが未だに疑問はある。
「強くなってどうしたいんだ?」
これにはトラゴ答えず、黙ったままだった。
「なあ――」
「うるさいぞ、話しかけるな。 俺は魔術師が大っ嫌いなんだ。」
俺はトラゴの言葉にムッとするも再度質問を投げかけた。
「なんで魔術師が嫌いなんだよ」
トラゴは答えず、話しは終わる。
互いに無言のまま、教師に連れられ、足を進める。
「自分を強者だと奢る魔術師など……(ボソッ)」
トラゴから出た言葉は静寂の中にあってもディーノには届かないほどか細いものだった。
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闘技場に着くと俺とトラゴは別々の入口へと案内された。
中には控え室があり、石製の椅子や剣や防具を立てかける道具などが置かれている。
「ここを出ると審判がいるからそこの前で止まって欲しい、ふたりが揃うとルール説明が入るからそのあとに開始だ。 装備の準備はいいね」
俺は自分の杖を握り締め、こくりと頷く。
扉の隙間から漏れる光に誘われるように俺は扉の前に立つ。
案内役の教師が扉の横にある閂を外したのを見た俺は扉に両手をかけて押した。
木製の扉は思いのほか軽く、少し体重をかけただけで開いた。
中に入ると光量の差から一瞬眩しく感じ、額に手をやるがすぐに慣れ手を離し、周りを観察した。
既に円形のフィールドを囲う壁の上にある観客席には生徒たちが座っており、席の最前列は全て埋まっていた。
それでも空席が目立ってしまうのは本来使われる催しの規模を表しているようだ。
不意に入ってきた方向の反対側、正面を見るとそちらの扉も開こうとしていた。
扉が開いた先には俺とは違って片手で扉を開けるトラゴがいた。
扉を開けたトラゴは薄い金髪をたなびかせながらこちらにゆっくりと向かってくる。
その背中からは緑の尻尾が伸び、頭の横には剣を柄が見える。
服装は意外だったが軽装だった、もっと鎧やらを着込んでくると思いきやそのまま町人に紛れ込んでも違和感のない服装だった。
俺たちが中央に近づくと審判が間に入った。
「二人共そこで止まってくれ、今みんなにルールの説明を始める」
みんな?と疑問を抱いた瞬間審判は懐からなにか金属でできた棒のようなものを取り出し、口を開いた。
「それではルールの説明に入る」
審判の声は目の前のものだけでなく、全方向から聞こえてきた。
(あれ、マイクだったのかよ! ってゆうかなんでマイクとスピーカーなんてものがあるんだよ!)
そのことに驚いた俺だが審判は気にせず説明を続ける。
「今回のルールは半時間(地球で言う45分)制限で行う! 武器の使用制限は無し、ただし外部からの武器の調達は禁止し持ち込んだ武器のみで行うこと! 勝敗は降参させるか、私とフィールドの両はしに居る審判がこれ以上の戦闘を不可能と判断する状況を作るったものの勝ちとする! そして制限時間を過ぎても決着がつかなかった場合は引き分けとする! 両者ともに相手を殺さぬよう注意する事! 以上がルールだ! なにか質問は? ……ないようなので勝負を始める! 両者、構え!」
審判の説明が終わり、マイクに驚いていた俺も落ち着きを取り戻し、杖をいつもの構えに取る。
トラゴも同様に戦闘態勢に入ったようだ、先程よりも鋭く目を光らせている。
審判が片手を挙げ、振り下ろした瞬間戦いが始まる。
視界の端に審判を捉えると片手をいまにもふり下ろそうとしていた。
手が下がり始めたのが見えた。
手が振り下ろされるまでの時間は一瞬だろう。
しかし、俺にはその時間がとても長く感じられた。
今か、今かと体に力を貯めるとついに手が振り下ろされた。
俺の頭の中には戦いのゴングが鳴り響いたような気がした。
モチベの維持がつらい……感想があったら上がるんだけどなぁ(チラッチラ)




