真の特待披露
次回の投稿は土曜日12時です。p・s次回の投稿を予定が入ってしまったため日曜日に変更致します。最近更新頻度が変化して申し訳ないです。
話は少し戻り、トラゴのスピーチに戻る。
「どいつもこいつも弱者ばかり、俺が来たのは無意味だったようだな」
そう言った瞬間、生徒の大半はトラゴに殺気とも言える敵意を放っていたが一部の生徒はそうではなかった。
「あら、かなり強気ね、彼」
「ひぃ〜ん、なんで冷静なんですか! お嬢様! 周りの皆さん怖いです〜」
彼女、オーガ族の大女、ソニアとそのソニアにお嬢様と呼ばれるテオドラもその一部だった。
ただし前者は周りの変化に驚き、オドオドとしていて、後者は強気な発言をしたトラゴの実力に興味を持っている様子だ。
トラゴが壇上を降りる姿を見ながらテオドラは考えていた。
(彼、本当に強いわね。 今まで自分の強さに鼻をかけて、傲慢な態度をする中途半端な人間はそれなりに観てきたけど、完全に見下す人は初めてだわ)
彼女は自身の能力のおかげで人より多くの人間と触れ合う機会が有り、様々な人間を見てきたがトラゴのような人物は見たことがなかった。
テオドラにはある思いがある。
そのために彼女は強者を求めていた。
トラゴはそのメガネにかなう人物だった。
壇上にはトラゴに変わってディーノが立つ。
テオドラは壇上に立つディーノからある感情が読み取れた。
(怒り、でもこれは彼自身が馬鹿にされたからではないわね。もっと別の…大切なものを傷つけられたから…)
「ふふっ! 彼もいいわね。自分の力を過信していない。」
彼女はトラゴのような人間は初めてだったがディーノのような人間は何度か見たことがあった。
自分の強さを鼻にかけず、謙虚な態度をとりながらも大切なひとつのものを持つもの。
そういう人間を仲間に加えたいと常常思っていた。
ディーノのスピーチも終わり、教員が注意事項を話す中、テオドラは特待生の間に流れる不穏な空気を楽しんでいた。
(一触即発、二人共もう止まらないわね。 さて、どうなるかしら?)
二人が互いに仕掛けようとした瞬間、間に誰かが入った。
(あれは…校長ね)
校長はふたりを止め、壇上に登る。
壇上に上がった校長は真の特待披露を始めると言った。
(真の特待披露……なるほどね)
テオドラにはおおよその内容が読み取れた。
(特待生になったものの実力を全校生徒に見せつける、それが終わって初めての特待生になるのね)
教師と何かを話した校長は生徒の方に向き直り、説明を始めた。
「さて、これからみなさんにはトラゴ君とディーノ君の実力を見てもらいます。そのためにまずは移動をしましょう。では先生方、先導をお願いします。」
そう言うと皆、教師に連れて行かれる。
(どこに行くのかしら?)
――――――――――――――――――――
生徒たちが連れてこられたのはセントルの郊外にあるコロッセオだった。
円形のバトルフィールドに高い壁、その壁を囲うように観客席が並んでいる。
生徒たちは好きな席に仲間や友達と並んで座っていた。
「いや〜それにしてもホント驚きっすよ」
「ん?何がだ?」
その一角にイブともうひとり、彼のルームメイトでもある鳥人族の男が座っていた。
「おいらの親戚の店が最近繁盛してるってのは話したっすよね?」
「ああ、言ってたな。 なんでも美味しい米料理ができたとかなんとか」
「それを考えたのがあのディーノ君なんすよ」
「ほ〜う、てことはなんだ。 お前、あのディーノってやつと知り合いなのか?」
「そうなんすよ、アラン。 もっとも会った時には特待生とは知らなかったすけどね」
イブリードにアランと呼ばれた男性はルームメイトの奇妙な縁に驚いていた。
「すごい偶然もあるもんだな。 じゃあこれからの戦いお前はディーノに勝って欲しいのか?」
「ん〜? 別にどっちでもいいっちゃいいすけど、どちらかというとディーノくんっすね」
この二人も先ほどのトラゴのスピーチをどうとも思わなかった一部の生徒だった。
誰になんと言われようと自分のやるべきことは変わらないと信念があった。
そんなことを話しているとフィールドの両端の入口から二人が入ってきた。
「そろそろ始まるみたいだな」
「楽しみっすね! 二人の実力!」
「ああ、そうだな」
しかし、アランには一つ懸念していることがあった。
(この試合、どちらが勝っても荒れること間違いなしだな)
トラゴが勝てばディーノは全校生徒から非難の的になるだろう、逆にディーノが勝てばトラゴは学園の鼻摘みものだ。
(さてどうなることやら……)
最近、調理器具の調子がおかしい……買い換えないといけないのかなぁ




