入学前日
次回は水曜日12時です。
魔力操作の修行やミャゴーレの手伝い、ギルドで依頼なんかを受けていたりしたら気づいたら入学の前日になっていた。
「あ〜 明日には学園に入学かぁ〜 セントルに来てから二月ほどだったけど長かったような短かったような…」
ミャゴーレの一室、彼の泊まっている部屋でくつろぎながらディーノはシルヴィアと別れた時からのことを思い出していた。
(思えば師匠と別れてから半年ほどたっているのか……)
師匠と別れてからたどり着いた田舎町のパエーゼでは森でおった怪我の治療のためにアルマちゃんやアデーレさんにクリスさんの家族にお世話になった。
ゾウのカラードとの一戦は今思えばギリギリのところで戦っていたと思う。
(そういやオセロとか今どうなってるんだろう? サッカーは出来たのかな?)
最初は子供たちのためにやっていた娯楽作りは最終的に大人のためにもなるものを作り始めていたなぁと思い出す。
そのパエーゼ村も怪我が治り、旅立つと何ヶ月の旅路を経て、セントルへとたどり着いた。
その道中は隊商で世話になり、セントルに入る際の仲立ちもやってもらった。
もしかしたらあの時、自分はこの街に入れすらしなかったのかもしれない、ラウロさんには感謝でいっぱいだ。
セントルに入ってからは忙しい日々だった。
学園に入学するために試験を受けたり、ミャゴーレで新メニューつくりや厨房の手伝い、やることは多かったが楽しい日々だった。
(ま、セントル生活はまだまだ続くけどね)
ベットに寝転がり、手を頭の後ろで組む姿勢で口の端を歪める。
これまでの日々を思うとより一層明日からの生活が楽しみに思える。
(もっともっと強くなる、そのために学園で学ぶことは多い)
特待生になれたとは言え、自分はまだまだだ。
そのことをギルドでの試験で痛感しているディーノはそれから自分のできる精一杯のことをしてきた。
自分ひとりでできることはやったがこれからは他人からも学ぶことが出来る。
それは自分にとってとても重要なことになるだろうとディーノは感じていた。
(ま、まずは学園に置いてある本だな。 まだまだ自分の読んだことのない本があるだろうからそれから始めよう)
とりあえずは本を読むこと、知識を身につけることから始めようとディーノは決めた。
そこまで考えて、窓の外を見やるともう太陽が沈む夕暮れ、黄金色にあたりを照らす時刻になっていた。
(もう夕方か…… 少し早いが食事にするかな?)
明日の入学のために早めに就寝しようと思っていたディーノはまだ夕食時というには早いが早めに食事をしようかと思い体を起こす。
(レガーレさんに一区切りついた礼も話しておきたいし……)
ここまで来ることができた礼を改めてレガーレに言っておこうとディーノが考えたその時頭に何か引っかかるものがあった。
(ん? 何か忘れているような……)
頭の片隅に引っかかるそれはなにか重要なことかもしれないと思い、ディーノは首をひねり考える。
(忘れている……重要なこと……明日は入学……)
魔法のことだろうか? 持ち物のことだろうか? 予定のことだろうか?と様々なことを思い出す。
すると入学のところでまたも引っかかるものがあった。
(入学…俺は明日行って……!!!)
そこまで思考が行くとディーノはようやく自身の忘れていた事を思い出した。
「あーーーー!!! スピーチ!!! やっべ!!! スピーチのことすっかり忘れてた!!!」
思わず、大声を上げてしまうがディーノの頭は混乱の極みにあった。
「あーーどうしよ〜 なんも考えてないよ!! なにを言えばいいんだ!? どうすりゃいいんだ!?」
心の声はそこにとどまらず口からこぼれてしまう。
もう明日に迫ってようやくそのことを思い出したディーノは時間のなさから焦りまくっていた。
頭をかきむしりあーでもないこーでもないと呻く。
早く寝ようとか考えていた予定は全て無に帰し、スピーチのことで頭がいっぱいになってしまった。
結局、ディーノはその後食事も満足に取れず、部屋で夜遅くまで机で格闘していた。
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翌日、早朝
睡眠時間は三時間ほどだろうか、格闘の末睡魔に敗北したディーノは朝の雑音で起きた。
スピーチは地球で聞いたことのあるような言い回しがディスタルシアで使えるのか?などと考えて結局ろくにできなかった。
こうなったら出たとこ勝負しかないなと起きたディーノは覚悟を決めた。
部屋に置いてあるおけに魔法で水を張って、顔を洗う。
普段ならカリーノさんかマードレさんに水を用意してもらうのだがこの時期の水は冷たすぎるので自分で用意することにした。
程よい冷たさの水はディーノの顔をスッキリさせるとともに眠気も吹き飛ばした。
「よし!」
頬を叩き、気合を入れ直したディーノは服を着替え、杖をもち、学園のローブを羽織る。
朝ごはんを食べ、レガーレさんに挨拶すると気張ってこいよと応援され、嬉しい気分になった。
学園までの道は歩き慣れたものだったが、なにか未知の場所へ行くような新鮮な気分があり高揚感が生まれた。
しばらくすると学園の門が見えてくる。
あれをくぐれば俺も立派な学園生、立ち止まって門を見ていたディーノはもう一度覚悟を決め胸を張り歩き出す。
(あ〜 スピーチ大丈夫か〜?)
しかしすぐに肩を下ろしてしまい、覚悟は不安に負けてしまったようだ……
最近やること多くて頭が痛い……




