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存在感

次回は日曜日12時です。

 

 

 

 フィアンマの後についていったディーノの前に広がる光景は以前と似たようなものだった。

 

 学園での試験の際に連れられた闘技場、いや校庭と言ったほうがいい場所。

 

 ただし今いるのは屋内で周りに観客席替わりになる石段もない。

 

 そこに着くとフィアンマは試験の内容を説明した。

 

 「ディーノくん 君にやってもらう試験というのは簡単だ 君の使える属性全ての魔法をグランスケールで放って欲しい」

 

 ディーノに告げられた試験の内容は予想していなかったものだった。

 

 また誰かと戦わないといけないのかと少し憂鬱な気分だったが今回は戦わなくていいらしい。

 

 「……それだけですか?」

 

 「ああ それだけだ しかし君には辛くないか? グランスケールを8発 一般的な魔力量なら枯渇しても当たり前だぞ」

 

 確かに…とディーノは心の中で肯定した。

 

 一般的な魔法使いはグランスケールを8発も出すことはできない。

 

 適正属性でようやく5発、出来て6発が限界だ。

 

 しかしディーノの魔法効率ならば8発は実戦で出来るギリギリの回数、戦闘外ならばもう少し増やせるぐらいだ。

 

 「確かにきついですけどできなくはないです あ、鉄は用意してもらえるんですよね?」

 

 「もちろんだ それはこちらで用意する では早速やってもらおうか」

 

 ディーノは一歩前に出ると魔法を放っていった――

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 ズズンと地響きのような音が部屋の中に鳴り響く。

 

 その音の発生源には先程までは平らだった地面がある。

 

 魔法をぶつけられたそれには小さなクレーターのようなくぼみが出来上がっている。

 

 そのクレーターが出来上がるまでの一部始終を見ていたフィアンマはディーノに試験の終了を告げた。

 

 「これで試験は終了だ ご苦労様」

 

 「はぁ…はぁ… それで結果はどうですか?」

 

 試験を終えたディーノは肩で息をしていた。

 

 魔法量に余裕はあるとは言えグランスケールの8発連続は体にこたえたようだった。

 

 体力というよりも精神力に来る魔法の連続使用は体を動かすよりも疲労度の蓄積が高い。

 

 フィアンマもそれを知っているので簡潔に結果を伝え、ディーノを返すことにした。

 

 「ディーノくんはおそらくクアールトかクイーントグレードからだろうな まぁそれは次に君が来た時にわかるさ 今日は疲れたろう 帰るといい」

 

 「わかりました……」

 

 フィアンマの言葉を聞いたディーノは疲れから早く帰って休もうと杖を支えにしながらミャゴーレへと足を向けた。

 

 ミャゴーレへの道中、ディーノは自身の未熟さを見つめ直していた。

 

 (あれだけ魔法を使ってクアールトかクイーントか……)

 

 数字で言うなら4か5、ということはまだ上に5か6段階も差があるということだ。

 

 特待生となり、自分は力があるというのを心の中のどこかで驕りとして抱えていたディーノはそれを打ちのめされたような気分だった。

 

 (こんな調子じゃ師匠に追いつくのはいつになるのやら…… ――がんばろう)

 

 ディーノは天才ではない、ましてや秀才というわけでもない。

 

 ただ前の世界の知識をたまたま持っていたから、ここまでできるようになっただけなのだ。

 

 接近戦での戦い方も魔法の使い方もシルヴィアとの修行による反復練習の成果に過ぎない。

 

 ディーノ自身の中で何かを生み出したというのはオリジナル魔法のエンチャントとメテオなど、しかしそれも前の世界で似たようなものを模倣に過ぎない。

 

 ディーノは自身の力不足を改めて痛感した。

 

 特待生という立場に驕らず努力しよう、ディーノは改めて決意した。

 

 (目標は俺にしかできない何かを見つけることだな……)

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 ディーノの去った部屋にフィアンマは未だ佇んでいた。

 

 顎に手を当て考えていたフィアンマには疑念があった。

 

 (確かに全属性のグランスケールは出来ていた しかしあれだけで特待生になれるのだろうか)

 

 フィアンマが目の前で見た魔法はグランスケールというのは申し分ない威力だったし発動速度もどの属性を見ても可もなく不可もない速度だった。

 

 しかし威力は特待生というには少し見劣りしてしまう。

 

 フィアンマの知る特待生の中にはディボスケールの魔力でグランスケールも威力を出したものやグランスケールを20発連続で放つようなものがいた。

 

 そういった正真正銘の化物立ちと比べるとディーノは普通とも言えた。

 

 しかしそのことはフィアンマにとってはあまり悩むべきものではなかった。

 

 なぜなら既にディーノは特待生のローブを羽織っていた。

 

 ということは学園の教師陣もディーノを見定め、ふさわしいと感じたから渡したのだろうと思っていたからだ。

 

 学園の教師陣がこのことを考慮しなかったとは思えない、ならば大丈夫だと考えた。

 

 (しかし……)

 

 フィアンマの一番の疑念はそれ以外にあった。

 

 (なぜ魔法を使い、精神的に疲れているはずのディーノくんの方が最初に会った時より存在感があったのだろう……)

 

 

 

 

 

 

足が完治しました! いやぁ歩くのも精一杯で引きずっていた頃は大変でした。原因は分かっていませんが運動不足が原因だと思うのでこれからは毎日運動しようと思います。みなさんも運動不足には気をつけてください。

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