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負け筋

次回は日曜日の12時です。




試験官の合図と共に二人は跳ねるように駆け出した。


二人の間にあった数メートルの距離は一瞬で縮まる。


(なんだ?)


ディーノの対戦相手である剣士がディーノが動いた瞬間ぎょっとしたような表情を浮かべ一瞬の隙が生まれた。


理由は分からないが出来た隙をディーノは逃さず魔法を発動した。


(エンチャント・メタル!!)


ディーノが魔法を発動したとたん杖は金属をまとい薙刀となった。


ディーノの杖には金属扮が各所に練りこまれており、それを使うことでどこでもエンチャント・メタルが発動できるようになっている。


重さに関しては当然、普通の杖に比べれば重くなるがそれでも一般的な薙刀よりかは軽くなっている。


ディーノは薙刀となった杖を剣士に右下から左上に振るう。


隙を出してしまった剣士だがすぐさま剣で防御する、それによってつばぜり合いが起こり力比べが始まる。


ディーノがエンチャント・メタルを選択したのはこれにある。


ほかのエンチャント、特にファイヤやウインドでは攻撃した瞬間に杖が剣によって破壊されてしまう。


物理的なエンチャントでなくては防御も攻撃もできなくなってしまうのだ。


あくまでファイヤなどのエンチャントは生身でやらわかいベスティアにこそ発揮されるもので鎧や剣を使う対人戦にはメタル一択なのだ。


つばぜり合いをするディーノはジリジリと押されていた。


当然だろう、大人と子供で筋力に差があるのはどうしようもないことだ、さらに言うなら身長の関係上、下から持ち上げないといけないディーノの方が負担は大きい。


つばぜり合いは自分が不利だと感じたディーノは押すのをやめ、引くことで相手のバランスを崩させた。


いきなり支えを失った剣は重力に従い下へと向かいそれに伴って体のバランスも崩れる。


その瞬間にディーノは両手で持っていた杖を片手に持ち替え、空いた方で腹に向かってパンチを打つ。


バランスを崩された剣士も咄嗟に籠手でガードをする。


ガードされたことによって反動が生まれそれを使いディーノはバックステップで距離を取る。


籠手によって防がれた拳には痛みが走り、ディーノは顔をしかめるがすぐさま次の行動に出る。


剣士が離された距離を詰めようとこちらに向かう前にディーノ自ら近づく。


「おおう!!」


ディーノは声を上げ薙刀で三連突きをした。


先程とは違い、大きく振るわず薙刀のリーチを生かし攻勢に出る。


剣士はこれ以上距離を詰めることもできず、連続攻撃に防ぐことしかできない。


袈裟斬り、逆袈裟、突きと様々な方向から薙刀を振るう。


数合打ち合い、ついにディーノがレガースに当てる。


それによって剣士は片膝をついてしまい、大きな隙を晒した。


ディーノはそこで大上段から振り下ろす。


剣士も流石に受けきれないと思い、後ろに転がることでそれを避ける。


この瞬間ディーノの勝ちは決まったといってもいいだろう。


魔法使い相手に自分から距離を取るというのは致命的な行動だ。


先程までディーノは魔法を使わなかったのでなく、使えなかったのだ。


魔法を使うにはどうやっても魔力やイメージの集中に隙ができてしまう。


近接で戦う剣士などの相手にとって一瞬の隙は防具を着込まず、防ぐ手段のない魔法使いには致命的だ。


そのため剣士の対魔法使い戦術として相手と距離を離さず攻撃し続けるというのは必勝法と言っても過言ではない。


ディーノがバックステップで距離をとったときは今より致命的な状況ではない。


相手が距離とったと言っても、その時剣士はすぐさま近づくことができる体勢だったうえ、ディーノは動いた直後の硬直状態、いわゆる技後硬直、さらに魔法もパンチをガードした痛みで発動が遅れ状況的にあまり開始直後と変化はなかった。


しかし今は違う。


ディーノの渾身の唐竹割りを避けるためとはいえ剣士は自分から距離を取ってしまった。


この瞬間ディーノには魔法を発動できる時間が生まれ、剣士には技後硬直により近づく時間を失った。


ディーノはその時間で魔法を使った。


(ディボ・ファイヤー・ウォール!)


火の壁は後ろに転がり立ち上がった剣士の足先に発生した。


咄嗟に魔法の発動に気づき、剣士は後ろに避けたがこれでさらにディーノと距離が空いてしまった。


実はここでディーノには負け筋が存在した。


それは魔法の選択、発動場所の位置だ。


もし、これがファイヤー・ウォール以外だった場合ダメージ無視で超えられた可能性があった。


火は動物が本能的に避けてしまうものだ、だから剣士は距離をとった。


それにバレット系などでは横によけられじわじわと距離を詰められただろう。


さらに発動場所が今のより奥だった場合、魔法の発動に気づかなかったり、近づくことによって避けられたかもしれない。


そうなった場合ディーノは優位性を失い、防戦に移らざるを得なかった。


ディーノが先ほどまで剣士と打ち合えたのは奇襲というか剣士の想定外の動きだったというほかならない。


魔法使いが杖を薙刀のようにし、剣士と打ち合うなどと誰が考えようか。


一番初めのつばぜり合いの前、剣士に隙ができたのは離れるだろうと予想していたディーノが近づいてきたので驚き、隙ができたのだった。


そこからはディーノが相手に反撃を考えさせないように打ち続けた結果レガースに当てれたのだ。


しかし、剣士が攻勢に出た場合、ディーノは防ぎきれなかっただろう。


そういった物をディーノは間違えなかった。


(ソメ・アース・ウォール!!)


ディーノは剣士の正面以外に半円状の高さ2m弱の土の壁を作った。


剣士は突如出来た土の壁に首を振って確認すると右にも左にも後ろにも退路を失ってしまったことに気づいた。


ディーノは火の玉を手の上に浮かべにこやかに宣言した。


「降参してくれますよね?」


もう剣士には逃げ場はなく、次の魔法を避ける手段はなかった。


「……降参だ」


剣を地面に放り、剣士は宣言した。


その言葉を聞いた試験官は第二試験の終了を宣言した。


「そこまで! これにて第二試験を終了とする!」


「よし!」


宣言を聞いたディーノは火の玉を消し、小さくガッツポーズをした。






結局互角の戦闘が書けなかった…… しかも戦闘時間短すぎだよなぁ もうちょっと戦闘描写勉強しないと

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