教職会議
次回の投稿は土曜日の12時を予定してます。あとこの話は主人公視点ではないです。
コツコツとこ気味のいい音を立てながら歩いている男性が2人いた。
特に何か装飾のされていない無機質な廊下、足元を照らすのは窓から流れ込んでくる日の光のみで若干影が残る。
彼らが向かうのはこの先にある一室。
普段から定期的に使用されている会議室だ。
「それにしても今年は大変なことになりそうですね」
沈黙に耐え切れなくなったのかもうひとりの後ろをついていくように歩いていた男性が口を開いた。
「……まぁな こんなことは滅多にないだろうさ……」
前を歩く男性が答える。
「今回の会議は荒れるだろな…… 早く終わらせてもらいたいところだが……」
あまり堅苦しいところが好きではない、前の男性は普段は長い時間を使わない会議が今回に限っては長くなるだろうと予想していた。
「しょうがないと思いますよ 理由が理由ですから 俺まだ信じられないですもん」
後ろの男性は未だに自分たちがこれからするであろう会議の内容が現実なのか受け入れられないようだった。
そのせいか普段は声に出さない愚痴が溢れる。
前の男性もその気持ちが理解できるため、いつもなら注意するとこだが聞き流し足を進める。
そうして二人が歩いていると廊下の行き止まりにある会議室についた。
前を歩いていた男性が失礼しますと言いながら扉を開く。
開いた先には既に自分たちと同じ立場の人間が揃っており、2つの自分たちが座るべき椅子のみが空席となっていた。
ふたりの姿を見た、奥の方に座っている女性が二人に声をかけた。
「遅いですよ みなさん既に用意は出来て待っていたんです」
「申し訳ありません 少々仕事に手間取りまして……」
「すいません」
注意されたふたりは頭を下げて遅刻を詫びた。
女性も遅刻とは言えそこまで待ったわけではないので注意はそれくらいでとどめた。
「次回からは注意してください ……ではみなさん揃ったようなので会議を始めたいと思います」
二人が座ったのを見て女性が会議を始めた。
「今回集まっていただいたのは新入生に関することです まずは寮の問題から報告お願いします」
「寮についてですが今年は希望者が多く飽和状態となっています 幸いほぼすべての新入学生分はありますが十数人は外部に任せることになりそうです」
「なぜ飽和状態になったんですか?」
説明をする寮のことを任せられている女性に質問が飛ぶ。
「今年は入学希望者が例年以上に多いことが第一の要因ですがそれ以上に困ったことがありまして……」
少し言い淀んだ女性だが司会を務める女性に促されてその先を言う。
「いいことなのでしょうが今年は進級する学生が多いんですよ 特に3年生が……」
その言葉にほかの全ての人間が納得したように声が出た。
例年以上の新入生といっても知っていた限りでは寮が満杯になるまで多いとは思えなかったのだが、この理由は考えていなかった。
今年3年生になる生徒たちがどういう連中なのかは教師であり、進級テストで相手をした自分たちがよく知っている。
今年の3年生は近年稀に見る豊作と呼べる人材の宝庫だった、教師をして初めて生徒に追い抜かれているのでは?と恐怖したのもいるほどだった。
「寮についてなぜ起こったのかはわかりました 対策に関してはどうですか?」
司会の女性が議題の進行をする。
「すでにギルドの方と連携して、新入生で寮の予約ができていない子がいれば宿の紹介などで一時的な対応してもらってます」
「しかしそれでは宿代がかかってしまうのでは?」
「それに関しては入学が出来次第、入学してからの宿代をこちら側で負担するということを申請しているところです」
「入学前の宿代に関してはどうですか?」
「正直そこまで面倒は見れない……と言いたいところですがそれに関しては生徒一人ひとりの家庭事情しだいでの支援金という形になりそうです」
「わかりました 寮に関しては入学式が終わり次第、また話を詰めることにしましょう…… さて今回の本題です」
司会の言葉に全ての人間が体をこわばらせた。
「特待生についての議題を始めたいと思います」
いよいよきたかと遅れてきた男性は思った。
女性に話を始めてくださいと言われたので男性は立ち上がり話を始めた。
「毎年何人かは出てくる特待生希望者でしたが今年は何故か異様に多く10人ほどが希望してきました」
男性の言葉に部屋が少々ざわつく、が男性は気にせずに話を続けた。
「第一試験をしましたがほぼ全てが基準に達しているとは言えずその場で特待生にはなれないと宣告しました」
「その生徒に対するケアはしましたか?」
若干興奮状態になっているほかの人物たちとは違い、司会の女性は冷静に質問をする。
「不合格の生徒でも3人ほど目を見張る子がいたのでその子達には3年への進級時のテストで便宜を図るということは伝えました」
「わかりました では続きを……」
「はい ……そして今回の第一試験で2人合格者が出ました」
男性の言葉に部屋が騒がしくなった。
こんなことは初めてだと言うのもいれば、ほんとに基準に達していたのかと疑う人もいる。
そこに司会の女性がガツンと大きな音を立てる。
それによって騒がしかった部屋も再び静かになった。
「本当に合格といってもいいような子が2人も出たんですか?」
司会が皆を代表して質問をした。
「はい 一人は文句なしの合格といってもいいような腕前でした もう教えることがないのではとも思うほどに」
「もうひとりの方は?」
「もうひとりは単純に言うならば合格……というには物足りなさが少しありましたが私達教師が驚嘆するようなものを魅せられました 特待生にしても文句は出ないでしょう」
「では第2試験に関してはどうするおつもりですか?」
「それに関してはもう決めております 内容は……」
こうして特待生が2人同時に出るかもしれないという熱気が覚めあらぬ会議室で話は続いた。
この教師たちを深く掘り下げることはあるのか!? 一人くらいならできるかも……




