守る
体調不良につき次回更新未定です。水曜日か日曜日の12時なのは変わりません。
「あー糞っ! 意外と深いとこまで行ってんなぁ〜」
夜の帳が落ち、あたりを照らす月明かりが妖しく輝く。
この世界には電灯などはないし、空気がきれいだからあたり一面の空に星が幾多も煌めいている。
「きれいだなぁ〜 なんて言ってる場合じゃないんだが……」
ディーノは時折空を見上げて自身の体に響く痛みを紛らわしながらパエーゼ村に足を向ける。
(回復魔法は苦手なんだよなぁ〜 それでも応急処置はしたが……)
ディーノが戦いの後、自分の体は軽傷だと思っていたが戦いの興奮から覚めると途端に痛みが全身を襲った。
切り傷が思ったよりも深くまで行き血管を傷つけていたようだったし、打撲も骨に痛みがある。
ディーノは回復魔法を使って応急処置はできたが、それ以上の怪我は治すことができなかった。
魔法はイメージである、というディーノの考えで回復魔法を使うのはかなり危ない。
ディーノが属性魔法を使うときは化学を参考にしているが回復魔法を使い場合医学が必要になってくる。
詳しく医学を知らないものが回復魔法を使うと大変なことになる。
こういう時は知識を詳しく知らない方がいいということもある。
ディーノは使い物にならない程度の自身の知識を恨めしく思いながら歩を進める。
「これももう置いてったほうがいいかなぁ」
痛みや疲労から足取りは重くなる一方だが、さらに追い打ちを掛けるようにズリズリと引きずる音の発生源を見てみる。
そこには、落とし穴の中に残った氷象の牙、結構な大きさを持つそれがあった。
落とし穴の中から土魔法をで押し上げて拾ったそれを討伐した証にするために持ってきていたのだ。
村のみんなにゾウの驚異はないというのを教えるにはこれが一番手っ取り早いと思い、引きずりながらも持ってきているのだが……
「重い……」
段々とディーノの思考がマイナスの方向に向いていく。
暗闇の中を歩くこと、痛みや疲労からくるストレスはディーノを徐々に蝕んでいく。
(痛い…重い…だるい…)
行きは相手を倒すんだと意気揚々な気分だったが、達成感が来るような圧倒的な勝利でもなくギリギリの攻防によって神経をすり減らしていた。
そんな中足を進めていくと、月や星以外に光るものが見えた。
ディーノはそれを見ると自然と足取りが軽くなった。
先程までの痛みや重さが嘘のように足が軽い。
光に一刻も早く近づくように歩調を早める。
あとちょっとの所で見慣れた人がこちらに近づくのが見える。
「お兄ちゃん!(ディーノくん!)」
「アルマちゃん! アデーレさん!」
アルマちゃんは俺の足に抱きつき、アデーレさんはそれを一歩離れたところで見ている。
俺はアルマちゃんの頭を撫でてアデーレさんに尋ねた。
「なんでここに二人が? 避難の準備をしていいるはずじゃ……?」
「あなたが出て行ったあとにクリスをしかったのよ「子供のディーノくんに任せて私たちだけで逃げるのはできません」って」
アデーレさんはにこやかに笑いながら教えてくれた。
「それでもう一度討伐隊の編成をしようってみんなで村長のところに集まったところだったんだけどね……必要なくなっちゃったみたいね」
「さぁディーノくん 村長のところに行きましょうか みんなに教えないとね」
苦笑いになったアデーレさんは俺を村長のところに連れて行ってくれた。
「ところでなんで俺が帰ってくるのがわかったんですか?」
「アルマがね 急にお兄ちゃんが来た!って言って出て行ったのよ」
「そうなんですか…アルマちゃんはなんでわかったの?」
俺の隣を歩くアルマちゃんに聞いてみた。
「んー なにかお兄ちゃんが来た!って予感がしたんだ〜」
「そ、そうなんだ……」
しばらく雑談をすると村の中でもひときわ大きい村長の家についた。
近づくとなかでは何か言い合いをしているのが扉越しに聞こえる。
「みんな〜ディーノくんが戻ってきたわよ!」
アデーレさんが扉を開けて入っていく。
俺もそれに続いて入ると中には村の有力者である人たちが大きなテーブルを囲んで立っていた。
「あ、あの〜倒してきました……でいいのかな?」
俺が象牙を見せながら言うと一瞬みんなの顔がほうけたようになったがすぐに歓声に変わった。
俺はその歓声を聞くと自分が何を守ったのか何を守れたのかを実感した。
そう思うと言いようのない達成感のようなものが俺を包み込んだ。
(良かった…… 強くなって……)
風邪をひいてしまいました。タイピングするのもきつい状況ですので療養します。




