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弱点

次回は日曜日12時投稿です。

 

 

 

 普段は周りに何もなく、ただ静寂が響く、木々が所狭しと並ぶ森の中にぽつんと存在する木が生えていない空間。

 そんな場所に珍しく今は騒がしい。

 その原因である一人は杖を支えに息を切らしながら下を向いてはいるが立っていた。

 

 「ハァ…はぁ…」

 

 (あ、危なかった…)

 

 ディーノはガード不能なクマの攻撃をくらったにも関わらず、あまりダメージは増えていないようだった。

 

 (咄嗟に魔法でガードできてよかった…じゃなかったら流石にただじゃ済まなかったな…)

 

 そう、ディーノはクマの攻撃が当たる直前にある魔法を発動し、防御していた。

 

 (ん? なんだ?)

 

 ディーノが下を向き息を整えると、前方からなにか声が聞こえた。

 

 「ガァアアア!! ググゥ! グルゥ…」

 

 前を見るとさっきまではどんな攻撃をしても苦しむ様子すらなかったクマだが今はとても痛そうに雄叫びをあげている。

 

 (な、なんだぁ? なんで痛がっているんだ? 俺なんかしたか?)

 

 周りを見ても誰もいない、誰かが知らぬ間に手を貸してくれたわけではなさそうだ。

 自分が何かをし、その結果クマが痛がっている。

 ディーノはその原因がなにか探ろうとした。

 

 (痛がっている箇所は……どこだ? ちょっと離れてるからわかんないな……いや? 左手か)

 

 クマをよく見ると左腕の部分が少し爛れているように見える。

 ディーノはダメージを与えた箇所と自分のとった行動から一つの仮説を立てた。

 

 (もしかして…こいつ`水属性が弱点´なのか?)

 

 ディーノは先ほど、左手を防御したときのことを思い出す。

 

 (あの時、俺は咄嗟に土魔法のグランドウォールで壁を作って、その上から水魔法で高密度の水の膜を貼って勢いを殺した……)

 

 (俺の魔法は成功、見事威力がなくなって、はたかれる程度に抑えれた)

 

 (俺が奴の左手にやったことは防御しただけ…それで痛がるってことはその防御と相性が悪いってこと……だから水属性に相性が悪い)

 

 (頭で考えてもしょうがねぇな、やってみるか)

 

 クマは痛みが治まったのかこちらを睨んでいる。

 ディーノは先程まで受身だったが今度は自分から小走りで近づいていった。

 

 (受身だとダメだ! 防御で検証はリスクが高すぎる! だから!)

 

 クマもこちらに向かって動き出している。

 しかしクマは先程までの俊敏さがなく、動きが鈍くなっているようだった。

 

 (なんだわからんが動きが鈍いならチャンスだ!)

 

 クマとの距離を詰め切るその前、手を伸ばさない限り当たらない一からディーノは魔法を放つ

 

 (ディボ・アクアショット!)

 

 ディーノが杖を振るうと無数の小さな水滴が針のように鋭く変化し、散弾銃のようにクマに襲いかかる。

 クマは攻撃が来るのがわかったが急に避けることはできず、正面からくらってしまう。

 

 「ガアアアアアアアア!!!!」

 

 クマは水針を顔にまともに受けてしまった。

 目にも当たったのか目を閉じているため、転んでしまった。

 クマは痛みからか両手で顔を掻いている。

 

 ディーノはその姿から確信した。

 

 (やっぱり水属性が弱点か……けどそうわかっちゃうと拍子抜けだなぁ)

 

 ディーノは先程までの真剣な顔から抜け切った表情に変わった。

 

 (いつものクマはディボスケールならどんな属性でも効かないけど、こいつは結構ダメージ入ってるみたいだからなぁ。 いつものやつより弱いのか?) 

 

 ディーノが考えている間に回復したのかクマが三度こちらに向かおうと立ち上がった。

 

 「そろそろ終わりにしようか」

 

 クマが動き出す前にディーノが先に仕掛けた。

 

 (ディボ・アクアシュート!)

 

 ディーノは先程打った水針よりも大きい水槍をクマの両足に勢いよく打つ、魔法はクマに避ける暇すら与えず当たる。

 当たった箇所から煙のように水しぶきが上がり、クマは足で自分の体重を支えられず崩れ落ちるように倒れようとしている。

 ディーノは魔法の着弾を確認する前にクマに向かって走り出していた。

 

 (エンチャント・アクア!)

 

 ディーノは走りながら止めの魔法を使った。

 魔法を発動すると走っているディーノの持つ杖に変化が現れた。

 杖の先から水滴が溢れるように出て、杖の先端部分にまとわりついてくる。、

 段々と水は増えていき、ついには水は刃の形となり水刃を持つ薙刀になった。

 

 「オォオオオオオオ!!」

 

 ディーノは崩れ落ちるクマの首部分に狙いを定め右手に力を込め、クマの一歩手前で回転し勢いをつけてクマの首を跳ねた。

 

 「ッリャ!!!」

 

 ズズンと首のないクマの巨体が崩れ落ち、大きく音が出る。

 ディーノが終わったことに安堵しフウと一息つくとクマの体は右手を残し霧散していった。

 

 (やっぱりベスティアだったか……これで普通のクマとかだったら泣いてるところだったよ)

 

 ディーノは隅に置いていた自分のカバンを取りに行き、その後ドロップ品に近づいていった。

 

 「やっぱり、腕は何度も伸ばせるわけじゃなかったんだな。 ま、それができたら最初っからやってるか。 それにあのあと動きが鈍くなったのも多分それが原因だからな。」

 

 ディーノは声に出しながら自分の考えをまとめるとドロップ品を回収し、左腕をかばいながら村に行く道に戻った。

 そうして……

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 ディーノはボロボロになった自分の体を必死になって動かした。


 途中、転んだり体が枝に引っかかったりもしたが、それでもめげずに歩いていくと先に光が見えた。


 ディーノは村があってくれと心の中で願い、最後の力を振り絞って光に向かって歩いた。


 森から抜けると目の前には木で出来た小屋が何件も広がっているのを見た。


 その光景を見るとディーノは気が抜けて倒れてしまった。


 誰かがこちらに近づいて来るのを倒れる直前の視界の端に捉えたがそんなことよりもディーノは言いたいことがあった。

 

 「し、師匠の嘘つきめ~~うう」

 

 

 

一通り落ち着いたのでまたいつものペースで更新していきたいと思います。感想など待ってます!

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