杖
次回は水曜日の12時投稿です。
少年が少女に見つけられる数時間前……
「あ~もうどれくらい歩いたんだ? ちっとも村の気配がありゃしないぞ……もしかして方角間違えたか?」
俺は独り言をつぶやき、太陽と高さ、位置と自分の向いている方向を改めて確認する。
「間違ってないはず……だなぁ… どうしよう…もう食料も水もちょっとしかないぞ…」
愚痴りながらも足を進めると木々の切れ目から光が見えてきた。
村か!?俺は歩調を早め光に向かっていった。
「なんだ…ただの何もない広間かよ……」
俺が期待した村はなく、ただ木がないぽつんとした場所だった。
しかし俺の中にかすかな違和感があった。
改めて広間を観察すると中央付近に大きな切り株があった。
「ああ、ここに大きな木があったせいで周りに木ができなかったのか……ん?」
(切り株……だと?)
俺は切り株を認識すると周囲になにか気配がしないか気を配った。
(おかしい…こんなとこに普通切り株がぽつんとできるわけがない… 人為的なものなら周りにもできるはずだ…なのに一本も見当たらない…)
俺が注意深く辺りを見回していると右の方からズズンという地響きが聞こえた。
その方向に顔を向けると目を疑うようなものがいた。
「おいおい……見たことも聞いたこともないぞ……`赤い熊´なんてよぉ……」
俺は見たものに冷や汗を流し、思わず口から声が出てしまった。
(ベスティア……なのか? 黒以外のベスティアなんて師匠からも聞いたこともないぞ! い、いやまだベスティアじゃなくこの世界独特の熊の可能性も…)
俺が頭の中を整理していると熊がこちらにようやく気づいたのかこちらに向かって走り出してきた!
「にゃろう! もうちょっと時間をくれよ!」
俺は背負っているリュックに刺して運んでいた師匠特製の杖を取り出し、リュックを放り、リュックとは反対方向に飛んで熊の突進を躱した。
「あ、あの~すいませーん。 もしかして獣人族の方ですか!?」
俺が熊に大声で確認を取ろうとすると熊は気にもとめずに俺に噛み付いてくる!
「ちぃ、こっちの話を聞きやしねえか… こりゃベスティアだな、ベスティアだろう、ベスティアだと思いたい!」
(この杖の初の実戦が変なベスティアとは思いもよらなかったな……)
俺はベスティアらしくなく距離をおいてこちらの様子を伺う熊に対して左手を前にだし、右手で杖を腰辺りに構え、左足をだし、右足を引き、槍を片手で構えるような姿勢で熊に向き合った。
「さて、こいつの初の獲物になってもらおうか」
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「杖……ですか?」
師匠との修行がひと段落して昼食をとっているとき師匠が前触れもなく俺に提案してきた。
「ああ、そろそろお前にも必要な時だろうと思ってな」
師匠は野菜を口に運びながら話を続けた。
「でも杖っているんですか? なくても困りませんけど…」
「なくても困らないがあったほうがいいもの。 それが杖だ。 いいものに限るがな。」
「どういうことですか?」
「粗悪なものだったら魔法を使うのに杖を使えば必要以上に魔力を使ってしまったり威力が減衰してしまう、がいいものだと逆のことが起きるのさ」
「へ~それはあったほうがいいですね。 でも使うときの魔力の移動とか難しくないですか?」
「いい杖は魔力が通りやすくなっているのさ。 それこそ自分の肉体よりも……な」
「ふ~ん、じゃあ杖作ってもらおうかなぁ」
「ああ、作ってやるさ。 ただし形はお前が決めろよ。」
「え! 形とか決めれるんですか!?」
「当たり前だ。 自分に合うものっていうのは自分しかわからないからな。 普通お前くらいの年齢だったら親兄弟のお下がりとか量産品だが特別に私が一品物を作ってやる。」
「あ、ありがとうございます! どんな形にしようかなぁ!」
その時から俺は頭の中で自分にあった杖をいろいろ思い描いては消していき大いに悩んだ。
悩み過ぎで修行の途中に師匠に怒られてしまうほどに……
そうして出来たのが俺の俺だけの杖だ。
材料は師匠に任せたのでよくわからないが木をベースにしているのはわかっている。
長さは約1mほどで太さは手で握れるほどだ。
先端は∠を緩やかにしたような形になっている。
重さは重くなく振り回すのに力はいらないぐらい軽いものだ。
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俺が杖を作ったときのことを思い出していたが時間はほんの数秒しか立っていない。
熊はなかなか動かない俺に業を煮やしたのか距離を詰めて来た。
俺も熊がこちらに向かうのを見て魔法を用意する。
「戦闘開始だ!」
戦闘シーン大丈夫かなぁ? 不安だァ あと杖の形がイメージしにくい方は某魔法先生○○ま!の主人公の杖をイメージして頂ければいいと思います。




