第二話~下済みは大切です
評価、ブックマーク登録ありがとうございます!(・人・)<アリガタヤ~
目の前のテーブルにはお母さまが焼いた厚みのあるパイと、色とりどりのジャムが入った小瓶たち。パイの表面はシロップが塗ってあって、つやつやと光っている。
「食べて良いわよ?」
「いただきます!」
お母さまの最高!サクサクなのに中の生地がしっとりしてて歯ざわりがなめらかだしかすかな甘みがジャムの風味を一層引き立ててる!一切れが結構大きいのに食べ飽きないのはパイ本体の味が控えめなのとジャムの種類が豊富だからかなあ。それにしたってほんとに美味しい!
至福の時間を存分に味わった後。
「ねえねえお母さまー」
そう言いながらお母さまにすり寄る。
「なあに、リディーちゃん。何かおねだり?」
さすがお母さま、鋭い。その通り、普通のお願いとは少し違うが私はチートのためにお母さまに協力を仰ごうとしているのだ。
世に溢れる転生物の小説の主人公たちは夜な夜なこっそりと魔力を操り、書斎を漁り、筋力のトレーニングをしていた。そしてチートへの基礎を作り上げているのである。だがしかし。よく考えてみてほしい。五歳児の、骨格もまだろくに形成されていない未熟な体で無理をするという意味を。ほぼ確実に体が壊れるだろう。睡眠時間を削れば脳の発達が阻害され、筋肉もつかない。チートどころかポンコツになってしまうこと間違いなしだ。私が目指すのはあくまでチート。素人が無理をして取り返しのつかないことになってしまうのは本位ではない。
ならばどうする?チートをあきらめるか?それは愚問だ。なぜなら、答えは否ッ!圧倒的否ッ!だからだ。一度チートという抗いがたい餌を魅せつけられてしまえばもう離れられない。今の私は正に目の前にニンジンをぶら下げられた馬だ。しかし、ただがむしゃらに走っていてはニンジンは得られない。ならばどうするか。そう、ここで、お母さまへの'おねだり'なのだ。簡単なことだ。素人が特訓するから危ない。なら、その道のエキスパート、つまり専門家から学べばいい。幸いにもお母さまは私のことを可愛がってくれているし、子供が自分から勉強したいと言って嫌がる親はなかなかいないと思う。
「えへへー。私ね、本が欲しいんだ~」
とは言え最初から教師を望むのは少し厳しい。いきなりそんな事を言い出したら子供の可愛らしい戯言として片づけられてしまうだろう。だから最初は一般教養も身に付く本から!お手軽だし、何回も自分で読み返せる。そしてそれを繰り返し、ゆくゆくは本格的に誰かに教えを乞う。ふっふっふ。自分の策士具合に身震いしそうだ!
「…あら~、それはちょっと難しいかも?」
なんですとお!




