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第一話~目指せチート!

異世界チートの基本は幼少期からの訓練、つまり早いうちから特訓することで周りに対して大きなアドバンテージを得ることが重要になっている。思い立ったが吉日ともいう、早速特訓しよう!そして私もレッツチート!座っていたブランコから降り、希望を胸に家へとむかって駆け出す。

…そして、足をもつれさせ転んだ。


「ふぁッう……うわああああああああああああああ!?」


い、痛い!擦りむいた足の痛みがダイレクトに伝わってくる!お肌がやわやわの七歳児だから!?あああ涙が止まらない!鼻水で呼吸が苦しくなってきて余計につらいのに全然泣き止めない!?


「ひっ、あ、うっ…!うううううううっ!」


無理やりにでも止めようとしたら嗚咽が混じって本格的に息が…。死因が泣きすぎたことによる呼吸困難とか嫌すぎる…!


「あらあらあらあら、どうしたの!?」


半ばパニックに陥っている私の耳朶に優しい声が響く。次の瞬間、ふわりと抱き上げられた。


「よしよし~、転んじゃったのね~。お母さまがいるからもう大丈夫よ~」


頭をなでられ、とんとんと穏やかに背中をたたかれた。しばらくそうされていると、だいぶ涙も引っ込んだ。


「ふあ、あわあ」

「だいぶ落ち着いてきたかしら?泣き止んでえらいわね~少し擦りむいちゃってるみたいだから傷の手当てをしましょうね~」

「ひッく、お、かあさま…?」


どうやら私をあやしてくれたのは今世でのお母さまだったようだ。…転んだ衝撃で自分の親の声が分からなくなるくらいパニックになるって、ちょっとメンタル弱すぎない?


「リディーちゃん。今日のおやつはあなたの大好きなパイよ~。」

「うっく、いっう、ほ、ほッんと…?」

「ええ。ジャムもたっぷりあるから一緒に食べましょう?」

「…う、ん!お母さまのパイ、大好き!ねえねえ、すもものジャム食べてもいい?」

「ちゃんと傷をきれいにしたらね~」

「わあい、お母さまありがとう!」


お母さまの作ったパイが食べられるなんて幸せ!って、違う違う!今の私にとって重要なのはチート!努力!


「それに、今日は生クリームもあるのよ~!」

…おやつを食べてからでもチートを目指すのは遅くないよね。腹が減っては戦はできぬって言うし!


お母さまは片手で私を抱き上げたまま、器用に扉を開けて家の中に入った。


「ここに座ってイイ子で待っててね~」


どうやら救急箱を取りに行くようだ。普通だったらお母さまが治癒魔法を使って、魔法だ!この世界には魔法があるんだ!って驚く展開がお約束だけど、今の今まで治癒魔法なんてものを私は見たことがない。記憶によれば、けがした部分をきれいにしてから白い布で覆うだけだった。魔法っぽい現象をみた覚えもない。絵本の中には魔法使いがいたけれど創作かどうかも判らない。


一人でうぬぬと唸っているとお母さまが救急箱をもって戻ってきた。いつも通りケガした部分を差し出す。


「すこ~し、しみるわよ~」

「うっ…!」


振りかけられた液から独特の臭いがのぼって鼻にツンとささる。アルコールの成分が入っているのかもしれない。傷がジンジンするのを目を強くつむって我慢していると、何かが膝にかぶせられる感覚があった。たぶんいつもの白い布だろう。それならもう手当は終わったはず。そう思っていると案の定、よく我慢できましたと声がかけられた。よし、これからおやつだ!

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