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【書籍化】悪役令嬢の兄に転生した華族令息の俺、破滅回避のために妹教育を頑張ったら、最高に可愛いブラコン令嬢を爆誕させてしまいました  作者: 遠 都衣
中等部2年生編

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第71話 乙女の努力は見ちゃダメなのです

「菊華ちゃん。お食事をいただく時は、30回はおくちのなかでもぐもぐと咀嚼するんですよ」

「はい!」

「…………」


「菊華ちゃん頑張って。腹筋あと10回ですよ」

「はいっ!」


 …………。


「どうしたんですか、あれ?」


 縁側で、白百合が菊華の足を抑え腹筋をさせている様子を見ながら、妹たちに御付きでついてもらっている女中さんに尋ねる。


「それが……、先日お嬢様がたおふたりで新しい海水着を買うためにお出かけになられたのですが。その際にその、菊華お嬢様が」


 言いにくそうに話す女中によると、どうやらふたりで水着を試着した際に、菊華が、自分の体型が白百合よりもぽっちゃりしていることに気付いてしまったそうで。


 ショックを受けた菊華に、白百合は「菊華ちゃんはいまのままでもとっても可愛いから大丈夫ですよ……!」とフォローを入れたらしいが、乙女心はそれでは納得いかなかったらしい。


 ここからは聞いた話からの回想、もしくは想像だけど。

 

「お姉さま。正直に言ってください。私、前よりもぽっちゃりしましたよね」

「……ええと、それは、まあ」


 菊華の問いかけに、白百合は思わず目を逸らし――、「お姉さま、あの……。どうやったらお姉さまみたいにスタイルが良くなれるか教えてください……」という涙なしには見れないやりとりがあったとかなんとか。


 そうね……。

 確かにね、お兄様もうっすら気付いてはいたよ……。

 菊華ちゃん、最近ちょっともちもちしてるなって……。


 でも、子供なんてそんなものかと思って、それはそれで可愛いしなーと特に気にせずにいたのだけど、女子はそういうの気になるんだなあ……。


 そんなことを思いながら、腹筋をしている姉妹を見つめていたのだが。

 ふと、俺の存在に気づいた菊華が白百合を止めて、てててとこっちに歩いてきた。


「お兄様は見ちゃダメです」

「え」

「乙女の努力はかげでひっそりと行われるものなんだもん!」


 そう言って菊華に回れ右をさせられ、背中を押されながら追い出されようとする兄の俺……。

 そうなんだ……。乙女の努力は陰でするものなんだね……。

 いっちょまえに乙女なんて言葉を使うようになった妹にじんわりと成長を感じながら、「でも兄様も菊華が努力してるところはみたいな……」と言ったら、一瞬動きをぴたりと止め、迷うような空気を見せたものの。


「や……、やなものはやなの! お兄さまのえっち!」


 と言って、くるりと踵を返して、再び『とてててっ!』と白百合の元へと駆けていった。


 え……、えっち……?


 予想外の単語の登場に、一瞬頭がまっしろになる。


 え、えっちって言われた……!?

 8歳の妹に……!

 えっちって……!


 そのまましばらくその場でびっくりして固まっていたら、女中から「れ、蓮様……。温かいお茶を淹れますから、少し別のお部屋でゆっくりなさいましょう」と気を遣われ。


 そうして、女中に促され部屋から離れようとしている背後で、「き、菊華ちゃん……! いくらなんでもお兄様に向かって、え、えっちはあんまりですよ……!」「だって……」とやりとりしている声が聞こえた。


 え……、えっちなんて言葉……。

 どこで覚えてきたんだよ菊華ちゃん……!


 てか、意味わかって使ってる!?

 そもそも今のどこがえっちだったの!?


 そんなことをぐるぐると考えながら、淹れてもらった温かいお茶を飲んで少し落ち着いたところで、とはいえあんな馬鹿みたいなことを言う妹も可愛いと思ってしまう俺は重度のバカだ……、とひとり両手で顔を覆って深く反省した。


 そうして、その姿を周囲で見ていた女中たちから「蓮様が菊華様に【えっち】と言われて深く傷ついていらした」と誤解されていたということを知ったのは、後から聞いた話だ。



この時代、えっちって言葉使われてるのかなって思って調べてみたんですけど

一応あるにはあったみたいです。


でもそれ以前に「おにいさまのえっち!」というワードが降りてきた瞬間

たとえ時代背景的に厳しくても使うしかないだろうと思いました……!

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