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【書籍化】悪役令嬢の兄に転生した華族令息の俺、破滅回避のために妹教育を頑張ったら、最高に可愛いブラコン令嬢を爆誕させてしまいました  作者: 遠 都衣
中等部2年生編

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第70話 白百合、異能合宿に行くと言い出す

 夏休み目前となったある日。


「お兄様、ちょっとよろしいですか」


 と、白百合が俺のところにやってきた。


「どうしたの白百合」

「……こちらをご覧ください」


 そう言って、俺の前にぺらりぺらりと並べ出してきたのは。


【異能発現教室―夏合宿―】

【異能開発短期集中トレエニング】

【全人類均等能力顕現協会】


 それぞれに、異能の発現を促《うなが》すことを書かれた――チラシだった。


「これは……」

「お兄様にも、どれがいいか一緒に選んでいただきたいのです」

「…………」


 意を決したように俺にそう言ってくる白百合と。

 言われて、目の前に並べられたチラシを一瞥《いちべつ》し。


 え〜…………。

 いやあ……。

 ちょっとこれ、眉唾《まゆつば》くさくないかなあ白百合ちゃん!? 


 とは、真剣な面持ちで相談してきている白百合に向かって、とてもじゃないけど口にすることはできず。


「……焦らなくても、ちゃんと白百合の異能は発現すると思うよ」

「そうかもしれませんが……。ただ、黙ってじっと待っているのが堪えられなくて」


 何か少しでもできる努力があればと思って調べたのですが、自分だけで決めて知らない場所に踏み込むのも心配で、と白百合が言った。


 真面目な白百合らしい考えと、その健気な姿勢に胸は打たれたけれど。

 眉唾くさいのは眉唾くさいよ……!


 う〜〜〜ん……。

 まさか、白百合の能力は封印されているからそれさえ解ければ発現するよとも言えず。


 ん?

 いや、別にいいのかな言っても?

 お前の力が強すぎるために、幼い頃に母親が封印したんだよって。

 言って……、いいのかなあ……?


 白百合はこの歳《とし》にしてはだいぶ分別もつく方だし、ちゃんと説明して封印を解く方法が見つかるのを待たせた方がいいような気もしなくもなく……。

 でも変に期待させておいてぬか喜びさせてもなあ。


 と、ぐるぐると思考を一巡させた結果、俺が白百合に告げたことはというと。


「白百合。白百合の異能のことは兄様がちゃんと考えているから。とりあえず、白百合は夏休みをいっぱい楽しむことを考えなさい」


 と言って、白百合の肩をぽんと叩いた。


 母が封印していた云々の話は、全てが解決してから話してもいいし、なんなら言わなくてもいいくらいなんじゃないかなあ。やっぱり。

 母としては、白百合を思っての行動なのだし、逆にそれを言ったことで裏目となって、亡き母に疑念を抱かせてしまうのもなんだかなと思ったから。


「でも、もしまた不安になったり辛いなって思う時はいつでも僕に言ってくれていいからね。白百合には僕がついてるんだから」

「はい……。ありがとうございますお兄様」


 そう言って、ほっとした表情を見せた白百合に、「じゃあとりあえず、これは俺が預かっておくね」と言って、怪しげなチラシをさささっと全て回収した。


 頭が良くて行動力もあることは素晴らしいことだけど、怪しい異能宗教みたいなのにひっからないかちょっと心配になったよね……!

 自分で突っ走る前に相談してくれてよかったけど(なんせ言ってもまだ小4だし)、これが大人になったときに怪しい宗教に傾倒しないよう、今からちゃんと教えておかないと……!


 と、世間の親たちの育児の大変さの片鱗を感じた俺だったのだが。




 その後、俺の心配をよそに。

 白百合は夏休みを目前にしてなぜか、異能発現の鍛錬よりも、菊華のダイエットのほうに注力するようになったのだった。

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