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【書籍化】悪役令嬢の兄に転生した華族令息の俺、破滅回避のために妹教育を頑張ったら、最高に可愛いブラコン令嬢を爆誕させてしまいました  作者: 遠 都衣
中等部2年生編

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第67話 とある女生徒のつぶやき、ふたたび

 ――異能を持つ、華族の子供しか通うことの許されない、華桜学苑。

 

 そんな華桜学苑に、末端華族の娘である私にもなんとか異能が開花し、中等部へと進学することができました。


 【どんな茶渋も水洗浄で落とすことができる】というなんとも言えない異能ではありましたが、近い将来どこぞの家に嫁ぐということを考えると、下手に強すぎる異能を持つよりはちょうどよかったと父母と安堵しあったものであります。


 そんな、華桜学苑中等部には。

 当たり前のように、東條様と西園寺様もご進学なされて。

 私はまたつかのま、なんとも素晴らしい目の保養ができる青春時代を得ることができたのです。

 

 むしろ私としては、あのおふたりと同学年に生まれてこれたというただそれだけで、人生における全ての運を使い切ってしまっているのではと思う昨今ですのに、その恩恵をまた長く受け取ることができるということだけで感謝の念しかありません。


 神様、ありがとうございます……!




 ――そんな、東條様と西園寺様のおふたりですが。


 最近は見る見る身長も伸びて、少年の殻を抜け出しかけているといった風情です。


 特に西園寺様は、最近なにか悩みごとでも抱えていらっしゃるのか憂い顔をされることが多く、それがまたなんともいえない色気のようなものが溢れ出ているため、見ているだけで卒倒しそうだと耽美派の女子たちが騒ぎ立てる理由のひとつにもなっております。


 いえ、言葉が足りませんでした。

 西園寺様の憂い顔のため息をつくのは女生徒だけではありません。


 その中性的な容姿から、密かに男子生徒の中にも西園寺様のふ(・)あ(・)ん(・)がいるという話も耳にしております。


 先日の運動会の折には、噂を聞きつけ外部からもそのお姿をひとめ見たいと親戚筋を頼って観客席に潜り込んだものもいたのだとか。


 私は今年は幸いにも西園寺様と同じクラスでしたので、運動会の組み分けも同じ白組でした。


 どうやら噂によると、今年は西園寺様は東條様から『自分と同じ種目に出場するように』と言い渡されていたようで、花形競技と呼ばれる種目ばかりを選んで参加されていました。


 率直に申し上げます。


 それはもう、本当に素敵すぎて――、なぜ人は、目にした画像を脳内に永久保存できないのかと悔やまれるほどでした。


 特に戦国合戦では、西園寺様がおひとりで高台に登られ、そこからピシリパシリと全体指揮をとってらっしゃるお姿は、まさに名将と言って差し支えのないお姿でありました。


 途中、アクシデントでお倒れになるということもありましたが、その際にも東條様がいの一番で駆け寄られ、耽美派女子たちが色めき立っていたのは記憶に新しい話です。


 陰でこっそり、東條様を騎士、西園寺様を姫と呼ぶ勢もおりますが、これはごく一部でのナイショの話です。


 そんな、中等部でも不動の人気を誇る東條様と西園寺様ですが。

 最近、妙な噂を耳にいたしました。


 先日、お休みの日の街の大通りで、西園寺様がどこかの御令嬢と並んで歩いていらしたのを見たという方がいたのです。

 あいにく、お相手の方がどちらのおうちの御令嬢かまではわからなかったらしいのですが、勇気ある生徒のひとりが直接西園寺様に「先日、女性と一緒に歩いているのを拝見したのですが……」と尋ねたところ「ああ、知人の紹介で、最近親しくさせていただいている方ですよ」とにこりとお答えになったそうで。


 わたしなどは、あくまでもあの方々は観賞用と割り切って対岸から眺めているにとどめられておりますが、そうでない方達のなかではそのお話を聞いて塞ぎ込んでしまった方もいらっしゃるようです。


 まあ、男女分け隔てなくお優しく微笑みかけてくださる西園寺様に憧れる方は、それこそ男女隔てなくいらっしゃいますが、わたしのようなものから言わせると、よく彼の方とふたりきりになって腰がすくまないものだと思うだけです。


 それでも。

 ちょっと前までは、幼な児であったわたしたちも、そういった男女の色恋話や、結婚といった話が飛び交うようになるまでには大人に近づいているのだなと思うと、儚い春の季節の短さに、少し寂しい気持ちもあるのでした。

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